サッカー、馬術、卓球など多種多様なスポーツを端正に美しく、ときに大胆に激しく切り取ってきた中西祐介さん。昨年からはプロバスケットボールリーグ・B.LEAGUE「ファイティングイーグルス名古屋」のクラブオフィシャルフォトグラファーも務めるようになった。そこで今回、バスケットボール撮影のこだわりなどをうかがった。
報道カメラマンの現場NEXT
- 水谷章人 × 第62回NHK杯 体操
- 中西祐介 × B.LEAGUE ファイティングイーグルス名古屋
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- 髙須力 × セパタクロー
報道カメラマンの現場NEXT② 中西祐介 × B.LEAGUE 2022-23シーズン ファイティングイーグルス名古屋
俊敏なAF性能で「ここしかない一瞬」を捉え切る
写真を見た方がスリーポイントシュートの軌道を瞬時に想像できるようなフレーミングで構図を決めた。高速シャッターだが、レンズのIS (手ブレ補正機構) がフレーミングのしやすさやAFのより俊敏な合焦につながっている。
「EOS R3」との組合せが◎! 使用頻度の高い望遠ズーム
中西祐介さんの撮影機材はすでにデジタル一眼レフカメラからミラーレスに完全に移行している。発売当初は、特にバスケットボールなど複数の選手が目まぐるしく交錯するスポーツ撮影では、必ずしもミラーレス機が最適解だとは思っていなかったという。
「EOS R3をテストさせてもらい、杞憂だと気付かされました。ファインダーでの被写体の追いやすさもAF性能も高速連写も文句なし。すぐに購入し、今ではスポーツ撮影のメインカメラとしてフル稼働してくれています」
今回紹介した写真は、昨シーズンからB.LEAGUEのB1カテゴリーに昇格した「ファイティングイーグルス名古屋」の公式戦カットだ。これまで出版社やフォトエージェンシーで数々のスポーツを撮ってきた中西さんでも、プロトップリーグの撮影となれば相当な集中力が求められる。
「試合の多くはRF70-200mm F2.8 L IS USMで狙います。大口径望遠ズームとしては小型軽量で、EOS R3との重量バランスもいい。選手入場前からヒーローインタビューまで、長時間の撮影でも被写体に集中できます」
ホームアリーナ以外にも、アウェイ戦では照明設備の異なる複数の競技場での撮影をこなさなければならない。「EOS R3もEOS R5もEOS R6 Mark IIも高感度画質は優秀ですけど、やはり明るいレンズのほうが安心できる。F4とF2.8ズームの差は意外と大きい。バスケのほかにも屋外スポーツではナイターなども珍しくないですからね」
優れた操作性で選手の素早い動きを確実に捉えた
取り回ししやすい「RF70-200mm F2.8 L IS USM」で、司令塔・笹山貴哉選手 (#21・PG) がディフェンスをかわして鋭く切り込んでいく瞬間を狙った。両足が浮いているのがポイント。
逆光にも強く絵柄優先で構図を決められる
ファイティングイーグルス名古屋の選手たちが入場してくるシーン。競技会場は暗転し、スポットライトが選手を浮かび上がらせる。「RF70-200mm F2.8 L IS USM」は逆光にも強く、光源が画面内に入ってもクリアに描写してくれた。
RFレンズ共通の描写力と操作性に全幅の信頼を置く
フリースローを行なうジェレミー・ジョーンズ選手 (#22・SF/PF) を「RF400mm F2.8 L IS USM」で切り取った1枚。AFは試合では「領域拡大 (上下左右)」だが、選手の表情などは「瞳AF」を活用する。切り替えはカメラの [SET] ボタンに割り振っている。
事前に情報収集と予習をして写真ならではの表現にこだわる
レンズ選びのこだわりをたずねてみると、第一に「描写性能の高さ」で、同じくらい重視しているのが「軽量コンパクトさ」、次に「操作性と耐久性」だと迷いなく答えてくれた。
「移動も多いですから、かさばらずにカメラバッグに収納できると嬉しいですし、バスケ撮影では基本カメラボディ3台持ちなので、少しでも軽いと本当に助かる。RF70-200mm F2.8 L IS USMはその意味で理想に近い大口径望遠ズームと言えますね」
バスケは展開が早く、撮影場所が選手に近いため、体感スピードは相当速くなる。そのため機材の俊敏さ以上に撮り手の “動体予測” が成否に直結する。
「選手にそれぞれ得意技があったり、チームの戦術によって選手たちの動きが途中で変わったりする。事前の情報収集や予習は必須。EOS R3の電子シャッター撮影はファインダーがブラックアウトしないので、選手たちのトリッキーな動きを追うときなども対応しやすい。あと、高速シャッターとはいえ気を抜くと手ブレしてしまうので、RF70-200mm F2.8 L IS USMの強力なIS (手ブレ補正機構) にはかなり助けられています」
「改めて重要だと感じているのは」と言葉をつなぐ中西さん。「依頼主や被写体である “相手” をきちんと意識して撮ること。ひとりよがりの写真にならないよう、常に肝に銘じています」
B.LEAGUEの新シーズンが10月からスタートする。中西さんの真っすぐな視線は、これからも選手たちの躍動を鮮やかに描き出してくれるに違いない。
信頼のRFシステムでどんなシーンも撮り逃さない
万能に使える望遠ズーム! 移動や携行時のラクさが魅力
スポーツ、とりわけバスケのゲームを撮るのに欠かせないのが、「RF70-200mm F2.8 L IS USM」だ。描写性能、AF、手ブレ補正機構、使い勝手など、まさに死角なし。F2.8 ズームとしては小型軽量という点が大いに気に入っている。
解像感もボケ味も納得! 発売時すぐに購入した
小型軽量ながら、描写性能が犠牲になっていない。ズーム全域での画質に満足している。逆光耐性にも優れ「写真表現としてかすかにフレアを入れたいのに」と思うことすらある。
繰り出しズーム採用でコンパクトさが際立つ
収納時の全長は約146mm。繰り出しズームを敬遠するユーザーもいるようだが、個人的には気にならない。3年ほど使用しており、耐久性についても全く問題を感じない。
収納性に優れストレスが格段に減る
「RF70-200mm F2.8 L IS USM」は愛用するスリング型バッグ (フォトクロス10) に、標準、広角ズームとともに縦に収納可能。レンズ交換も、バッグを体に付けたまま素早くできる。
3~4本持ちでも機動力アップ! 軽量なRFレンズの恩恵は大きい
臨機応変に対処するために、スポーツ撮影では基本カメラ3台体制でレンズ交換の手間を省く。「RF70-200mm F2.8 L IS USM」を「EOS R3」にセット。「EOS R5」に「RF15-35mm F2.8 L IS USM」、「EOS R6 Mark II」に「RF24-70mm F2.8 L IS USM」を装着。ここに状況により「RF400mm F2.8 L IS USM」が加わる。
公共交通での移動も考慮してリュック型のバッグを愛用
長時間撮影も多いので、「EOS R5」と「EOS R6 Mark II」にはバッテリーグリップを装着。右の白いフィルターはWBをマニュアルセットするための「エクスポディスク」。機材への余計な振動を防ぎたいのでバッグは背負うようにしている。
自分が納得できれば基本OK。使える機能は積極的に活用する
以前はカメラのAFサーボ特性を使い分けていたが、いろいろと試した結果、バスケにはほぼオートの「Case A」がベストマッチ。また、ふとした拍子にEVFからモニターに表示が切り替わることを避けるため、画面の表示先は「ファインダー固定」に設定している。
高信頼性&高速タイプカードの選択も慎重に
万が一にも撮影画像に問題が起きてほしくない。プロカメラマン仲間の生の声も参考にして、現在はプログレードデジタルのSDカードとCFexpressカードを愛用中だ。
“速報”も大事な公式業務、画像の整理にも工夫を凝らす
チームの公式戦を1日追い続けると、撮影コマ数は3000カットに達することもざら。必要なときにすぐ探せるように撮影日・場所やシーン、選手別でファイル分けしている。
24本が対象! ENJOY RF LENS キャッシュバックキャンペーン ―EOS Rシステム“5周年”感謝祭―
EOS Rシステムが5周年を迎えたことを記念して、最大20,000円分をキャッシュバックするENJOY RF LENS キャッシュバックキャンペーン ―EOS Rシステム“5周年”感謝祭―」開催中! 対象製品は、RFレンズ22本とエクステンダー2本。キャンペーン期間中に対象製品を購入して応募した全員に、機種に応じて最大20,000円分のVISAギフトカードがプレゼントされる。対象購入期間は2023年10月10日まで。
中西祐介 (なかにし ゆうすけ)
1979年生まれ。2018年よりフリーランス。スポーツ全般を主な被写体として、オリンピックは北京2008から東京2020までの4大会を取材。アスリートたちの喜怒哀楽をクールに浮き彫りにする作風に定評がある。卓球 ノジマTリーグ「日本ペイントマレッツ」、プロバスケットボール B.LEAGUE「ファイティングイーグルス名古屋」の公式撮影も担う。
→ WEBサイト
B.LEAGUE 2022-23シーズン ファイティングイーグルス名古屋
〈取材〉金子嘉伸 〈取材撮影〉我妻慶一