江戸後期以来約200年ぶりとなる天皇陛下の生前退位により、改元に向けて祝賀ムードが漂う日本。新元号の発表まで3か月余り、国民の関心は高まる一方です。GWの10連休による旅行消費の増加、皇室行事などによる日本文化への関心の高まりが予想されます。また節目となる年に結婚などのライフイベントを考える人も多いでしょう。ここでは改めて、元号に関するあれこれを専門家に聞いてみました。
「新元号フィーバー」と合わせて平成ノスタルジーもくる!
昭和から平成へと改元したときとは異なり、今回は天皇の生前退位による改元となります。そのため、4月に控える新元号の発表をはじめ、新しい時代の始まりは明るい話題として国民の関心事です。新天皇が即位する5月1日は、2019年限りの休日に。これによりGWが10連休になり、例年をはるかに上回る旅行需要が見込まれています。
ほかにも、改元を記念した限定品の発売や、増税前の駆け込み需要などにより、国民の消費活動は活発になりそうです。20年の東京オリンピック、25年の大阪万博に向けた機運も盛り上がりを見せるでしょう。
未来への期待感が高まる一方、リバイバルトレンドも多数生まれる兆しです。皇室行事を通して日本の伝統への関心が高まったり、平成を彩った数々のアイテムやヒットソングなどにスポットが当たり、ノスタルジックな気持ちになる機会が増えたりします。
【教えてくれた人】
山本博文さん
歴史学者。東京大学資料編纂所教授。日本近世史を中心に研究を行っています。「天皇125代と日本の歴史」(光文社)など著書も多数。
【元号Q&A】
新元号の発表を前に、日本の元号に関するギモンを歴史学者の山本博文さんに聞きました。新元号予想に役立つ、頻出漢字も要チェック!
Q.現在、元号はどのように決めている?
A.有識者が考案した案を元に首相らが閣議で協議し決める
「首相が数名の有識者に委任し、それぞれに複数の候補を提出してもらいます。官房長官がその候補を整理・検討し首相に報告後、首相が総理大臣、官房長官、内閣法制局長官などに精査させて数個の原案を選定。閣議で協議し決定した元号が政令で公布されます」
Q.いまも和暦と西暦の両方が使われているのはなぜ?
A.一度、元号廃止案が上がったが元号肯定派が多数だったため
「昭和25年に参議院で『元号の廃止』が議題に上がったものの廃止の必要性は認められず。その後も公的文書などでは慣例的に元号が使われていましたが、元号法制化を求める声が多くなり、昭和54年に元号法が成立。反対派に考慮して『元号の使用を強制しない』と定めました」
Q.日本以外にも元号を使っている国はある?
A.現在元号を使っている国は世界中で日本のみ
「元号の大元である中国は、清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀時代の『宣統』以降、元号を使用していません。ベトナムや朝鮮半島で使われた時代もありますが、現在世界中で元号を使っている国は日本のみ。ちなみに飛鳥時代の32年間途絶えたのを除き、ずっと元号を使い続けています」
Q.新元号はどんな2文字が予想される?
A.頭文字の制限と、これまでの頻出漢字に注目
「『M(明治)』『T(大正)』『S(昭和)』『H(平成)』とは頭文字が異なるものになるでしょう。また、日本の元号は中国の古典から吉兆の漢字を選んでいて、何度も同じ漢字が使われています。以下の漢字がよく使われますが、最近の元号になければ選ばれる可能性が高いですね」
◆ よく使われる漢字 ◆
永:29回 元・天:27回 治:21回 応:20回 正・長・文・和:19回 安:17回
延・暦:16回 寛・徳・保:15回 承:14回 仁:13回 嘉・平:12回 など
平成・昭和・大正の通し元号入りカレンダーが話題に!
新元号発表が4月頃となり、2019年のカレンダーや手帳の多くは西暦表記に。そんななか、カレンダーの老舗・トーダンが以前から発売している平成・昭和・大正の通し元号入りカレンダーに注目が集まりました。
トーダン
「TD-694グッドルック・メモA2」
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【新天皇即位にまつわる主なイベント】
2019年
・1月7日 天皇陛下 即位30周年
・2月23日 皇太子さま 59歳の誕生日
・2月24日 天皇陛下御在位30年記念式典
・4月10日 天皇皇后両陛下 ご結婚60年
・4月29日 昭和の日
・4月30日 退位礼正殿の儀
・5月1日 皇太子さま即位・改元 剣璽等承継の儀/即位後朝見の儀
・10月22日 即位礼正殿の儀/祝賀御列の儀
・10月22日以降 饗宴の儀(パレード)
・10月23日 首相夫妻主催 夕食会
・11月14~15日 大嘗祭(新天皇が五穀豊穣を祈る)
2020年
・4月19日 立皇嗣の礼(文仁親王殿下が皇位継承順位1位になったことを示す)