2021年は少しずつ良い方へ変化の兆しが見え始めた1年でした。2022年は久しぶりに楽しい写真ライフを過ごせることを願って、プロ写真家やカメラライターに「2021年に買ってよかったモノ」を一斉調査しました。さあ、どんなアイテムが出てくるかお楽しみに!
村上悠太さんの2021ベストバイ「キヤノン RF24-240mm F4-6.3 IS USM」
初めて使う高倍率ズームレンズはどんな撮影でもオールマイティにこなしてくれる
着々とラインナップ拡充中のキヤノンRFレンズですが、かねてから気になっていた10倍ものズーム域を持つ「RF24-240mm F4-6.3 IS USM」を、2021年に導入してみました。実は高倍率ズーム自体人生で初めての購入で、画質はもちろん、その使い勝手に興味津々でした……。
まずは気になる画質ですが、はっきり言って何も問題はありません! 高倍率ズームというと「やっぱり画質は……」というイメージがあったのですが、そこはさすがのRFレンズ。EOS史上最高解像性能をうたう約4500万画素の「EOS R5」と組み合わせてもズーム全域で不安のない安定した画質を魅せてくれます。
高倍率ズームなので開放F値がF4〜F6.3と暗めですが、大きなボケ表現をしたければ、こちらも愛用中の「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」などのコンパクトな単焦点レンズを1本合わせて携行しておけばいいし、望遠域では十分にボケを生かした表現ができます。カメラの高感度性能がすごく優秀な今、「このF値の暗さはそこまで大きなリスクにはならないかなー」というのが僕の印象です。さらに最近ではどんどん動画を撮影することが多くなっているのですが、スチール撮影用とは別に動画向けにもこのレンズを1本持っておけば、どんな撮影地でもオールマイティに対応できます。
24mmスタートが大きなアドバンテージ
そしてなにより、一度使い出すとその利便性に感動しました! 24mmから240mmまでありとあらゆる焦点距離をカバーし、さらにカメラ側のクロップ機能を使えばさらに384mmまでエクステンションできるのも非常に便利! カメラが高画素化している今、クロップや若干のトリミングで焦点距離の不足をカバーできるようになりましたが、広角側はそうもいかないので、ズーム端が「28mm」ではなく「24mm」スタートというのも見逃せないポイント。
ちょっと前までは、現場まで車で向かい、しっかりと三脚を構え、大口径レンズでじっくりと撮るというスタンスが主流だった僕ですが、最近はなるべくコンパクトな機材でパシャパシャ撮っていくスナップスタイルが多くなってきました。移動手段も列車など公共交通機関の比率が増え、その道中のふとしたシーンなどを撮影するのに今は夢中です。こうなってくるといよいよこのレンズは重宝します!
仕事のシーンでも、例えば報道公開のシーンなど、限られた時間内でさまざまな画角でどんどん撮影していかないといけないケースなどでは、このレンズと「RF15-35mm F2.8 L IS USM」のコンビで撮影にのぞみ、15mmから240mmまでを2本のレンズでカバーしています。
実写作例1
名古屋に建つ高層ビルの隙間に東海道新幹線最新鋭の「N700S」が滑り込んできた。道を歩いている時「新幹線の顔にだけピンポイントに光が当たりそう」とふと気づき、すぐに構えた。
実写作例2
日本最南端の鉄道「ゆいレール」。勾配や急カーブに強く、レールがクネクネしているモノレールは望遠レンズの圧縮効果を生かして撮るのが面白い。荷物が減らせるこのレンズは今まで見逃していたシーンにも気づくことができる。