「15万円切りでここまでやる?」ニトリ最新ドラム式洗濯機が「全部入り」すぎて家電ライター驚愕!

ink_pen 2025/11/7
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「15万円切りでここまでやる?」ニトリ最新ドラム式洗濯機が「全部入り」すぎて家電ライター驚愕!
伊森ちづる
いもりちづる
伊森ちづる

家電流通、白物家電などを中心に取材記事、レビューを執筆中。3日に1度は家電量販店に足を運びます。苦手な家事が多いので、家電を使っていかに楽しくするかを考え中。最近の関心はテクノロジー×ヘルスケア、テクノロジー×教育。趣味は音楽鑑賞(クラシック)とピクニックなど。

提供:ニトリ

ニトリといえば家具のイメージが強いですが、近年は家電の開発にも力を入れています。1年前には、9万9900円という破格の値段でドラム式の洗濯乾燥機を投入し、大きな話題を呼びました。そんな同社が今年の10月下旬に発売したのが、ヒートポンプ搭載のドラム式洗濯乾燥機(ND120HL1)。ヒートポンプ搭載モデルだと20万円を超えるものも多いですが、本機はなんと15万円を切る価格(14万9900円・税込※1)を実現! そんな、話題を集めること間違いナシのこのモデル、今回、実際にチェックする機会があったので、その驚きをレポートしていきます!(※2)

※1:一部離島では別途手数料がかかります。

※2:本文中の効果・比較は記者の個人的な感想・体験に基づきます。

↑ニトリの12kgヒートポンプ式ドラム式洗濯乾燥機 (ND120HL1 ホワイト)。標準洗濯容量(乾燥布状態での質量):12.0kg、標準脱水容量(同):12.0kg、標準乾燥容量(同):7.0kg。サイズは幅613×奥行677×高さ985mm。
↑12kgの大容量で、毛布など大物の洗濯も可能です。

そもそもヒートポンプ乾燥方式とは?

ドラム式洗濯乾燥機の乾燥方式は、大きく分けて2種類あります。ひとつは、ヒーターで空気を加熱し、高温の風を送り込むヒーター式。高温でしっかり乾かせる反面、布の傷みやシワ、電気代の高さが気になるところ。日常的に乾燥機能を使うより、部屋干し補助として使う人も多いタイプです。

もうひとつが、本機が採用するヒートポンプ式。ヒートポンプとは、熱をある場所から別の場所に“くみ上げる”装置のこと。もともと空気中にあった熱を集めて利用するため、省エネ性に優れた方式となっています。また、ヒートポンプ式は乾燥時の空気の温度が60℃前後の低温となるため、衣類の傷みや縮みを抑えられるのもメリット。洗濯物がふんわりと仕上がるのも特徴で、通常の吊り干しのタオルとの比較(下写真)を見せてもらったところ、大きな違いがありました。

このヒートポンプ式は、日常的に乾燥機能を使う人にはメリットが多いのですが、ユニットの構造が複雑なため、価格が高くなるのが困ったところ。同容量クラスだと20万円を超えるモデルも多いですが、ND120HL1は15万円を切る14万9900円! この価格だけを見ても、いかに本機が画期的なのかがわかるはず。

↑吊り干しで干したタオル(左)とND120HL1で乾かしたタオル(右)の比較。明らかにふんわり感が違います。

「ハイブリッド乾燥」でヒートポンプの課題を克服!

それともうひとつ、ヒートポンプ式には、ヒーター式に比べて温度上昇に時間がかかり、乾燥時間がかかってしまうという課題がありました。その点、本機はヒートポンプに加えてヒーターを活用した“ハイブリッド乾燥”を採用し、この課題を克服。乾燥スタート時の数分間ヒーターを動作させるなど、ドラム内を素早く温め、温度が上がった後はヒートポンプで仕上げます。これにより、時短と省エネ、衣類ダメージの軽減を両立。実際に、同社のヒーター式モデルが洗濯~乾燥(6kg)で約1850Whなのに対し、本機は洗濯~乾燥(7kg)で約900Wh。消費電力が半分以下というのが驚きですね。

ちなみに、開発担当者によると、衣類をふっくら仕上げるため、ヒーターを作動させるタイミングには非常に苦労したそう。なかなか納得のいく仕上がりにならなかったため、ソフト制御の調整を何度も繰り返したといいます。省エネ性とスピード乾燥、ふっくら感……そのすべてを成立させる「ハイブリッド乾燥」には、技術と根気が必要だったというわけですね。

洗剤・柔軟剤自動投入と充実した自動洗浄機能で省手間が実現!

ND120HL1は手間を省く機能も充実。ドラム式洗濯機では、液体洗剤・柔軟剤の自動投入機能がないと物足りないイメージですが、こちらもしっかり搭載しています。約1000mlの液体洗剤タンク、約600mlの柔軟剤タンクを用意しており、洗剤を計量・投入する手間が省けます。

また、ドラム式洗濯機で「買ってから知る面倒」がフィルター掃除です。特に乾燥フィルターは掃除を怠ると乾燥効率が落ちてしまいますので、通常は使うたびにお手入れが必要でした。しかし、本機では、内蔵する乾燥フィルターのホコリを自動で洗い流して、排水フィルターに集約。乾燥フィルターで取りきれない細かい糸くずは、乾燥補助フィルターでキャッチしてこちらも自動で洗浄。このほか、パッキンの溝を洗いやすすぎのたびに水で洗ってくれるほか、ヒートポンプユニットも自動でシャワー洗浄してくれます。

ユーザーが行うのは、週1回の乾燥補助フィルターの掃除と排水フィルターの水洗いのみ。掃除の頻度が減るので、「毎回、忘れずに掃除しなきゃ」というプレッシャーから解放されますね。

↑自動洗浄機能が充実しているため、毎回のお手入れは不要。洗濯機の天面にある乾燥補助フィルター(左)と洗濯機のドラム下にある排水フィルター(右)を週に1回お手入れすればOKです。

「高浸透泡シャワー洗浄」と温水洗浄で洗浄力もバッチリ

洗浄機能も優秀です。ND120HL1は、高濃度の洗剤液をシャワー状に噴射して汚れを浮かす「高浸透泡シャワー洗浄」を採用。こちらはドラムを小刻みに回し、形状を工夫したバッフル(ドラム槽の内部にある仕切り)に洗剤液を細かく当てて泡を作るしくみ。泡は循環ポンプでくみ上げて上から噴射し、衣類の繊維の奥まで浸透させることで、ガンコな汚れにもしっかりアプローチします。

↑泡を作ってシャワー状に噴射する「高浸透泡シャワー洗浄」を搭載しています(写真はデモモードによる運転です)。
↑カレーと泥汚れがついたシャツ(左)を標準コースで洗ったところ、キレイに汚れが落ちました(右)。

このほか、他社では上位モデルに搭載している温水洗浄コースも搭載。温水洗浄だと洗剤の酵素が活性化するため、いつもの洗剤でもワンランク上の洗い上がりが期待できます。ND120HL1では20℃/30℃/40℃/60℃から選べる温水洗浄コースを用意しており、目的に応じて使い分けることができます。

確実に重宝する「特急洗乾コース」を用意

また、従来モデルで評価が高かったという「特急洗乾コース」を搭載しており、こちらも引き続き好評を得そうな予感があります。なぜなら、ドラム式の魅力は洗濯から乾燥まで全自動で行える点ですが、乾燥完了まで2時間以上かかることもあり、「分け洗いしたい」「夜にもう一度洗いたい」ときには不便に感じることもありました。

その点、本機の「特急洗乾コース」は、3kgまでの衣類を洗濯~乾燥まで約60分で完了。仕事帰りに1回、寝る前にもう1回――そんな忙しい洗濯サイクルも可能にしてくれます。家族の人数が多いご家庭や、部活やジム通いなどで着替えが多いご家庭でも使いやすいスピード感。着替えがない! という状況も減りますし、家事の手離れがいいのはうれしいですね。

↑写真は3㎏の洗濯物の目安。「特急洗乾コース」では1回でこれだけの量が洗濯できます。
↑電源ボタンの隣の見やすい位置に「特急洗乾」コースのボタンが配置されています。

除菌水で衣類と洗濯槽を洗う「Oxy Wave」機能も搭載

さらに、本機は水で除菌する「Oxy Wave」機能も搭載。すすぎ時の水にOHラジカルを含む気体を注入することで、除菌水を生成。部屋干し臭や洗濯槽のカビの発生を抑えてくれる(※3)のもうれしいところです。なお、開発担当者によると、「Oxy Wave」の効果を最大化するために、限られたスペースのなかで生成ユニットはどこに取り付けるのがいいのか、どの経路に通すのが良いのか、大いに試行錯誤したうえで決定したそうです。

※3:除菌・カビ抑制等の効果は、すべての菌やカビに対して保証するものではありません。

↑赤い枠で囲んだ部分が「Oxy Wave」のユニット。最終的に洗剤自動投入タンクの付近に配置されました。

このほか、ヒートポンプの仕組みを応用した「空間除湿」機能も搭載しました。こちらは洗濯後に脱衣所の空気を除湿することができ、梅雨時や夏のムッとした湿気対策として重宝します。

↑空間除湿は天面の吸気口を開いた状態で使用します。

振動を吸収するクッションを採用した低振動・低騒音設計もうれしい点。脱水、乾燥時の騒音を抑えるナイトコースも用意しています。

最後に、サイズについて。いくら性能が良くても置けなくては意味がないということで、ボディもコンパクトに仕上げています。高さを一般的な水栓に当たりにくい100cm以下としたほか、従来モデルのユーザーからのフィードバックに応え、足の位置を内側に付けることで、一般的な防水パンに置きやすくしています。

約15万円でこれだけの機能を詰め込んだ構成力はお見事!

IoT機能やAI制御などはないものの、ヒートポンプ搭載をはじめ、洗剤・柔軟剤自動投入と充実した自動洗浄機能、泡洗浄や温水洗浄を備えるなど、人気機能をしっかり網羅していて、まさに「全部入り」といえる内容。「ハイブリッド乾燥」や「特急洗乾」、「Oxy Wave」など独自性の強い機能もうれしい限りです。これだけの機能を詰め込んでいて、12kgの大容量で、さらに高さ約100cm以下のコンパクトボディに収めたうえで、価格を約15万円に抑えた構成力は見事としか言えません。

さらに、ドラム式は高価かつ構造が複雑なため、購入後のサポートも気になるところですが、ニトリでは、メーカー1年+大型家電保証4年の「計5年保証」を用意しました。これなら、多くの人が安心して選べますね。ドラム式初心者はもちろん、すでにドラム式を使っていて、予算の関係で「買い替えたくても買い替えられない」という方にとっても、うれしい1台であるのは間違いありません。

撮影/鈴木謙介