30代、40代に差し掛かると、気になりはじめるのが髪の毛のボリューム。薬用シャンプーを選ぶなど、頭皮環境に気を使っているという人も多いだろう。そんな髪の毛と向き合う世代に朗報となりそうなのが、今回のシャープの発表だ。なんと、プラズマクラスター技術が頭皮環境を改善し、「育毛」効果をもたらすというのだ。
毛髪だけでなく頭皮に働きかけることが判明!?
プラズマクラスターとは、イオンを利用したシャープ独自の空気浄化技術。空気清浄機などに搭載され、イオンを放出して除菌・消臭を行うというイメージが強いが、果たして頭皮にどのような影響を与えるのか? さっそく、シャープ主催の発表会で話を聞いてきた。
シャープは2011年からプラズマクラスターを搭載したドライヤーを発売。このドライヤーでは、「プラスイオンとマイナスイオンを同時に放出してブラッシングでの静電気を抑制する」「プラズマクラスターイオンが髪表面に水分子コートを形成してうるおいをキープする」といった毛髪への効果をすでにうたっていた。今回は、プラズマクラスターイオンが頭皮にも働きかけることが、実験によって判明したというのだ。
イオンを照射することで増毛本数が約2.5倍に!
まず示されたのは、株式会社ナショナルトラストによる、HARG治療センター新宿桜花クリニックでの試験の結果。20~70歳代の男女115名が、臨床試験専用イオン発生装置を用いて、イオン(濃度約150万個/cm3)を毎日20分間照射して、約3か月間の経過を観察した。結果は、イオンを照射した頭部右側は、自然放置の頭部左側に比べ、3か月後の「増毛本数」が平均して約2.5倍になったというのだ。
シャープの健康・環境システム事業本部 副事業本部長・中島光雄氏は、「プラズマクラスター技術により、毛髪本数の有意な増加を確認し、頭皮のバリア機能向上を確認しました。プラズマクラスターイオンを頭皮に照射することで、頭皮環境を改善する手助けをし、育毛を促す作用があると考えられます」と説明する。
水分が保たれるなど頭皮環境も改善
続いて、プラズマクラスターによる頭皮環境の改善試験の結果を見てみよう。被験者は40~63歳の女性59名。「イオン照射あり(29名)」と「風のみ(30名)」の2グループに分け、試験用ドライヤーを毎日5分間連続12週間使って、①頭皮水分蒸散量②頭皮油分量③頭皮マラセチア菌の3項目について調査した。
上のグラフを見ると、イオン照射ありのグループのほうが明らかに、頭皮をバリアで守る「水分」の蒸散量が減り、頭皮の「油分量」も減少。その他、かゆみ・フケの原因となる「マラセチア菌」も抑制されることがわかった。
また、試験後の被験者の評価でも、「髪のボリュームアップ」や「頭皮のかゆみが気にならなくなる」といった項目で、イオン照射ありのグループのほうがいい結果が得られた。
実験を行った総合医科学研究所の代表取締役社長・杉野友啓氏は「プラズマクラスターが理美容分野において有効な手段であることが示されたことになり、今後も健康で衛生的な美容を提供することが期待できます」と話す。
シャープはこの結果を受けて、「効果があると判明したので今後検討して商品開発を考えていきたい」とコメント。近々にはヘアケア新製品の発表もウワサされており、今後の動向に注目が集まっている。これまでドライヤーといえば、いかに髪にダメージを与えず素早く乾かすかという側面に焦点が当てられてきたが、これからは頭皮環境を改善し、育毛効果で競い合う時代が到来しそうだ。