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【動画で“自分の世界”を究める新進映像クリエイターたちの活躍・第5回:大川優介】自らの体験や思いをスタイリッシュに表現するシネマティック作品

YouTubeやVlogなど、スチル写真とは違ったカタチで作品を生み出すクリエイターがいま注目を集めている。はじめから動画でアプローチを開始した人もいれば、もともとはスチルがメインで徐々に動画の世界に足を踏み入れていった人もいる。映像や作品に対するそれぞれのこだわり、撮影や編集に関するメソッド、さらには機材のハナシなど、6名の新進クリエイターたちに動画への想いについて熱く語ってもらった。今回は大川優介さんをご紹介!

 

動画で“自分の世界”を究める新進映像クリエイターたち

  1. ビートないとー – ワクワクドキドキの旅&キャンプ動画
  2. 藤原嘉騎 – 雄大なドローンスケープの世界
  3. SUMIZOON – 美しい光と構図で描く独特の世界観
  4. 清水大輔 – 技法を駆使したタイムラプス映像
  5. 大川優介 – 自らの体験や思いをスタイリッシュに表現するシネマティック作品
  6. 村上悠太 – まるで鉄道写真が動いているような写真家ならではの画作りを追求

 

大川優介(Yusuke OKAWA)

1997年、神奈川県生まれ。独学で映像を学び、2018年に(株)TranSeを創業。「動画で未来を創る」ことをミッションに映像制作を行うとともに、自身のYouTubeチャンネルを通じ、ハイクオリティな動画コンテンツを発信し続けている。

<YouTubeチャンネル>

https://www.youtube.com/c/YusukeOkawa

自分の体験や思いをスタイリッシュな映像として表現する作品を「シネマティック」と呼んでいる。『My Year 2018』は、2018年にハワイやミャンマーなどさまざまな国や地域を訪ね、たくさんの人々と出会った様子などを軽快な音楽に乗せてテンポよく構成。今まで関わった、すべての方に感謝を込めて。

My Year 2018

 

原点はハイスクール時代体験型の映像を創り出す

幼いころから屋外で遊んだり、国内外の旅行に連れて行ってもらうのが大好きでした。動画にハマったきっかけはサーフィンやスノーボードをGoProで撮り始めたことでしょう。映像をYouTubeにアップしたら、想像以上に反応がもらえ、情熱が一気に高まった。さらにGoPro主催のコンテスト受賞という幸運にも巡り合えました。

 

もともと起業に興味があったため、大学の友人と動画を扱う会社を作りました。今ふり返ってみるともう少し前、高校時代に映像制作の原点があったかもしれません。当時、僕はバスケ部の部長で、ケガのため引退試合に出られなくなってしまった。そのとき親友がビデオメッセージを贈ってくれた。仲間との絆が心に染み、勇気づけられて、〝映像の力〞を感じたんです。

 

カメラは適材適所で使い分け新鮮な視覚体験を前面に

今は、映像制作のチュートリアル動画とVlog、それに「シネマティック」と呼んでいる自分の体験に基づいたショートムービー、主にこれら3タイプの動画作品を制作しています。

 

シネマティックの撮影では、いわゆるシナリオ作成や、大がかりなロケハンは行いません。例えば、自分が訪れてみたい場所、その大まかなエリアを決めて、少人数のチームでドライブしつつ、美しい情景を探すなどしています。

 

もちろん、許可が必要な場合は事前に申請しますし、いざ撮るときも、どんな狙いのどういったカットなのかはカメラマンやアシスタントに説明をして、撮影後は必ず再生チェックします。撮影機材はスマホからデジタル一眼レフ、あとデジタル・シネマカメラなど、動画の内容、納品・発表形態や被写体、現場の状況を考え、いくつかを使い分けています。スチルも撮ったりするので最近はキヤノンEOS 5D Mark IVの出番が割と多いかもしれません。

 

機材は丁寧に扱っていますが、どうしても空撮や水中撮影など非日常的なビジュアルを求めたくなるので、水中ハウジングの使い方に起因する水濡れなど、過去に幾度かカメラを壊しています。ですから機材選びは、画質の良さや扱いやすさとともに、堅牢性も気になります。

 

スタッフのコミュニケーションも大事

自分でもカメラを回すし、自ら被写体となるシネマティック作品ではスタッフが撮影することも。フリーのビデオグラファーやサロンメンバーと組むケースもあり、機動力を生かせる少数精鋭のチーム編成だ。

 

カメラは操作性と画質にこだわる

最近、念願だったレッドHELIUM 8K S35を入手した。REDといえば、ARRIと並ぶプロ御用達シネマカメラのブランド。劇場映画のエンディングに「SHOT on RED」と記されているのを目にしたことのある方も多いはず。ほかにドローンやジンバル、外部マイク、三脚なども積極的に活用する。

 

アクティブな撮影状況で機材を壊すことも……

安全配慮は欠かさないが、現場では想定外の出来事も多い。先日もドローン撮影中、山の斜面の降下中にロストさせてしまい、道なき道を歩き回って壊れた機体を発見。幸いメディアは無事だったので動画データは回収できた。

 

映像と音楽の融合に加え自ら楽しむ気持ちを心がける

編集ソフトはあれこれ使ってきましたが、最近はAdobe Premiere Proを愛用しています。時系列でつなげたり、まずはインパクトのある映像を冒頭で見せる構成にしたり。僕のシネマティック作品はあまり長尺ではないため、ミュージックビデオのような、音楽のビートに合わせた編集を行うケースが多い。やはり映像作品はビジュアルとサウンドの融合で成立する割合が大きいので、BGMの使い方も重要だと認識しています。

 

また、トランジションやエフェクトはあくまで被写体やテーマを際立たせる手法ですので、例えば過剰なスローモーションなど使わないようにしています。

 

撮影前や撮影中にBGMのイメージが浮かぶことがけっこうありますね。「今回は明るいポップなテイストにしよう」とか、「バラードが似合う落ち着いたトーンでまとめよう」とか。あくま
で世界観や雰囲気ですが、自分のワクワク感に合わせてカメラを回しているのだと思います。

 

いずれにしても普段から心がけているのは、自分やスタッフが楽しんで撮っているか、興味や好奇心を大切に被写体に向かい合っているか、ということ。そうしないと、目にした人々の心も動かせないのではないでしょうか。

 

アクティブでポジティブな気持ちは動画にも表れ、きっと皆さんにも伝わる。そんなふうに心の真ん中で信じています。

 

キメ細かな設定ができる編集ソフトを愛用

動画編集ソフトは、Adobe Premiere Proを選択。音楽に合わせリズムを刻むように各クリップを載せていく。After Effectsなどほかのソフトとの連携しやすさと映像制作の自由度の高さから、現在はこちらに切り替えた。

 

海外のBGM音源を積極的に活用

基本的にBGMは海外の著作権フリー音楽サイトを使うようにしている。サウンド面だけでなく、海外のセンスのいいYouTuber作品や映像作家のVlogにインスパイアされることも多い。


<よく使う海外の音楽サイト>
Evoke Music
https://evokemusic.ai/ja

Epidemic Sound
https://www.epidemicsound.com

Artlist
https://artlist.io

Musicbed
https://www.musicbed.com

 

株式会社TranSe

設立から3年。現在の主な活動は3つ。「シネマティック」作品の公開に加え、動画オンラインコミュニティ「TranSe Salon」と動画制作のオンラインセミナー「TranSe Media」の運営を手がけている。
https://transe-inc.com/home

 

<TranSe Salon>
動画好きの、動画好きによる、動画好きのためのコミュニティサイト。

https://one-choise.com/community

 

<TranSe Media>
動画制作のノウハウなどが学べるチュートリアルサイト。

https://one-choise.com/media

 

取材/金子嘉伸