侵入強盗や特殊詐欺などの被害がさかんに報じられる昨今、“犯罪に巻き込まれる”ことは、もはや人ごとではなくなっている。今回は、自分や家族の命はもちろん、大切な家や財産を守る対策を、防犯アドバイザーの佐々木成三さんに教えてもらう。
【私が解説します!】
佐々木成三さん
防犯アドバイザー
元 埼玉県警察本部刑事部捜査第一課警部補
一般社団法人スクールポリス 理事警察退職後、コメンテーターとして多数のTV番組に出演する。「闇バイト強盗、特殊詐欺、盗難から身を守る いますぐ防犯」(アスコム)を上梓。
コロナ禍収束とともに犯罪が凶悪化
コロナの流行によって減少傾向にあった犯罪が、収束を迎えた2023年以降、再び増加している。
「コロナ禍による“巣ごもり生活”でオンライン化が進み、スマホ所有率の低年齢化が顕著に。それにともない、SNSを利用した犯罪が増加し、被害者年齢層の低年齢化が進みました。さらに、SNS型投資詐欺や国際ロマンス詐欺、闇バイト関連の犯罪ではリモート型犯罪が増えています」(佐々木さん)
侵入強盗や特殊詐欺など、犯罪が凶悪化しているなか、我々が気をつけるべきこととは?
「まずは犯罪手口を知ること。犯罪組織は自分たちの手口の対策が講じられると、新たな手口で被害者を攻撃してきます。そのため、私たちも防犯対策をできるだけ早めにアップデートするところから行うべきです。前述のように、最近はSNSを使った犯罪手口が増加しており、スマホのセキュリティ対策は必須。迷惑電話や詐欺電話、迷惑メッセージを検知するセキュリティアプリは私も使っています」(佐々木さん)
アプリをはじめ、防犯対策に関するアイテムは数多くあるが、どういった製品を選べばいいのだろうか。
「昨今の闇バイト強盗対策に有効なのは、“相手を威嚇する、攻める”ことのできる防犯製品です。たとえば、防犯カメラの場合、単に録画するだけではNG。なぜなら、闇バイト強盗の多くは素人の集まりで下見も雑なので、防犯カメラがあっても堂々と侵入してきます。そのため、録画+αの機能を備えた防犯カメラを選ぶことが重要です。人感センサーを搭載し、侵入者を“光や音”さらにスマホなどから“声”で威嚇できるものなど。そういった攻める防犯グッズがオススメです」(佐々木さん)
最後に、凶悪化する犯罪に巻き込まれないための気構えと回避方法を聞いてみた。
「自分で自分を守る、自分が家族を守る、さらに地域で高齢者や子どもを守る、そんな時代になったなと強く感じています。いま大切なのは、防犯格差をなくすこと。防犯意識のない人が騙され、犯罪対策を行っていない地域は狙われます。そうならないために、まずは住人の多くが防犯意識を高め、そして地域全体で防犯ツールを設置することが大切であると考えています」(佐々木さん)
【侵入犯罪から身を守る3つのポイント】
POINT1 情報を漏らさない
高齢者世帯であることや家族構成などを外部に悟られないことが重要。迷惑電話防止機能や録音機能が付いた電話機や、インターホンなどで警戒感を与えると効果的。
POINT2 威嚇して侵入を防ぐ
「+α」の機能が付いた防犯カメラが有用。人感センサーでLEDライトが点灯したり、カメラ越しに相手に話しかけたりできるアイテムを選んで相手を威嚇する。
POINT3 偽装する
夜間に電気が消えていると、留守や就寝中と判断されてしまう。照明は、一定の時間に自動的に点灯したり、出先からスマホで点灯したりできるタイプがオススメ。