「活字離れ」とか「LINEスタンプなどが増えて文字を使わなくなった」とか言われていますが、あなたは自分の文章に自信はありますか?
私も文章に関わる者の端くれですが、自信を持って書けているかと問われると「……すみません、ちょっと自信ないっす」と言ってしまいます。
そんな時に出会った『おとなの作文教室 「伝わる文章」が書ける66のコツ』(外岡秀俊・著/朝日新聞出版・刊)には、目から鱗のコツがいくつも掲載されていました。この本は、新聞記者の経験のある著者の外岡さんが、デスクに文章を直されてきた経験をもとに執筆されたものです。
そこで今回は『おとなの作文教室 「伝わる文章」が書ける66のコツ』より、もうちょっと文章に自信を持ちたい! もしくは自分の伝えたいことがちゃんと伝わっているか不安という方に知ってほしい「伝わる文章」が書けるコツをご紹介します!
当たり前だけど忘れがちな基本の文章のコツ
『おとなの作文教室 「伝わる文章」が書ける66のコツ』には、そのタイトル通り、66の文章を磨くコツが紹介されています。
また、よくある文章の悩みを逆引きで解決できるようになっているため、「どうやったら独りよがりな文章にならない?」とか「起承転結をうまく構成するには?」、「オチはどうつけたらいい?」など自分の悩みから書籍を読むこともできます。
今回はその66ものコツの中から基本的な3つのコツをご紹介させていただきます。
ひとつめにご紹介するのは、「ムダな言葉」を省くコツ。説明過多になってしまったり、同じ表現を使ってしまい読みにくくなっている文章って実は結構あるんですよね。以下の例をご覧ください。
投稿文 現代人は人間関係がわずらわしく、そのことでトラブルを抱えている人が多いのも事実だ。
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添削 今は煩わしい人間関係で、トラブルを抱えている人が多い。
(『おとなの作文教室 「伝わる文章」が書ける66のコツ』より引用)
添削された文章の方がスッキリわかりやすくなっていると思いませんか? 「私は文章書かないし」という方も、メールやSNSの投稿などで「ムダな言葉はないかな?」と一度読み直すだけでも、グッと伝わる文章に変化すると思います。
次にご紹介するのは、句点を付ける位置についてです。文章の終わりにつける句点ですが、かぎカッコの場合はどうつけるのが正解なのでしょうか?
文章を書く人のあいだには、「。」派と、「」。派がいます。かぎカッコの中の文章の最後に句点をつけるかどうか、という違いです。これは、どちらかが文法的に正しいということはなく、好みの問題です。
(『おとなの作文教室 「伝わる文章」が書ける66のコツ』より引用)
好みの問題!?
とは言いつつ、どちらがいいのか知りたいですよね(笑)。著者の外岡さんによれば、新聞・雑誌・書籍の多くは「 」。派とのこと。理由はそのほうがスッキリしているからとのことでしたので、自分が使う文章に合わせて考えてみてください。
続いてご紹介するのは「間違いやすい表現」。
いくら文章に正解はないと言っても、「言葉」には正解があるので、正しい表現方法は覚えておきたいですよね。掲載されている一例から一部抜粋してご紹介します。
【誤りやすい慣用句・表現・表記の一例】
足元をすくう、すくわれる → 足をすくう、すくわれる
汚名を晴らす → 汚名をそそぐ(すすぐ)
過半数を超える → 半数を超える、過半数を占める
第1日目 → 第1日、1日目
的を得た発言 → 的を射た発言
老体にむち打つ → 老骨にむち打つ
私には役不足だ → 私には荷が重い、私では力不足だ
(『おとなの作文教室 「伝わる文章」が書ける66のコツ』より引用)
また、よく使われる「〜たり」は、2回目以降の「〜たり」を必ず書く決まりになっているのですが、1回の「〜たり」で終わってしまっている文章って多いですよね? 言われてみれば! と思った方も多いと思います。
こういう間違いやすい表現については、自分ではなかなか気づくことができません。でも、間違いやすい表現を知っておきたい! という方は、『朝日新聞の用語の手引』の「資料」編に、20ページにわたって「誤りやすい慣用句・表現・表記」が掲載されているので、それを一度読んでみるのがおすすめということでした。私もこの後、ポチらねば!(笑)
「伝わる文章」で終わらず、読み手にとって「いい文章」にするには?
コツをいくつかご紹介してきましたが、最後に「伝わる文章」からさらにレベルアップした、読み手にとって「いい文章」にする方法をご紹介します。
①簡潔でわかりやすい。
②記事が、過不足のないデータに裏づけられている。
③文章の運びにリズムがあり、思わず引き込まれる。
④疑問を残さず、完結している。
⑤心の機微に触れる描写があり、文章に深みがある。
⑥いきいきとした臨場感がある。
⑦「わが事」だと読者に思わせ、共感を呼ぶ普遍性がある。
⑧しみじみとした読後感がある。
(『おとなの作文教室 「伝わる文章」が書ける66のコツ』より引用)
文章には「これが正解!」がありませんが、せっかく時間をかけて読んでもらうのですから、「なるほど」とか「面白い!」と思ってもらえる文章を書いていきたいなと改めて感じました。
ちょっとしたメールやチャットでも、毎日何かしらの文章に触れているので、ひとつひとつの言葉を大切にしながら、まずは「伝わる文章」を書けるようになって、そこから自分らしく表現できるようになっていきたいですね。よーし、私もがんばろっと!
【書籍紹介】
おとなの作文教室 「伝わる文章」が書ける66のコツ
著者: 外岡秀俊
発行:朝日新聞出版
わかりやすく簡潔な文章が書けない。頭にあるイメージをうまく表現できないー。どうすればスッと伝わり、読み手に負担をかけない文章が書けるか。作文教室に寄せられた投稿と徹底添削から、あなたの文章の弱点が見えてくる。アドバイス満載、文章で損しないための1冊。