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2018/7/10 18:30

もうワイヤレスでいいんじゃない? と思える驚異の高音質BTスピーカー オラソニック「IA-BT7」

イヤホン、ヘッドホンはアウトドアで音楽を聴くために欠かせないアイテムですが、家の中ならやっぱりスピーカー再生が一番快適です。名機と呼ばれるコンパクトなデスクトップオーディオの数々を商品化してきた日本のブランド、オラソニックが発売したクリアな音質と温かみのある木製キャビネットのスタイリッシュなBluetoothスピーカー「IA-BT7」を紹介したいと思います。

↑オラソニック「IA-BT7」

 

木製キャビネットを採用する本格派スピーカー

小型・軽量、かつデザインにも凝ったBluetoothスピーカーはいま国内外の色々なブランドから発売されていますが、本体のキャビネットに「木=ウッド」を使って、細かなところまで音質に気を配りながら設計した製品は数多くはありません。IA-BT7はオイルド加工のウォルナットと、光沢感が美しいピアノフィニッシュのシルクホワイトの2色が揃うウッドキャビネットを外観の特徴としています。フロントパネルにアルミニウムをコンビにしたレトロなデザインが、リビングのインテリアに違和感なく馴染みます。こちらの2色以外にもウッドやカラーのバリエーションが現在検討されているそうです。

↑カラーはウォルナット(左)と、ピアノフィニッシュのシルクホワイト(右)の2色

 

本体にバッテリーは内蔵しておらず、AC電源ケーブルにつないでリスニングルームに固定して使う据え置きタイプのワイヤレススピーカーです。ハンズフリー通話機能も搭載していませんが、代わりに音質や音楽再生に関わる機能を徹底的にこだわりぬきました。NFCに対応するAndroidスマホやポータブルオーディオプレーヤーと簡単にワンタッチでペアリングができます。

 

スピーカーユニットは正面に向かって左右に2基の5.7cmコーン型フルレンジと、中央には大口径11cmのウーファーを搭載。さらにコンパクトなボディのスピーカーで迫力ある重低音が鳴らせるようにパッシブラジエーターも内蔵しています。ユニット別に搭載するデジタルアンプの最大出力は10W+10W+20W。サイズを超えた迫力あふれるサウンドを鳴らしきる秘密がここにあります。

↑重低音再生を強化するため背面にパッシブラジエーターを搭載

 

LDACやaptX HDなど高音質コーデックに対応

ワイヤレススピーカーとしての特徴はBluetoothの高音質コーデックに幅広く対応していること。コーデックとはBluetooth対応のワイヤレスオーディオ機器の送受信機のあいだで信号を伝送する際の圧縮技術であり、音質にも影響を与えます。ソニーが開発した「LDAC」は最大96kHz/24bitというハイレゾ相当の音楽ソースをBluetoothの技術をベースに伝送できる高音質なコーデックです。ソニーのワイヤレスオーディオ製品が多くこの技術に対応していますが、オラソニックのようにソニー以外のメーカーが音質にこだわるBluetoothオーディオ製品に採用しはじめています。

 

「aptX HD」は米クアルコムが独自に開発するaptXというコーデックの進化系で、最大48kHz/24bitまでのハイレゾに相当する豊富な情報量をBluetoothオーディオの仕組みで伝送できるところが特徴。IA-BT7はaptX HDとaptXの両方をサポートしています。このほかにもiPhone/iPadによる音楽再生の実力をフルに引き出す「AAC」、そして最もベーシックな「SBC」まで、IA-BT7は現在主流のBluetoothオーディオコーデックを全方位にカバーしています。

 

Bluetooth入力、ならびに本体の背面に設けた1系統のアナログ音声入力からのオーディオ信号はすべて自動的に96kHz/24bit変換して再生、つまり“ハイレゾ相当”のクオリティにアップコンバートする機能が本機に備わっています。スマホによる音楽再生のクオリティに確かな違いが感じられはずです。

 

ちなみ本機が搭載するアナログ音声入力端子は「AI/AUDIO IN」と名付けられています。そこにはアマゾンのEchoシリーズなど、AIアシスタントを搭載するスマートスピーカーの一部が搭載するアナログ音声出力に接続して使って欲しいというメッセージが込められています。筆者も自宅で使っているアマゾンのEcho DotをステレオミニプラグケーブルでIA-BT7に接続してみたところ、Echoに音声コマンドでAmazon Music Unlimitedから聴きたい曲をリクエストして、Echo Dotよりも数段パワフルな音楽リスニングが楽しめてとても快適でした。

↑アナログ音声入力は「AI/AUDIO IN」と表示

 

↑アマゾンのEchoシリーズを接続するとまるでオラソニックのスピーカーにAIアシスタントが搭載されているような感覚で楽しめる

 

サイズからは想像できない力強いサウンド

音楽制作のスタジオでは、出来たての音源の仕上がり具合をプロ用のモニタースピーカーだけでなく、ユーザーの手元により近い環境を想定してコンシューマー向けのスピーカーでチェックすることがよくあります。ミュージシャンの意図に近い音楽再生を家庭で手軽に再現できるスピーカーを目指したオラソニックの開発者は、プロのレコーディングエンジニアと一緒にIA-BT7のサウンドをチューニングしています。IA-BT7の音質を確かめてみると、バランスに偏りがなくニュートラルで、スピーカーに由来する不自然な色付けも感じられませんでした。スピーカーのサイズから想像もできないほど力強くインパクトのある音が体に染み渡ってきます。音像の鮮やかなイメージとワイドな音場感は、デスクトップなどスピーカーに近づいてニアフィールドで聴くスタイルの方がよりリアリティを感じられると思いますが、音量の調整も幅が効くので、リビングなど広い部屋に置いてBGMリスニング用のスピーカーとしても十分に使えると思います。

 

IA-BT7は様々なBluetoothのオーディオコーデックに対応していますが、スピーカーの側にコーデックを切り替える機能は付いていないため、スマホやポータブルオーディオプレーヤーなど送り出し側の機器で設定する必要があります。最近はAndroid 8.0を搭載したスマホなど、マルチオーディオコーデック対応とその切り替え出力ができる音楽プレーヤー機器も増えつつあります。筆者も今回ソニーのAndroidスマートフォン、Xperia XZ1を使って様々なコーデックによる音質の違いを聴き比べてみました。

↑LDAC/aptX HD/AACなど高音質コーデックで出力できるスマホ、Xperia XZ1で音質をチェックした

 

その差は同じくマルチコーデックに対応するヘッドホンやイヤホンよりも、スピーカーで聴いた方が明快に表れるようです。音のつながりがよく、きめ細かなテクスチャーを特徴とするLDACはクラシックのオーケストラやジャズの女性ボーカルに良く合いました。クリアで見晴らしの良いaptX HDのサウンドはEDMや洋楽ロック、J-POPにピタリとはまって、立体的なステージを描きます。AACの濃厚で力強いボーカルも聴き応えがあります。最近よく聴いているお気に入りの楽曲を、もう一度このスピーカーで復習してみたくなるような音質です。パソコンとのBluetooth接続も簡単にできるので、音楽だけでなく動画コンテンツを再生するときにも“いい音”の大切さを実感させてくれるスピーカーです。