グルメ
2017/4/18 16:00

ハンバーガー評論家が「THE COUNTER®」の楽しみ方を伝授! 松原好秀が“CYOB”をオーダーしたらこうなった

黒船系バーガーVSハンバーガー評論家・松原好秀 THE COUNTER®」編

 

LA発のハンバーガーショップ「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」と「THE COUNTER®(ザ・カウンター)」。どちらも1個1000円を超えるハンバーガーを提供(米国で11~13ドル)、テーブルにはナイフとフォーク、ナプキンがセットされ、ドラフトビールやボトルワインを揃えたバーがあって、注文と会計はすべてテーブルで済ませるーーそういったスタイルのハンバーガー「レストラン」が、この春、都内に続けてオープンした。

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両店はいわゆる「ファストフード」チェーンではない。多店舗展開はしているが、商品個々にかける手間暇、その思いのほどは、近年日本国内に増える「ハンバーガー専門店」のそれと変わりない。商品に対し、サービスに対し、妥協を許さぬ職人的な気質を両店ともに持ち合わせているのだ。彼らが持つ技術とノウハウは、従来のチェーンのようなシステマティックなものでなく、もっとアナログ的で、ずっと人間的だ。傾ける情熱もまた然り。

 

そんなLA発、日本初上陸の2店ーー。前回の「UMAMI」に続いて、本記事では「THE COUNTER」の魅力や楽しみ方についてご紹介してゆきたい。

 

その数100万通り以上! カスタムバーガーの魅力とは?

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THE COUNTER は2003年オープン。現在米国内33店のほか、海外7か国に9店を展開している。近隣ではマレーシアに1店。ハワイで食べた人もいるだろう。その43番目にあたる店が日本1号店。六本木の東京ミッドタウンにある。商業施設内の店であり、また上階に多くのオフィスを抱えるビジネス街の店でもある。

 

席数59席の店内中央には、コの字型の大きなカウンターが置かれている。店名の由来はこれかと思いきや、創業者ジェフ・ワインスタイン氏によると、世にハンバーガーショップの数あるなか、それらに対し「カウンターパンチ」を打ち返すがごとくに、彼らとはまったく違うハンバーガーを提供してゆきたいーーという思いから付けられたそうだ。

 

全80種類の食材とトッピング

THE COUNTER の特徴はずばり「カスタム」。全80種類の食材を自分好みに組み合わせて100万通り以上のカスタムが楽しめるという、それに尽きる。80種類の内訳はーーパティ5種類、バンズ4種類、バンズに代わるサラダ4種類、チーズ13種類、ソース21種類、その他トッピング33種類。さらにサイド(付け合せ)8種類。本国LAには86種類の食材がある。バイソン(野牛)やターキー(七面鳥)のパティなど、どうしても揃えられなかった食材もあるが、それでも海を越えて80種類まで再現できたのは快挙だ。

↑左から、めずらしい生のハラペーニョ、グリルしたアナハイムチリ(ベーコンの下)、そして塩とコショウはTHE COUNTER オリジナル
↑左から、めずらしい生のハラペーニョ、グリルしたアナハイムチリ(ベーコンの下)、そして塩とコショウはTHE COUNTER オリジナル

 

その陰には大変な努力がある。例えば、ハラペーニョはアチラでは”生”を使う決まりだが(一般的には瓶詰めの酢漬け)、日本国内でこれを探すのはひと苦労だった。アナハイムチリという唐辛子に至ってはある国内農家に”お願いして”作ってもらっている。日本限定の食材もある。マヒマヒ(シイラ) のパティは日本だけのプレミアムパティだ。

 

あなたのバーガーをカスタムしよう!

では実際にカスタムしてみようーー。オーダーシートに「1」のパティから順に鉛筆でチェックを付けてゆく。わからないことがあっても大丈夫。店員がやさしくサジェストしてくれるので。

↑CYOBシート。私の”MY OWN burger”は、100%ビーフパティ・6oz(170g)・マルチグレインバンズ・ピメントチーズ・スパイシートマトジャム・ベビースピナッチ・レッドオニオン・グリル アナハイムチリ・コーン&ビーンズサルサ・ベーコン
↑CYOBシート。私の”MY OWN burger”は、100%ビーフパティ・6oz(170g)・マルチグレインバンズ・ピメントチーズ・スパイシートマトジャム・ベビースピナッチ・レッドオニオン・グリル アナハイムチリ・コーン&ビーンズサルサ・ベーコン

 

私がカスタムした用紙を例に見てみよう。この「CREATE YOUR OWN burger(CYOB)」はパティのサイズでハンバーガーの値段が決まる。例えば、「100%ビーフ」パティのサイズ「6oz(170g)」を選ぶと1190円(以下:すべて税別)。これはいわば定額料金だ。バンズを選び、チーズとソースを選び、「6」からトッピングを好きなだけ選んで、ここまですべて1190円の料金内。私はさらに「7」のプレミアムトッピングからベーコンを選んだのでプラス100円で1290円。チーズとソースは2種類目からプラス100円。逆に「なし」も選択可。サイドはプラス300円。バンズをサラダスタイルにするとプラス250円。そのほか、プラス○円とあるものを選ぶとその分が加算される仕組みだ。

 

このオーダーをもとにキッチンで調理された”MY OWN burger”がこちらである。

↑ハンバーガー評論家・初カスタムの「CYOBバーガー」(1393円・税込)。にぎやかな味をビーフがしっかりと束ね、ハンバーガーの「核」を成している
↑ハンバーガー評論家・初カスタムの「CYOBバーガー」(1290円/税別)。にぎやかな味をビーフがしっかりと束ね、ハンバーガーの「核」を成している

 

記念すべき1作目はいろどり重視で。パティはホルモン剤を使用せずに生育したオージービーフ170グラム。バンズはマルチグレイン(雑穀粉入り)。チーズはめずらしいピメントチーズを選択。赤い色が欲しくてソースはスパイシートマトジャムに。「6」からは何種類でもトッピング可能だが、しかし食べ物にはシナジーの限界がある。だから4種類を目安に選んだ。

 

その成果は……スパイシージャムとアナハイムチリとで甘味がかぶったかも知れない。けっこう甘い。そして辛い。チーズもピリ辛。独特のどこか懐かしい異国のにおいはコーン&ビーンズサルサから。ベーコンは焼き込んでパリパリ。バンズのオーツ麦の食感が印象的だったーー。狙い通りだったところもあれば、食べてみて初めて知る発見もある。そこがカスタムの面白さ!

 

だがこの場合、最も重要なのは、その下にどっしりと据わる直火焼きパティの存在感だ。その揺るぎない肉の存在あってこそ、初めて100万通り以上のカスタムが成立する。どんな遊びも冒険もすべて力強く受けとめてくれる。まず「肉」ありきーーこれがハンバーガーの基本構造。きらびやかなカスタムはその上にこそ映える。

↑ユニークなサイドメニュー「ベジスキュワ」(324円・税込)。オリーブオイルと塩コショウでサッと野菜をグリルした、シンプルだがカラフルな一品
↑ユニークなサイドメニュー「ベジスキュワ」(300円/税別)。オリーブオイルと塩コショウでサッと野菜をグリルした、シンプルだがカラフルな一品

 

選び方ひとつで変わるカスタムの面白さ

THE COUNTER のカスタムには、乗車駅は同じでも、注文次第でたどり着く駅がそれぞれ違うといった面白さがある。選び方ひとつで行く先も変われば景色も変わる。でもどのルートも楽しく、そしておいしい。

 

最初のうちは思い通りにカスタムできないかも知れない。そこで私なりに思いついた方法を紹介すると、「ベーコンチーズバーガー」とか「ワッパーみたいに」とか、完成図をまず決めて、それに必要なものを集めてゆくというやり方だ。米国ではこうして作ったハンバーガーをインスタグラムにアップして、「○○と××の組み合わせは最強だよね」とか「△△を足すとさらにおいしくなるよ」などと情報を交換し合っている。なかには、真似したくなるようなかっこいいバーガーを上げている人もいる。

↑「ザ・カウンターバーガー」(1390円/税別)。パティのサイズは6オンス=170グラム。ガーリックアイオリソースは容器に入って別添えで提供

 

「自分好みにといわれても……」という人のために、店おすすめのトッピングによるシグネチャーバーガーもある。「ザ・カウンターバーガー」は、その定番中の定番だ。

 

まずはプンと香るパティのコゲ味の芳ばしさ。焼き加減はミディアムレア、中はジューシーでやわらか。注目はオニオンフライ。薄く平たくスライスされてパリパリとした新食感だ。そこへブリオッシュバンズの強めの甘味。マッシュルームの滋味。チーズの控え目なコク味。アイオリソースの味も強くなく適度ーー。このまとまりは「料理」のまとまりだ。すべての食材をひとつにまとめる強い意思が感じられる。味といい、堂々たるその姿といい、これはハンバーガーという名の洗練された「料理」ーー。あとはフォークとナイフで食べるもよし。手で持ってかぶりつくもよし。食べ方は各自の自由。なお、バーガー袋の用意はない。

 

いままで私たちが知らなかった新しいハンバーガーの食べ方を教えてくれる店、それがTHE COUNTER だと私は思う。店そのものが未知なる体験。食欲ならびに好奇心旺盛な皆さんに強くおすすめしたい。

 

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― shop data ―

所在地:東京都港区赤坂九丁目7番4号 東京ミッドタウン ガレリアB1

アクセス:東京メトロ・都営大江戸線 六本木駅8番出口直結、歩3分

オープン:2017年3月31日

営業時間:11:00~23:00(LO22:00)

定休日: 不定休(施設に準ずる)