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全農産物を「有機栽培」にシフトしたばかりのスリランカに暗雲が……

全農産物の有機栽培へのシフトを進めているスリランカ。2021年4月、同国政府は化学肥料の輸入規制を明らかにし、翌月に化学肥料輸入規制の政府公報を発表。オーガニックな農産物を世界に広める第一歩を踏み出しましたが、先日、一時的な方針転換を発表。暗雲が立ち込めています。

有機農業にシフトしたスリランカだったが……

 

スリランカの農業では、化学肥料に対する長年の政府補助金で農業を推進していた背景もあり、地下水や土壌汚染など生態系の破壊や化学肥料の輸入量の増加が大きな問題になっていました。これらを解決するために、スリランカは世界で初めて国内の全農業を有機栽培に変える「有機革命」に取り組んでいます。有機農産物は消費者が安心感を持って受け入れることができるので、品質を重視した農産物の推進に全国民で立ち向かうことになりました。

 

しかし10月下旬、スリランカ政府は一時的にこの方針を撤回し、農薬の輸入を再開すると発表しました。農薬を使わなくなったことで、有機質肥料の需要が増えましたが、その供給が追いついていない模様。その結果、セイロン茶の品質が落ち、生産量も減少しかねないと農家から怒りの声が上がっていました。このような現状を受けて、同政府は有機質肥料が農家に十分に供給できるようになるまで農薬を輸入すると述べています。

 

日本は、農林水産省の認証制度やJICA民間連携事業などを使って、有機農業の生産や管理に関する知見や経験を海外に伝えることができます。数多くの民間企業も有機農業に向けたサービスを提供しており、安全で高品質な農産品を提供する制度が充実しています。

 

化学肥料に依存しすぎていた国は「農業政策において有機農業をどのように推進していくか?」「効率的な収穫を目指すにはどのような手法を用いたらよいか?」などの問題に関する知見を他国に頼らざるを得ません。このような理由で、日本においても研修制度の提供などを進めている自治体も存在します。

 

世界では既にブータンやキルギスなど100%有機農業の政策を推進している国もあり、今後ますます有機農業へシフトする国が増大することが見込まれます。「安心・安全」の理念に基づいた日本の有機農業に対する経験は今後世界に向けてますます求められていくことでしょう。環境保全強化を目指す各国のスタンスが今後より一層強まることも見込まれるため、ビジネスの市場規模拡大に向けて日本の有機農業関連企業のグローバル展開に拡大の兆しが見え始めています。