就職や転職・進学など、この春から新生活をスタートする人、リフレッシュを兼ねて環境の変化を望んでいる人など、新しい住まい探しをしている人はまだまだ多いことでしょう。冬の大雪や物流業界の逼迫などで、いまだ賃貸住宅・引っ越しの業界は引きも切らない状態だといいます。そこで不動産仲介の大手、大和エステートの新宿店を訪ね、高野勝充店長に賢い物件探しのコツをうかがいました。
ネットでの物件検索では家賃と築年数設定に注意を!
“物件探し”といえば、かつては不動産屋さんに直接足を運んで選ぶ、というのがお決まりのスタイルでしたが、最近ではほとんどの方が、インターネットの賃貸住宅ポータルサイトを利用しています。
一般的なサイトの場合、家賃帯や希望のエリア・最寄り駅、駅からの距離、築年数、広さ、間取り、構造、階数、設備などを設定すると、条件にマッチする物件が表示されます。焦らずにじっくり選べるだけではなく、24時間いつでも利用できるのでとても便利ですよね。ただ、アドバイスを受けることもなく自分ひとりで探しているので、不安もあるはず。より自分にぴったりの物件を探すにはどうしたらいいのか? まずはサイトを使ったお部屋探しのコツを教えていただきましょう。
「希望条件は尽きないと思いますが、理想をすべてかなえる物件と巡り会えることは、正直なかなかありません。それに、条件が多いと必然的に家賃も高くなります。まずは“払える”ことを前提に、家賃設定をしっかり考えていただくことが大事ですね。ポータルサイトを利用するメリットのひとつとして、エリアの家賃相場がわかることが挙げられます。エリアの相場を踏まえながら、ご自身が想定する家賃帯を入れて検索すると、現実的に入居できる物件が絞り込まれていきます。家賃は収入の3分の1が目安といわれていますが、生活を始めると、家賃以外にも光熱費や水道代、通信料金といった毎月支払わなくてはいけない費用がいろいろ出てきますから、これも含めて計算すると、無理のない金額が決まると思いますよ。家賃で検索した物件の中から“譲れる条件”と“譲れない条件”を検討していくと、物件数が相当絞られていくので、さらに探しやすくなります」(高野さん・以下同)
ただ、家賃相場というのは目安のひとつであり、同じエリア内でも、新築物件やセキュリティなど付帯設備の有無によって大きく変わります。例えば、女性には「オートロック、インターホン、2階以上」というセキュリティに関する条件のそろった物件が人気ですが、それに比例して家賃は高くなり、相場を超えることも少なくありません。厳密に家賃帯の線引きをすると、ぴったりの物件を逃してしまうこともあるようです。
「例えば『希望額7万円』で物件を探すと、7万円超の物件は表示されません。仮に7万2000円でインターネット設備込みがあっても、見逃してしまうわけです。インターネットは入居後に必ず契約すると思いますので、それも込みで考えると7万2000円の方がお得なのにもかかわらずです。こうした失敗を防ぐためにも “希望額”と“最大支出可能額”の2段階を設定しておくといいですね、先程の例でいくと希望額7万円、最大支出可能額7万5000円の両面で検索すれば、より多くの物件から選ぶことができると思います」
ここ数年の傾向として、家賃は少し高くても“築浅物件”ほど需要が高く、築年数で検索をかける時も、築20年以内で探す方が大半です。ただ、この探し方にも落とし穴があるといいます。
「築年数を経た物件には、リノベーションやリフォームをした物件も含まれています。そういった物件は、築浅物件より部屋がきれいだったり、最新設備がしっかり整っていたりすることもあります。築年数だけで選ぶのではなく、部屋の状況も参考にするよう、検索するときは注意した方がいいでしょう」
店頭に足を運ぶメリットは無視できません
ここまでネットで詳細に検索できるのなら、不動産屋さんにわざわざ足を運ぶことにメリットはあるのでしょうか? 特に気になるのは“掘り出し物件”の有無。引っ越しを考えているエリアに居住する知り合いが、相場より安い物件に住んでいると、“店頭に行けばお得物件があるかも!?”とつい思ってしまいますよね。
「残念ながら……掘り出しものはないと考えた方がいいと思います。先ほど申し上げたとおり、家賃は総合的な条件で決まってきます。仮に同じエリア、同じ広さ・間取りの物件であっても、最寄り駅からの距離、築年数、設備の充実度によって大きく変動します。家賃だけを比較すると高くても、高い物件なりの付加価値が必ずあります。逆に安い物件にも、安い理由があるのです」
とはいえ、店舗に足を運んでも意味がないということではありません。
「ひとつは家賃面ですね。希望金額内に抑えられるように、付近で別のエリアを紹介するなど、なるべくお客様の要望に合ったご提案ができると思います。お住みになりたいエリアについての情報をお伝えしたり、引っ越しに関するご相談にのることも可能です。また、住んでみたい物件がある方や、引っ越しの時期を問わずお待ちいただけるのでしたら、希望の物件に空室が出た時、また条件にぴったりの物件が出た時にご連絡をさせていただいています」
また、繁忙期の部屋探しは物件の競争率が高かったり、引っ越し代が跳ね上がったり、といったデメリットもあるため、店長の高野さんは、入居時期をずらした転居もおすすめしているといいます。
「条件の中には、譲れるものと譲れないものがあります。店舗にいらしていただければ、スタッフの話を聞きながら頭の中で条件を絞り込み、整理することができます。これも店頭にいらっしゃった場合の大きなメリットといえますね」
【店頭で相談するメリット】
・予算内に収まるよう多角的に提案してくれる
・希望地域の情報を得られる
・引っ越しについても相談できる
・希望の物件や条件に応じて空室の連絡をもらえる
・必要/不要な条件を相談しながら整理できる
もうひとつ、部屋の内覧も重要です。設備面では収納の数。防音レベルが気になる方は、なるべく住人の居る時間に出かければ、生活音をチェックすることができます。階段や床を歩く時の響き方も確認するといいかもしれません。意外に忘れてしまうのは玄関やエレベーターのサイズです。
「冷蔵庫や洗濯機などの大型家電や家具が入らないというトラブルも発生しています。ファミリータイプの幅60cmを超える冷蔵庫やドラム式洗濯機は、玄関を通らなかったり設置できない場合もあるので、あらかじめメジャーで計測しておくのが鉄則です。特に自宅住まいから初めて一人暮らしをする場合、見落としがちなので注意してください」
【内覧で忘れずにチェックすべきポイント】
・収納の数・容積
・防音レベル
・玄関やエレベーターのサイズ
インターネットなどのサービス付き物件や敷金・礼金・更新料ゼロ物件も狙い目
賃貸物件にもトレンドがあるのをご存知でしょうか。ピンポイントでは「部屋干しができる」「インターネットが込み」「ポイントの貯まるクレジットカード払いができる」の3点が人気だといいます。物件としてはサービス付き物件の人気が急上昇しているようです。
「サービス付き物件とは、火災保険やインターネット接続が最初から付帯した賃貸住宅のことです。サービスのない物件に比べやや割高に思えますが、トータルではサービス付帯物件の方がお得なことも少なくありません」
サービス付き住宅の中でも最近最も注目されているのが「賃貸住宅D-room」の「サツキ(サービス付き)物件」です。暮らしに必要な「リビング補償制度(家財保険)※火災保険の加入不要」や、入居日から使える光インターネット、U-NEXT社のオンデマンドTV、電子書籍、家具・家電などがフルパッケージになっています。それぞれを個人で加入するより安く、家具や家電を新たに買い揃えることもないので、シンプルに引っ越すことができます。
さらに、多彩なコンテンツからお好みのサービスを選べる「D-room+」対応物件も人気です。コンテンツは、毎日30分間電子書籍読み放題の「D-room Books」、25分のレッスンを毎月4回受講できる「web英会話レッスン」、日経BPビジネス動画セミナー、ダンボール2個分のクラウド収納サービス「Sumally Pocket」、英語で料理を学べる「キッチン&English」などが用意されています。
また、転居にかかる初期費用を抑えられるのが「タダシ物件」。これにも注目度が高まっているそうです。敷金・礼金・更新料等の一時金が家賃に上乗せで平準化されるため、余剰資金をインテリアなどに支出できます。これって案外“掘り出しもの”に入るかもしれませんね。
今までは漠然と物件を決めていた方も、サービス付き物件や初期費用ゼロ物件を候補に入れると、よりライフスタイルに合った部屋が見つかるかもしれません。
【プロフィール】
大和エステート新宿店 店長 / 高野勝充さん
2012年入社。信頼をモットーにした接客にはリピーターも多い、部屋探しのプロ。今回は物件選びのさまざまな相談についてていねいにアドバイスをいただきました。「ライフスタイルに合った物件をご紹介しています。お気軽にご来店ください」
【店舗情報】
大和エステート新宿店
東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビル2F(JR新宿西口から徒歩4分)
Tel:03-6911-2552
https://www.d-roomplaza.net/estate/store/
取材・文=安藤政弘 撮影=泉山 美代子
何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」