セレクトに頭を抱えつつ、撮って出しの作品で講評会
1時間半の練習走行は、気づけばあっという間に終了。セミナー会場に戻って講評会です。さぁ、ここからが大変。撮影した写真の中から小林先生に講評をもらう2点を選びます。中には6,000カット以上を撮った参加者も。セレクトタイムは30分の予定でしたが、少し時間オーバーとなりました。ここからは、参加者それぞれの作品と小林先生の講評をお届けします。

細井渉さん

ダンロップの進入のところで、通常は金網で見えない位置から、WECならではの看板と赤いトヨタのハイパーカーを狙いました。1/15秒の手持ち流し撮りで背景の木々を流して、光を浴びたマシンのきれいな発色を表現しました。
小林稔先生の講評
背景を広めに入れた構図や、スローシャッターによる木々のブレ感が良く、車もしっかり止まっている。トヨタの赤い車がすごく印象的だね。車の配置や構図の作り方が非常に巧みです。

細野勉さん

サービスカー出口付近の芝生エリアから縦位置で撮影しました。WECならではの看板の赤、塗り直された縁石の赤、フェラーリのマシンの赤という「赤の要素」をまとめた構図にしてみました。
小林稔先生の講評
すごくまとまっているんだけど、要素 (縁石・車・看板) を詰め込みすぎた「欲張り写真」になっているかな。見せたいテーマを1つに絞り込んでシンプルにまとめることで、写真としての力強さが増すと思います。

松室誠さん

ダンロップコーナーの進入です。ハイパーカーの中で唯一、ブレーキローターが赤く光って見えたアストンマーティンを狙い、正面から光が当たるタイミングを意識してアップで捉えてみました。
小林稔先生の講評
ハイパーカーのローターがなかなか赤く見えない中、見えるマシンを見極めて、見せたい部分をはっきりさせている。ブレーキローターの赤さを目立たせるために、余計な要素を削ぎ落として大アップで切り取った画角選択は良かったと思います。

西野和昭さん

後続のハイパーカーとの距離感を保ちつつ、若干のスローシャッターで縁石を流して撮影してみました。スローシャッター時にピントが車体中央に引っ張られ、前後がブレるのはどうしてでしょうか?
小林稔先生の講評
シャッタースピードの選択が良く、縁石が効いたバランスの良い作品ですね。マシンの旋回時は車体中央 (センター) にあるコックピットを中心に狙って流し撮りすると、前後部分の移動量が物理的に大きくなるので、写真上の流れが強く写ります。コックピット内のドライバーを止めて撮りたい場合「ヘルメットだけをニラミつけてシャッターを切ると止まって写る!」と言いますが…嘘か真か (笑)。

川島康平さん

ダンロップを抜けていくところで、マシンが要所にきれいに配置された瞬間を、1/150〜1/200秒程度のシャッタースピードで捉えました。もう少し流しても良かったかなとも思います。
小林稔先生の講評
手前に大きな要素があっても、BMWのマシンにバシッとピントが合って、流れながらも止まっている。圧倒的な存在感があるため、いろいろな要素が入っていても欲張り感を感じさせない非常に良い写真です。

船越陽太さん

600mmにクロップ (900mm相当) をかけ、縁石に深く乗りあげるマシンを正面から狙いました。マシンの左側に後続車のヘッドライトの光が当たる瞬間を捉えました。
小林稔先生の講評
フォードのマシンがバーンと浮き上がるのを狙って撮っていますね。狙い通りに撮れるというのは、すごく大事。クロップを効果的に使っていて、狙い通りのインパクトと迫力を見事に形にしています。

増田直也さん

ダンロップ正面立ち上がりです。マシンが凝縮するポイントで、フロントを確実に止めつつスローシャッターで後続車のヘッドライトを流し、躍動感・動感を表現しました。
小林稔先生の講評
明確な考えを持って撮っている写真は伝わりますよね。言葉での説明が不要なほど「フロントを止めてリアの光を流す」という意図がストレートに伝わる、非常に迫力があって力強い写真です。

中島竜珠さん

昨年から、WECでBMWのマシンがダンロップで跳ねる挙動を知っていたため、金網がないイン側のコースサイドという利点を生かし、側面からジャンプする瞬間を高速シャッターで撮影しました。
小林稔先生の講評
「被写体への深い理解 (マシンの挙動知識)」というのは大切なんですよね。これはモータースポーツに限らず。知っているからこそ撮れる写真があって、「被写体への深い理解」がそのまま素晴らしい写真として結実した最高の例です。

渡辺将人さん

皆さんも撮影されていましたが、ダンロップコーナーでアストンマーティンのマシンが縁石に乗って浮く瞬間を、あえて遅めのシャッタースピードで流して撮影しました。
小林稔先生の講評
通常は高速シャッターで力強さを出す「跳ね」のシーンをスローシャッターで撮ることで、背景のグリーンや木々の流れが柔らかく合わさり、詩的で抒情的な表現になっています。

joeiさん

S字の奥行のある写真が好きで、めったに見られないトヨタ2台のランデブー走行という一瞬のチャンスを逃さず、フロントにピントを合わせて適度なシャッタースピード (1/320秒程度) で流し撮りしました。
小林稔先生の講評
トヨタの2台が揃う貴重なシーンを見逃さずに、きっちり止めた集中力は素晴らしい。シャッタースピードも、後続車がきちんと認識できる絶妙な設定です。少ないチャンスでいかに撮れるかは大切です。
