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レトロ電車の勇姿を撮れるのもあとわずか! 「ことでん」のおすすめ撮影スポット

通称「ことでん」こと高松琴平電気鉄道は、四国の香川県高松市を起点として、県内に3路線持つローカル私鉄。かつて大都市を走った京浜急行や京王電鉄、名古屋市営地下鉄などの中古車両が使われているが、その中で異彩を放っているのが、大正~昭和初頭に作られた4両の旧型車両だ。これらの車両は「レトロ電車」と呼ばれ、月に1回のペースで定期的に運行されてきた。

ところが、車両の老朽化に伴い、2020年5月から2021年にかけて全車両が順次運行を終了し、作業用として残される300号(開業当時と同じ茶色一色の車両)を除き廃車となることが発表された。

レトロ電車の4両のうち、3両はことでん琴平線の開業当時から走るオリジナル車両。大正15年(1926年)製の120号、300号、昭和3年(1928年)製の500号は、全長が約15メートル(他の車両は約18メートル)と短い半鋼製車(車体は鋼鉄製、内装は木材使用)で、昔懐かしい吊り掛けモーターを唸らせながら本線上を走る。この3両は経済産業省により近代化産業遺産に指定された貴重なもので、運転日には通常の運賃のみで乗ることができる。

もう1両の23号は、大正14年(1925年)に近鉄南大阪線用に作られた車両で、1961年に近鉄から移ってきたもの。この車両には、2000年ごろまで旧型車に使われていたファンタゴンレッド(朱色がかった赤)とクリーム色を組み合わせたリバイバルカラーが採用されている。 

▲茶色とクリーム色のツートンカラーが美しい500号と120号のレトロ電車2連。この姿を見られるのも2020年9月まで。

 

月に1回のレトロ電車運転日には、高松築港・琴電琴平間で2両(毎回、組み合わせが変わる)が編成を組んで運転されてきたが、2019年7月からは3両編成で運転されるようになり、10月からは仏生山・琴電琴平間に運転区間が変更された。なお、2019年12月22日(日)には特別に4両編成で運転されることがアナウンスされており、貴重な撮影機会となる。そこで、レトロ電車が運行する区間の中からおすすめの撮影ポイントを5ヶ所、紹介しよう。

■レトロ電車の運行スケジュール (2019年11月1日現在)
2019年11月24日(日)、12月22日(日)
2020年1月12日(日)、2月23日(日)、3月22日(日)
2020年5月(ゴールデンウィーク)には、23号の廃車に伴うさよなら運転を予定
2020年9月(シルバーウィーク)には、500号の廃車に伴うさよなら運転を予定
2021年5月(ゴールデンウィーク)には、120号の廃車に伴うさよなら運転を予定

■レトロ電車の運行ダイヤ
下り 仏生山 10:57発 → 滝宮 11:26着/11:32発 → 琴電琴平 11:55着
上り 琴電琴平 13:19発 → 滝宮 13:41着/13:47発 → 仏生山 14:15着

▲ファンタゴンレッドとクリームを組み合わせたリバイバルカラーの23号。2020年のゴールデンウィークのさよなら運転を最後に廃車となる。写真は車庫のある仏生山駅の側線に留置されているところ。

 

■撮影地の詳しい情報はこちら→ https://getnavi.jp/capa/guide/kotoden/

 

「ことでん」のおすすめ撮影スポット5選

1.土器川橋梁を渡るレトロ電車が撮れる祓川河川敷公園

香川県のほぼ中央を流れる土器川に架かる土器川橋梁。大正15年に竣工されたもので、石積みの橋脚と鋼鉄製のプレートガーダーが当時から使い続けられている。午前中の下り電車は順光になる。よく晴れていたので、土器川の琴平側の河原(祓川河川敷公園)に降りて橋梁を渡るレトロ電車を空抜きで撮影した。また、左から1本目と2本目の橋脚の間に讃岐富士がすっぽりと収まるようカメラポジションを調整した。ことでん琴平線の榎井駅から徒歩15分ほど。

オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO 絞り優先オート F8 1/1000秒 −0.7補正 ISO640 WB:オート PLフィルター使用


 
 

2.象頭山をバックに撮れる土器川橋梁の右岸堤防

土器川を渡る赤い京急カラーの電車を土器川橋梁の高松側から撮影した。堤防の上の道でカメラを構えると、背景に金刀比羅宮のある象頭山が入る。土器川橋梁へはことでん琴平線の榎井駅から徒歩20分ほど。なお、ことでん琴平線は架線柱が北側に立っていることが多く、線路の南側から撮ると、架線柱が邪魔にならない。

オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO 絞り優先オート F7.1 1/640秒 −0.7補正 ISO800 WB:オート PLフィルター使用


 

3.サイドから編成写真を狙える羽床の大築堤

ことでん琴平線の羽床駅と土器川橋梁の間にある高さのある築堤は人気の撮影ポイント。琴平線の南側を平行して走る県道282号線の歩道から狙うことができる。手前は田んぼになっており、撮影した9月中旬は黄金色の稲穂が揺れていた。レトロ電車が2~3両編成の場合、2本の架線柱の間に収まるので、フレーミングの目安にしたい。このポイントは羽床駅から徒歩10分ほど。

オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO 絞り優先オート F7.1 1/500秒 −0.7補正 ISO800 WB:オート PLフィルター使用


 

4.連続する石積みの橋脚が印象的な香東川橋梁

ことでん琴平線の一宮・円座間にある香東川橋梁はことでん琴平線の開通に合わせ大正15年に竣工されたもので、石積みの橋脚と鋼鉄製プレートガーダーは開業当時のまま。橋梁の左岸(琴平寄り)にある遊歩道から200ミリ相当の望遠で撮影。短い間隔で並ぶ橋脚が重なり合うように電車の正面寄りから狙った。ことでん円座駅から徒歩10分強。近くにある廣旗神社を目指すとわかりやすい。なお、このレトロ電車は個人の貸切電車で特製のヘッドマークと「急行」マークを付けたレアなもの。

オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO 絞り優先オート F7.1 1/500秒 −0.3補正 ISO640 WB:オート


 

5.4月上旬限定! 桜が咲く岡本駅の2番線ホーム

ことでん琴平線の岡本駅は、桜の花が咲く4月上旬限定の撮影ポイント。この駅は他の駅と違い右側通行になっており、上りのレトロ電車は桜の咲く上りの2番線ホームに止まった。写真は下りの1番線ホームから撮影。左手奥にも桜が見えたので、画面に収まるようにフレーミングした。

オリンパス OM-D E-M1 ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 絞り優先オート F8 1/320秒 −0.7補正 ISO400 WB:オート マウントアダプターMMF-3使用