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2018/10/26 9:30

ケタ外れの力強いサウンド!シュアが最新Bluetoothリケーブル「RMCE-BT2」をレビュー

シュアから人気のイヤホン「SEシリーズ」との組み合わせに最適な、MMCXコネクタ採用の高音質DACアンプ内蔵Bluetoothリケーブル「RMCE-BT2」が10月26日に発売されます。価格はオープンですが、想定売価は1万8800円前後になります。

↑高音質DACアンプを内蔵したシュアのBluetoothリケーブル「RMCE-BT2」にSEシリーズのイヤホン「SE846」を装着したところ

 

↑MMCXコネクタによる幅広い互換性を持たせています

 

シュアは2017年の秋に初めてのBluetoothリケーブル「RMCE-BT1」を発売していますが、今回の新製品はそのアップグレード版となる第2弾です。発売に先駆けて、シュア・ジャパンがプレスに向けた発表会を開催しました。

 

最大の違いはブラッシュアップされた「音質」。一般的なBluetoothイヤホンが搭載するワイヤレスオーディオのチップセットは通信系とDAC/アンプが一体成形となっていますが、RMCE-BT2の場合は敢えてDACから送り出される信号を、チップセットの外側に配置した自社設計のプレミアム・ヘッドホンアンプに入力する設計としています。これによって「ふつうの有線イヤホンと変わらないぐらい、安定してSEシリーズのパフォーマンスを引き出せる」と、米国のShure本社から来日したプロダクトマネジメント・シニアマネージャーのショーン・サリバン氏が語っています。

発表会とヘッドホン祭りの開催に合わせてシュア本社からショーン・サリバン氏(右)とトーマス・バンクス氏(左)が来日しました

 

先行発売されているシュアのBluetoothリケーブル「RMCE-BT1」は、どちらかといえばワイヤレスリスニングの利便性に着目した製品です。シュアSEシリーズの中でも入門クラスの「SE215」や「SE112」との組み合わせが推奨されていましたが、新製品のRMCE-BT2では「SE846やSE535に代表される、シュアのハイエンドクラスのイヤホンを組み合わせた場合でも、それぞれの音楽再生のパフォーマンスをフルに引き出しつつ、ワイヤレス再生の利便性を両立させた快適な使いこなしができる」と、製品開発に携わるシニア プロダクト スペシャリスト リスニングプロダクトマネージャーのトーマス・バンクス氏が太鼓判を押しています。

↑RMCE-BT1はシュア初めてのBluetoothリケーブル。Bluetooth 4.1対応で、内蔵バッテリーの最長再生時間は約8時間としています

 

「ワイヤレスイヤホンの音質を決定付ける7つのファクターがあります」と、発表会のステージに立ったサリバン氏が、RMCE-BT2が内蔵する自社設計のプレミアム・ヘッドホンアンプの重要性について説明を切り出しました。

 

「音源の録音品質、プレーヤー機器、音源の解像感を引き出すBluetoothのオーディオコーデックやDACの性能、アンテナの配置と電源供給の方法、そしてイヤホンの装着感など、快適なリスニング感を担保するためにはこれらの要素が計算されたうえで一体になっていることが大事です。そして最も大切な7番目の高音質化のファクターがヘッドホンアンプなのです」(サリバン氏)

 

快適なワイヤレスリスニングを実現する環境が整えば、自動車で言うところのスムーズなドライビングに相当する心地よさが得られるとサリバン氏が持論を語ります。BT1では既成のBlutoothオーディオチップに一体化されていたDACとアンプを使用していましたが、今回の新製品ではコストを度外視して“いい音”を追求した結果、「私たちも大いに満足できる製品を皆様にお届けすることができます」とサリバン氏、バンクス氏は口を揃えて期待感を述べていました。

↑従来のBluetoothイヤホンとの違いは、BluetoothオーディオチップのDACから、オーディオ信号をシュア自社設計の高音質ヘッドホンアンプへバイパスして送り込む設計としたところ。シュアが狙った通りのパワフルなサウンドが再生できる回路構成としています

 

RMCE-BT1はBluetoothのオーディオコーデックがベーシックなSBCにのみ対応していました。新製品のRMCE-BT2は一気に対応コーデックを拡充して、aptX HDによるハイレゾ相当の音質でのワイヤレス再生や、モバイルゲーミングに動画再生のレイテンシを解消する低遅延コーデックのaptX LL、そしてaptX/AAC/SBCをサポートしました。なおHSP/HFPプロファイル対応なので、ケーブルのインラインに設けるマイク内蔵リモコンユニットを活用したハンズフリー通話も可能です。

↑ケーブル部にマイク内蔵リモコンを備えます

 

装着してみると、バッテリーと電気系を格納するボックスが少し大きめなように感じました。サリバン氏に伝えると「背面にクリップを設けているので、シャツの胸元などに固定することで装着時の重さによる負担は軽減できます」とアドバイスをもらうことができました。なお内蔵バッテリーの容量は200mAhで、最大約10時間の連続音楽再生に対応しています。充電に使うケーブルはマイクロUSBです。

↑シャツの胸元に止めるのがオススメとのこと

 

発表会ではRMCE-BT2にSE846を装着した状態で、来場者持ち込みのプレーヤーによる自由試聴ができる時間も設けられました。筆者もaptX HDでの送り出しが可能なGoogle Pixel 3 XLを用意していくつかの楽曲を聴いてみました。音楽を再生してすぐに中低域の力強さに圧倒されました。中高域の情報量もBluetooth再生の限界を超えるクオリティに到達していると思います。広々と描かれる空間の透明度も驚くほどに高く、ボーカルや楽器の音の質感に見事なリアリティが感じられました。

↑グーグルの新しいスマートフォンでaptX HDのサウンドを確認してみました

 

シュアではBluetoothリケーブルのRMCE-BT2とBT1のほか、有線接続のデジタルリケーブルも商品ラインナップに揃えています。iPhone対応のRMCE-LTG、USB Type-Cを搭載したAndroid系スマホで活用できるRMCE-USBなどが主なラインナップになります。これでシュアのマルチ・デジタルリケーブル戦略がひとつの完成型に到達したといえるのではないでしょうか。

↑RMCE-USBはインラインのDAC/アンプを内蔵するリケーブル。USB Type-CコネクタによってAndroidスマホやPCによるリスニングに柔軟に対応します

 

プレス向け発表会の壇上でサリバン氏は「シュアはこれまでの20年以上に渡るイヤホン開発の中でたくさんのノウハウを培ってきました。2006年に発売したイヤホン、SE530が走りとなってMMCXコネクタによる着脱方式の“リケーブル”をというムーブメント、あるいはプラットフォームソリューションを初めてシュアがコンシューマ向けイヤホンの世界に持ち込んだとも言えるかもしれません。さらに2010年に発売したSE535がリケーブルの勢いを加速させました。」とブランドのイヤホンが辿ってきた軌跡を振り返りました。

↑SE535 LTD(Special Edition)

 

サリバン氏はさらに、今後もイヤホンリケーブルの先駆者として、そのメリットと楽しみ方を強く打ち出していきたいと意気込みを述べています。「汎用性の高いMMCXコネクタによる着脱式のメリットについては、ケーブルが断線した際のバックアップがまず最初に思いつくはずです。これからはBluetoothによるワイヤレスリスニングだけでなく、有線デジタル接続も含む多様化するイヤホンリスニングへ柔軟に対応できることの強みにも注目が集まるだろうと期待しています」(サリバン氏)

 

サリバン氏は今後も「つながる、ひろがる、自分の世界」というコンセプトを掲げながら、シュアは多彩なポータブルオーディオリスニングのオプションを展開していきますと力を込めて語っていました。新製品RMCE-BT2は10月27日・28日の2日間に都内で開催される「秋のヘッドフォン祭2018」に出展するシュアのブースに展示されます。Bluetooth再生の常識を越えたパワフルなサウンドをぜひチェックしてみて下さい。