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料理を美味しそうに写す理想の光は?【スマホで撮るごはん写真の正解②】

レストランの料理やカフェのスイーツ、自分で作った食事を美味しそうに撮りたい。しかし、スマホで何も考えずに撮ると、実際の見た目とはまるで違う味気ない“メシマズ写真”になってしまいがちだ。この原因はスマホにあるのではなく、撮影者の技術がいまひとつなのである。スマホで美味しそうに撮るにはいくつかのコツがあるのだ。

そこで、手軽だが美味しそうに見えるスマートフォンでの撮影テクニックを3回にわけて紹介しよう。今回は、明るさや光の生かし方について解説する。

 

スマホで撮るごはん写真の正解
① 脱”メシマズ写真”のコツは正確なピント合わせから! https://getnavi.jp/capa/special/294875/
③ アングルやズーミングの工夫で立体感を出すべし! https://getnavi.jp/capa/special/294922/

 

明るく写して美味しそうに見せる

カメラは明るすぎたり、暗すぎたりという失敗を避けるため、自動で白と黒の中間の明るさ(グレーの濃度)に合わせようとする。逆光で撮ったり、明るい色(白い皿など)が画面に多く入ったりすると、見た目よりも暗く写ってしまうのだ。料理が暗いとまずそうに見えるので、明るさを調整しよう。

 

写真映えするカフェ飯やスイーツなどは、見た目よりも少し明るいくらいのほうが美味しそうに見える。私がスマホで料理を撮るときは、明るめにすることが多い。ただし、ディナータイムなどで場所の雰囲気を生かすなら、暗めにするのがおすすめだ。写真の明るさは、料理や室内の照明の雰囲気に合わせて選ぶとよい。迷ったときは、明るさを変えて何枚か撮っておくのも手だ。

<明るさを調整せずに撮影>


全体が沈んだ感じで、料理の色もくすんで見える。見た目より少し明るいぐらいにするのがおすすめだ。

 

<明るく調整して撮影>


写真が明るくなることでくすみが抜け、赤、黄、緑の色の食材が鮮やかに感じられ、鮮度がよく見える。

 

外光の入る窓辺で撮るのがきれい

写真は光が重要だといわれている。光のちょっとした違いに気づいて工夫すれば、スマホでも料理を美味しそうに撮れる。

 

撮影スタジオでプロカメラマンが料理を撮影しているシーンを見たことがあるだろうか。大掛かりなセットを組んで、複数の照明でライティングをしている。これは多くの場合、自然光を真似た光を、室内で安定的に作り出すために行っている。料理を写す理想の光は、窓から差し込むやわらかい自然光。日中の窓辺なら、きれいな光で撮ることができるのだ。

 

窓辺を選んだら、次は光線状態と強弱を考えよう。料理撮影には「逆光」と「やわらかな光」が適している。料理の後ろから光が差し込む逆光は、手前に陰ができつつ写真は暗くなるので、明るさの調整が欠かせない。その際、露出補正を行って最も暗い場所を明るくするように調整すれば、背景はより明るく写る。人の視線は明るいところに行きやすいので、自然と画面の奥に目が行くことで奥行きが生まれて、料理写真に立体感が出てくる。

 

<室内照明で撮影>

光が全体に回ってフラットになるため、立体感に乏しく、メリハリがない。色もどことなく冴えない。蛍光灯、電球といった照明の種類によって色合いは変化する。

 

<窓辺の順光で撮影>

窓から差し込む自然光を利用するので、立体感があって、色もきれいに出ている。しかし、手前からの光によって画面上部が暗くなり、若干重たい印象だ。

 

<窓辺の逆光(弱)で撮影>

逆光では画面の手前側が暗くなるが、明るさを調整すれば問題ない。むしろ背景が明るくなって奥行きが出るし、この場合は爽やかな雰囲気も引き出された。

 

<窓辺の逆光(強)で撮影>

同じ逆光でも光が直接当たる場所では影がきつくなる。明るさを調整しても影が残るし、明るくしすぎるとハイライト部が真っ白くなってしまう。

 

ちなみにやわらかな光とは、薄曇りのときのような拡散した光のこと。直射日光が当たる場所では影が強く出ることで食材の質感が損なわれ、画面もうるさくなってしまう。なお、室内照明を使って撮ると、トーンが滑らかになるものの、フラットすぎて立体感に乏しい写りになる。程よい立体感はありつつも、きつい影ができないのが窓辺の自然光の良さなのである。

 

窓辺でも光が強ければ、レースのカーテンで遮光したり、光が直接当たらない部屋の奥まで入ったりすればOK。逆に光が弱ければ、窓の近くに寄って撮ろう。日中のレストランやカフェでは窓辺のテーブルを選んで、窓と向かい合うような席に座るのがベストだ。