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2018/2/6 13:30

初期のビタミン剤はニンニクの匂いがした? 知られざるビタミン剤の歴史

日ごろから「疲れた」を連発し、いつも肌荒れで化粧も浮いていた友人が大変身した。体調がいいらしく、背筋をすっと伸ばして軽快に歩くようになり、肌の色艶もとてもいい。

 

何かいいことがあったのかを聞くと、彼女はこう言った。「しばらく前から薬剤師にすすめられてビタミン剤を飲み始めたのよ。これが効いたみたいなの。体調はすごくいいし、化粧だってファンデーションを塗らなくてもいい肌に生まれ変わったのよ。ほら、下地クリームしか塗ってないけど肌色がピンク色でつやつやでしょう?」と。

 

「すごい!」私はそう叫び、その足でファーマシーに走った。彼女と同じビタミン剤を求めて。

 

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体の疲れにはビタミンB1が効く

ビタミン剤がどれほど体にいいのかを知るべく、『ビタミン剤のひみつ』(望月恭子・構成、おぎのひとし・漫画/学研プラス・刊)を読んでみた。

 

疲れたときには、休養を取り、バランスの良い食事で十分な栄養を摂ることが大切。とはいえ、忙しい大人にとって食事だけで必要な栄養素をとるのは大変なことだ。

 

人間には3大栄養素(脂質、炭水化物、たんぱく質)が必要だが、それらの栄養素を上手に使えるようにするのがビタミンと無機質。しかし、ビタミンは体内ではほとんど作ることができないため、食べ物などから毎日きちんととることが大切になる。ビタミンは全部で13種類あるが、中でも疲れに効くと言われるのがビタミンB1だ。

 

こんな人は、とくにビタミンB1をとるように心がけよう!

・体が疲れやすい人

・同じ姿勢を続けることが多いため、肩がこりやすい人、腰が痛くなりやすい人

・パソコンの画面を長いあいだ見るなど、目が疲れやすい人

・激しい運動をする人

(『ビタミン剤のひみつ』から引用)

 

ビタミンB1は別名「疲労回復のビタミン」とも言われて、人が炭水化物からエネルギーを作り出すときに必要になる栄養素だ。神経の働きを維持するのにも役立つ。しかし、水に溶けやすいので食材を洗う際にビタミンB1は流れ出てしまうことが多く、また熱にも弱いため、調理による加熱で失われがち。

 

やはり効果的なビタミン摂取にはビタミン剤を飲み続けるのがいちばんのようだ。さまざまなビタミン剤が売られているが、忙しいビジネスマンにはビタミンB1配合のビタミン剤が最適だという。

 

 

知られざるビタミン剤の歴史

ところでビタミン剤はいつ、どのようにして生まれたのだろう? 本書にはビタミンの歴史についても詳しく書かれている。

 

ビタミンの研究の第一歩は“脚気”からだったそうだ。脚気は奈良時代から人々を悩ませてきてたが、江戸時代の元禄から享保にかけてはとくに流行したそうだ。江戸で生活すると体がだるくなり、足がむくみはじめ、やがて心臓まで悪くなったという。しかし江戸を離れると回復に向かうことから“江戸わずらい”といわれるようになった。

 

この時代になると玄米や麦飯から精白米が特に江戸で普及したことに原因があったようだ。

 

この病気は当時は原因不明でした。しかしいまは、この病気がなんだったかわかっています。精白米を主食とし、副食をあまり食べないことでビタミンB1不足になってしまうことから起こる脚気という病気だったのです。

(『ビタミン剤のひみつ』から引用)

 

江戸を離れ、田舎に帰ると、再びビタミンB1が多い玄米食になるので自然と回復に向かったというわけだ。

 

しかし、明治時代になると、皆がますます精白米を食べるようになり、脚気は日本の国民病とまで言われるようになった。

 

 

ビタミンB1を発見したのは日本人だった!

1910年(明治43年)、農芸化学者の鈴木梅太郎博士が、米ぬかから脚気に効く物質を見つけ出しました。これがビタミンB1だったのですが、論文が日本語だったため、世界的には認められませんでした。

(『ビタミン剤のひみつ』から引用)

 

次の年、ポーランドのフンク博士が同じ物質を見つけ、ビタミンと呼ぶことを提唱した。これが、のちに有効成分ビタミンB1と命名されたのだ。

 

日本ではその後、1951年ビタミンB1誘導体が発見され、1954年にビタミンB1誘導体製剤が初めて発売された。

 

 

初期のビタミン剤はニンニクの匂いがした?

発売されたばかりのビタミンB1誘導体製剤はニンニクの匂いがしていたそうだ。その理由は、ビタミンB1の分解因子の発見にあった。ビタミンB1をいくら投与しても改善しない欠乏症例があったが、それはアノイリナーゼという酵素がビタミンB1を分解してしまうからだったのだ。しかし、

 

にんにくに含まれるビタミンB1は違ったんだ。にんにく内ではビタミンB1はアリシンという成分と結びついてアリチアミンというものに変化して、アノイリナーゼに分解されにくくなることがついにわかった。

(『ビタミン剤のひみつ』から引用)

 

その後、研究が重ねられ、にんにくの匂いを、コーヒー豆のかおり成分をヒントに解決し、匂いの少ないビタミン剤が広く普及することとなった。

 

さて、私もビタミン剤を飲み始めてからというもの、疲れにくくなり、このところとても調子がいい毎日を過ごせている。

 

 

【著書紹介】

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ビタミン剤のひみつ

著者:おぎのひとし(漫画)、望月恭子(構成)
出版社:学研プラス

疲れがたまってしまったときなどに飲むビタミン剤。ドラッグストアで見かけたことはあるかな?ビタミンはからだにとって、とても大切なものだよ。でもビタミンって一体何だろう?どんな効果があるのかな?この本を読めば、ビタミンのひみつがよくわかるよ!
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