繊細なHORIZON、エネルギッシュなAZLA MK2
では音質について触れていきましょう。今回はオーディオプレーヤーにAstell&Kernの「A&norma SR15」を用意して、AZLA MK2とHORIZONの音を聴き比べています。
筆者が慣れ親しんでいるHORIZONは、1枚のアルミニウム振動板を2枚の樹脂層で挟み込んだサンドイッチ構造の独自ダイナミック型ドライバー「ARD」を搭載しています。全帯域にわたって乱れのない、クリアなサウンドを引き出し、特に中高域のディティール表現が豊かなところが気に入っています。
例えば、女性ボーカルのビブラートやブレスの細かなニュアンスがルーペで拡大したかのように聴こえ、ダンスミュージックの新鮮なビート、ロックはエレキギターのぷりっとした粒立ちにぐいぐいと引き込まれます。情報量がとても多いサウンドなのに、分析的ではなくひとかたまりの音楽としてエネルギーをぶつけてくるような力強さだったり、耳の奥へ自然と溶け込んでくるようなやさしさがあるところがHORIZONの持ち味であると感じています。
対するAZLA MK2は、音楽のエネルギーをもっとストレートにぶつけてくるようなスケールの大きなイヤホンです。初代のAZLAと比べてみても、音像がさらに一歩前にぐんと踏み込んでくるような力強さを感じます。とてもふくよかな中低域がこのイヤホンのチャームポイントです。
単に量感に厚みがあるだけでなく、タイトで瞬発力にも富んでいます。シルキーなタッチとさわやかで抜けのよい余韻がAZLA MK2独特の世界観をつくり出しています。アップテンポなロックやポップスの演奏はカラッとしたリズムの躍動感が気分を高めてくれました。お気に入りのボーカリストによる歌ものの楽曲は、暖かい毛布に包まれるようなハーモニーの心地よさに魅了されて、思わず同じ曲を何度も聴き直してしまいました。
HORIZONを「緻密な線画」に例えるのであれば、AZLA MK2は「力強い油絵」のようなイメージが頭に浮かんでくるイヤホンでした。今月末には都内で「秋のヘッドホン祭2018」も開催されるので、皆さんもぜひ聴き慣れたプレーヤーと楽曲を持参して、AZLAのイヤホンを聴き比べてみてはいかがでしょうか。