“密”にならずにアウトドアを満喫できるキャンプが人気を集めている。自然の中に足を踏み入れれば、カメラを向けたくなる被写体が無限に散らばっているハズ。ソーシャルディスタンスを上手にキープして、キャンプ+写真撮影「撮るキャン」を楽しもう。
前編では、アウトドアライター・渡辺圭史さんの「撮るキャン」に同行して、テント設営から夕方までの過ごし方をレポートした。後編では、ディナータイムから夜の撮影タイムに密着。キャンプ場周辺で出会えそうな被写体の写真は、引き続き風景写真家の深澤武さんに解説していただいた。
- 「撮るキャン」密着レポート【前編】
- 「撮るキャン」密着レポート【後編】
【18:00】ディナータイム
食事はキャンプの中でもメインイベント。豪華な食事を用意したいところだが、準備に手間がかかっては、のんびりする時間がなくなってしまう。あくまでも、くつろぐことが前提。スケジュール的には、お昼ごはんを食べてのんびりしたら、ゆっくりと夕食の準備をするのが、慌てることなくディナータイムに突入できるタイミングだ。
炎を眺めているだけで心が落ち着いてくる
薄暗くなってくると気温が下がってくる。そろそろ炎を手に入れるタイミングだ。暖をとるにも、気分を落ち着かせるためにも、炎が効果を発揮する。
充実のディナータイムは焚き火を囲みながら
日が落ちると、キャンプサイトは一気に冷え込んでくる。日中は半袖でいても、早めに上着を羽織らなければ風邪をひいてしまう。特にキャンプでは温かい空間が確保しにくいので、低体温症になることもあって危険。自分は大丈夫と思っても十分注意したい。
暖をとるには焚き火が一番。昼間、焚き火が楽しくて、つい薪を使い切ってしまった、ということがないように、夜の分も十分に備えておこう。焚き火は料理にも使えるので、ディナーと焚き火は相性がいい。
夜がもっと楽しくなる焚き火ソトごはん
せっかく焚き火をするのなら、炎を調理にも利用したい。コンパクトな焚き火台の上に鉄板をセットするだけで、余分な油が流れ落ちて肉が美味しく焼ける。
焚き火で調理をするには、焚き火台を使う方法と薪ストーブを利用する方法がある。直火の焚き火台であれば、強力な炎が食材の表面を焼き、遠赤外線でほどよく内部に熱を通す。いつもは食べないような大きめの肉を焼けば、テンションも上がる。キャンプに来た醍醐味を満喫できること間違いなしだ。また、調理用の薪ストーブを使えば、火加減の調整が楽で、シチューなどの煮物をするのにちょうどいい。
このように焚き火を上手に使って、ディナーの調理はサラリと済ませるのがベスト。もちろん、レトルト食品を使ってもいい。肉を焼くだけなら簡単だし、とにかく、食後の撮影タイムを確保することが大切。撮るキャンの本番はここからなのだ。
夕暮れ時は必ず押さえたい! 雲と光が作りだす神秘的な空模様
夏の夕日は光が強く、タイミングが合えば鮮やかな夕焼けに出会える。波静かな浦富海岸で穏やかな夕景を捉えることができた。
【23:00】夜の撮影タイム
今回のキャンプの目的は写真を撮ること。街の明かりが少ないキャンプ場でしか見られない光景に期待してしまう。満点の星空が広がり、遠くに薄っすらと富士山の影が見える。写真を撮るには最高のシチュエーションとなったが、雲がないので放射冷却が進み、冷え込みが厳しくなってくる。いい写真を撮るには、しっかりとした防寒も必要だ。
散策で見つけたポイントに三脚とカメラをセット
普段生活している街と違って、キャンプ場の夜は月明かりだけが頼り。少し薄暗いうちからカメラをセットして、夜の撮影に備える。
都市部では拝めない「星降る夜」を記録に残す
羊蹄山をワンポイントにして、夏の天の川が横切る星空を15ミリフィッシュアイレンズで撮影した。32分30 秒露光で星の軌跡を捉えた。
ホタルの撮影に的を絞ったキャンプもアリ!
4分露光で夜の水辺を舞うゲンジボタルの飛翔を捉えた。ホタルの活動を妨げないよう、明るいうちにピントなどを合わせてスタンバイした。
【まとめ】自然の中に飛び出そう!
真っ暗な夜を過ごし、風の音を聞き、炎を眺める。このようなキャンプを体験すると、誰もが持っている、人間本来の本能が呼び覚まされる感覚を覚えるだろう。アウトドアフィールドに出ていかないと、いつまでも忘れていたかもしれない感覚だ。時々、アウトドアに飛び出して、この感性を磨くことで、きっと、普段の生活や物の見え方にも変化が表れるはずだ。