1967年に初登場して以来、その味はもちろんパッケージ、キャラクター、プレゼントに至るまで国民に愛されている「チョコボール」。今年で50周年を迎えますが、いつの時代も子どもたちからのアツい支持に応えようと新しい試みを展開してきました。
その子どもたちが大人になっても「チョコボール」への親しみや思いが消えることはなく、いまでは幅広い層から親しまれるお菓子となっています。そこで今回は、そんな「チョコボール」の誕生秘話や変遷、知られざる話を森永製菓・菓子食品マーケティング部の野条理恵さんに聞いてみました!
当時はチョコレートを簡単には口にできない時代
ーー1967年に初めてキョロちゃんがパッケージに登場した「チョコレートボール」「ピーナッツボール」「カラーボール」が発売されました。その経緯をお聞かせください。
野条理恵さん(以下:野条) 実は、この2年前に「チョコボール」の前身となる「チョコレートボール」がすでに発売されていました。ただ、この頃はまだキョロちゃんはパッケージにいませんでした。もともとこれらの商品の開発経緯は、すでに「ハイクラウン」という大人向けのチョコレートが好調だったので、「今度は子ども向けのチョコレートを出せないか」というのがきっかけだったようです。
野条 当時はまだチョコレートといえば、“大人の食べ物”というイメージで子どもはあまり口にしないお菓子だったのですが、子どもが手にしても溶けないようなカタチにするために丸いチョコレートを作ったようです。当時としては画期的なものでした。そして、1969年に商品名を「チョコボール」に改名。ピーナッツ味、ソフトキャラメル味の2種類で展開しました。
ーー画期的といえば、チョコレートの取り出し口もそうですよね。「チョコボール」が登場する以前は、こういった構造のパッケージをした商品は販売されていなかったのではないでしょうか?
野条 なかったと思います。初代は二重サックで、内側のサックを引き上げるとクチバシが出てくる仕組みでした。やがて、より使いやすいように一重サックへと変更され、上部サックを引き起こせばクチバシが現れるように改良。さらに1974年にワンタッチで開くカタチになり、現在に至っています。
当時は「おもちゃのカンヅメ」ではなく「マンガのカンヅメ」だった
ーー「チョコボール」の名物ともいえる「おもちゃのカンヅメ」は、当初からあったのですか?
野条 1967年の「チョコレートボール」発売当初は、「まんがのカンヅメ」というものをプレゼントとしてスタートしました。本当にマンガをカンヅメの中に入れていたようです。マンガ自体がいまほど自由に手に入れられるようなものではなく、なかなか買ってもらえないから……という理由で採用されたようです。そして1969年に「おもちゃのカンヅメ」が始まり、これが現在に至っています。
ーー数年おきにカンヅメの内容が変わっているようですが、これにはどんな理由があるのでしょうか?
野条 1年半から2年くらいのサイクルで変わっているのですが、時代ごとによろんでいただけるものが変わることを意識し、マーケティング担当が毎回企画を考えながら中身を変えています。
ーーよく考えてみると、これだけ長く続くプレゼントキャンペーンというのも珍しいですね?
野条 50年ですものね。「チョコボール」以外では聞いたことがありません。
スタンダードフレーバー以外の「チョコボール」たち
ーー1973年にピーナッツとキャラメルがスタンダードフレーバーになりましたが、2000年以降は様々な味の「チョコボール」が発売されるようになりました。
野条 スタンダードフレーバーのピーナッツとキャラメルに加え、いちごも定番品目となっていますが、期間限定品というのが年間で3~5回ほど登場しています。基本の“子どもが好きな味”というコンセプトは変わらず、“「チョコボール」の可能性をもっと広げる「チョコボール」を作ってみよう”という試みです。ただ、実際に商品化されて市場に出回るまでには当然、それ以上の試作品を作ります。その中で選ばれた期間限定品なので、実はもっとたくさんの味の「チョコボール」が社内で試されているのです。
ーーあとは「キョロちゃんグミ」(1996年)、「キョロちゃんケーキ」(2008年)ほか、沢山の関連商品が登場していますね?
野条 はい。こういった試みができたのも、「チョコボール」とキョロちゃんが支持をいただいたからだと思っています。
さらに活動の場を広げたキョロちゃん
ーーキャラクターのキョロちゃんですが、だんだんお菓子から一人歩きして、キョロちゃん自身がキャラクターグッズ化されていきましたね。
野条 キョロちゃんのグッズ化が盛んになったのは1995年からです。いまもアンテナショップでキョロちゃんの関連グッズはたくさん売られていますが、特に携帯ストラップが流行っていた時代には、キョロちゃんのストラップが売れていたと聞いています。
ーー2003年にはJR田町駅に「キョロスク」が限定オープンしたり、「キョロちゃん夢ファンタジーシアター」というイベントが10年間に渡って開催されたりしました。
野条 「キョロスク」はキョロちゃんの世界観で彩られたお店で、通常の「キヨスク」での商品に加えてキョロちゃんグッズをたくさん扱っていました。また、「キョロちゃん夢ファンタジーシアター」は応募制のミュージカルのようなイベントですけれど、「実際にキョロちゃんに会える」ことが人気の要因だったようです。
「チョコボール」50周年の見所とは?
ーー森永製菓といえば100年を超えるロングセラーの「森永ミルクキャラメル」をはじめ、長く売られている商品が数多くあります。「チョコボール」は今年で50周年ですが、今後はどういったものであり続けたいと考えていますか?
野条 「チョコボール」とキョロちゃんというキャラクターは切っても切れないものですが、同じように森永製菓にとってもひとつの顔になっている代表的な商品です。また、開けるときのコロっと出す動作や「エンゼルついてるかな」というワクワク感、それにエンゼルを集めてもらえる「おもちゃのカンヅメ」も切り離せません。こういった他のお菓子にはない「チョコボール」の特徴は、これからも守りながらより親しんでいただけるよう努力していきたいと思っています。
野条 今年は50周年という記念の年なので、キョロちゃんのカタチをした独特なディスペンサーのプレゼント、「チョコボール」公式ソングの歌詞を募集するなど、様々な催しを考えています。ぜひ「チョコボール」のお菓子そのものと合わせて、こういったところでも多くの方にお楽しみいただければうれしいです。
「チョコボール」に歴史あり! さらなる未来へと広がる「チョコボール」とキョロちゃん。より詳しく知りたい方は下記のサイトをチェックしてみてください。
【URL】
チョコボール公式ページ http://www.morinaga.co.jp/kyorochan/