ドローンメーカーの代名詞となりつつあるDJI。アクションカメラ「Osmo Action」シリーズやジンバル一体型カメラ「Osmo Pocket」シリーズなどの人気も高く、いま最もエネルギーを感じる映像機器メーカーと言っていいだろう。そのDJIの中国本社を見学するメディアツアーが、2026年6月9日に開催された。その様子を紹介しよう。

外観からして圧倒的な「DJI Sky City」
DJI本社は、中国・広東省の深圳 (しんせん) 市に2022年オープン。その名も「DJI Sky City」。会社の急成長に伴い、深圳のいくつかのビルに分散していた拠点を統合し、会社名である大疆新創 (中国語で「国境のない革新」) を物理的な形にするという建造物を目指して建てられた。「天空の城」とも呼ばれている。

米アップル本社 (Apple Park) も手掛けた世界的に有名な建築家チーム「Foster+Partners」(フォスター・アンド・パートナーズ) が設計を担当。高さは200mを超え、44階と40階の2つのタワーで構成されている。タワー全体が、中央から大型のメガトラスで片持ち式に配置されており、遠目には建物が宙に浮いているかのような印象を与える。タワーはそれぞれT1、T2と呼ばれ、T1にはマーケティングやセールス、T2は研究開発部門などが入っており、6000人以上の社員が働いている。

深圳は、香港のすぐ北に位置する都市で、ユネスコのデザイン都市トップ10のひとつだ。
夜には不夜城が出現。さまざまな方法で、無駄なく省エネルギーがはかられているそうだ。深圳は地殻が安定していて、日本では考えられない自由な建築物が多い。ナイトスポットとしても人気上昇中。

「天空の城ラピュタ」がモチーフの空中庭園
建物はエントランスからビッグサイズ。デザインはT1、T2ほぼ共通になっている。T1のエントランスから建物の中へ。

T1、T2ともに、樹齢100年以上という巨大なクロマツがエントランスで出迎えてくれる。創業者のフランク・ワン氏が「無機質な建築物に自然を融合させたい」との意向により、一期一会を大切にしたいという思いも込められている。

社屋の各所に、吹き抜けになった空中庭園 (スカイガーデン) があり、社員の休憩所などに使われている。日本のアニメ映画「天空の城ラピュタ」にインスピレーションを得ているとか。

ここは18階の空中庭園。隣のタワーがよく見える。上の方に橋がかかっている……?

遊び心がすごい! 地上105mの吊り橋を渡ってみた
こちらがその「スカイブリッジ」。24階、地上105mの高さでT1とT2を90mの吊り橋1本で結んでいる。遊び心がすごい。もちろん、渡ってきた。

手すりはあるが、風を感じる抜き出しの空間で、開放感にあふれまくっているから、眺望は絶品。環境にも配慮され、計画的に都市整備された地上がよく見える。

これは1階のショップにあった「DJI Sky City」の模型で、中央がスカイブリッジ部分。橋の構造がよくわかる。

ショップにはオリジナルのアパレルも
1階にはDJIブランドショップがあり、誰でも利用できる。DJIのさまざまなアイテムをその場で購入できる。

DJI製品に混じって、オリジナルTシャツ、バッグなど、ここでしか買えないグッズも充実していた。

日本国内発表前の「Osmo Pocket 4P」を触ってみた
スカイブリッジをわたってT2へ。開発施設をいくつか見学できた。ただし企業秘密が多く、残念ながら公開は許可されなかった。
代わりに、6月29日に日本で正式発表・発売予定のジンバルカメラ「Osmo Pocket 4P」に触ることができた。「Osmo Pocket 4P」は、カメラを2つ搭載した “二眼” により、ズーム撮影が可能という新タイプのジンバルカメラとなっている。詳細は後日レビュー予定だ。

「Osmo Pocket 4P」は、今まで見たことのないホワイトモデルも展示されていた。これは人気が出そう。ぜひ発売してほしい!

ドローン技術を応用したロボット掃除機「DJI ROMO 2」
発売中の画期的なAI搭載ロボット掃除機「DJI ROMO 2」もお出迎え。ドローンでつちかった障害物検知能力で置いてある物体を避け、壁際まで確実に清掃する。

さらに8.5cmの段差を乗り越えられる。また、高温セルフクリーニング対応のベースステーションで、年間を通してメンテナンスフリーという豪華なロボット掃除機だ。

世界最大級のDJIフラッグシップストアへ
「DJI Sky City」を離れ、次に向かったのは、車で30分ほどの「OCT Harbour (OTCハーバー)」。この深圳湾に隣接する複合施設にはショッピングモールやレストラン、娯楽施設などが集まっており、中でも「DJI FLAGSHIP STORE (DJI フラッグシップストア)」が見どころとなっている。ここは個性的な4階建て建造物で、広さは4000m2超という世界最大級のDJI店舗だ。

1階のショップにはDJIの全製品が並び、大勢の観光客で賑わっている。


ハッセルブラッドの貴重なカメラが並ぶ
3階には、DJI傘下となったハッセルブラッドの製品を集めた「HASSELBLAD EXPERIENCE STATION (ハッセルブラッド・エクスペリエンス・ステーション)」がある。現行製品に加え、限定モデルや歴代カメラが展示され、ハッセルブラッドファンなら一度は訪れたい貴重なコレクションとなっている。

年代ごとに代表的なカメラが並ぶ。こちらは1957年に発売された「500C」。ビートルズなど20世紀のアーティスト撮影でも活躍した。

1969年のアポロ11号とともに月に降り立った「500EL」をベースにした「HDC」の同型機なども並んでいた。


ドローンの操縦も体験
屋上では、日本では法規的に難しい、ドローンの操縦体験ができる。

少し上空に上がると、地上からは見えない香港の街並みを見ることができ、感動した。
まさに天空の城! 今後の展開に期待
DJIの創業は2006年。以来、たった20年ほどで中国を代表するハイテク企業となっている。比較的新しい深圳という街を象徴するかのように、出会ったスタッフは皆若く、エネルギッシュで、自らの生み出すプロダクトで世界に貢献し、より良い未来を築こうという理想にあふれていた。
そして本社である「DJI Sky City」は、その理想を現実世界に具現化したようなまさに “天空の城” そのものだった。勢いに乗っているDJIがこれからどんな製品を見せてくれるのか、とても楽しみになる興味深いメディアツアーだった。
【おまけ】深圳にはすでに完全無人運転タクシーが走っている!
北京・上海に続く中国三大都市のひとつ、深圳。支払いはすべてキャッシュレス (現金はあえて持たなかった)、ドローンによる空中宅急便もスタート。そしてすでに完全無人運転タクシーが走っている。これはぜひとも乗らねばと、時間を作って体験してきた。

アプリで乗車ポイントと下車ポイントを指定するだけで、簡単に無人タクシーを呼ぶことができる。到着までの動きも逐次アプリに表示され、ワクワク感が高まる。運行はまだ一部の地域限定だが、すでに深圳空港まで乗り入れが可能となっている。

ドアの開け閉めや支払いはアプリで可能。リアシートの液晶モニターでスタートボタンを押すと、自動で発進する。信号では止まり、左折 (左ハンドルなので) や名物の乱暴なスクーターの飛び出しにもしっかり対応する。乗車中、ハンドル横のモニターに周囲の状況がリアルタイムで3Dモデル化して表示されていた。そのセンシング能力の高さに驚愕。彼の地では日本とは比べ物にならない自由さで物事が進歩している。日本も頑張らないと!

〈文・写真〉稲葉利二