Appleの「AirPods」に代表されるように、スマートフォンを手がけるメーカーが独自にワイヤレスイヤホンを開発する動きが広がっています。先日、東京・中野で開催された「春のヘッドフォン祭 2019」では、ファーウェイがネックバンド式のワイヤレスイヤホン「HUAWEI FreeLace」を展示していました。
「HUAWEI FreeLace」は、本体にUSB Type-C端子を内蔵しており、ファーウェイのスマホにつなぐと簡単にBluetoothペアリングできるほか、イヤホンの充電を行うことも可能となっています。この有線ペアリング機能は、ファーウェイ製のスマホ端末のみで利用できる機能となっており、他社のスマホでは利用できません。このように、自社のスマホと組み合わせて使うことで、ほかにはないメリットを提供できることをアピールすれば、「スマホがファーウェイだから、イヤホンもファーウェイにしよう」というようにユーザーを囲い込める利点があるのです。
GALAXYからも完全ワイヤレスイヤホンが登場
そのような動きが進むなか、世界的ブランド「GALAXY」を抱えるサムスンからも完全ワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds」が登場しました。すでに米国などでは発売されており、国内では5月下旬より販売開始となります。カラーはブラック、ホワイト、イエローの3色。国内販売価格は未定ですが、先行発売している米国では130ドルで販売していることから、1万5000円~程度になるものと予測されます。
Galaxy Budsの大きな特徴は、充電ケースがワイヤレス充電に対応していること。ワイヤレス充電器に置くだけでケースの充電が行えます。さらに、同社の最新端末「Galaxy S10」(日本未発売)と組み合わせると、スマホの背面に乗せるだけで充電が行えるようになります。ケーブルを持ち歩かずにイヤホンの充電ができるので、Galaxyユーザーだけが享受できるメリットといえるでしょう。
イヤホンは最大6時間の音楽再生が可能で、充電ケースを併用すると最大13時間使用できるようになります。また、急速充電にも対応しており、約15分の充電で最大100分使用できます。
もうひとつの特徴として、オーストリアの老舗オーディオブランド「AKG」が音質をチューニングしている点にも注目。発売前の製品を試聴させてもらったところ、AKGらしい澄んだ高音域が感じられ、にごりのないクリアな音質で音楽を聴くことができました。低域は控えめですが、音圧高めのドンシャリタイプが多い完全ワイヤレスイヤホン分野のなかで、この上品なサウンドは個性が立っているといえそうです。
また、Galaxy端末と組み合わせることで、独自の通信規格「Samsung Scalable Codec」を利用できるのもポイント。これによりワイヤレス接続時でも安定した通信を行えるようになります。
着用感にもこだわっており、人間工学に基づいて設計された本体に同梱する3種類のウイングチップとイヤーチップを組み合わせることで、装着感を高めます。また、ケース・本体ともに従来モデル「Galaxy Gear IconX」より約30%小型化したことで、より軽量で快適に装着・持ち運びが行えます。
GALAXYブランドの製品だけあって、通話も高品質。イヤホンの内側と外側にそれぞれマイクを配置したデュアルマイク構造によって、騒がしい場所でも外の音を遮断しながら外耳道を通じてユーザーの声を直接集音するため、クリアな音声で通話することができます。
さらに、本体外側のタッチパネルを長押しすることで即座にボリュームを下げられる「Quick Ambient mode」を備えており、使用中でも面倒なイヤホンの取り外しをせず、瞬時に外部環境音や相手の声を聞き取ることが可能です。
Galaxy Budsは、イヤホン単体としてみてもなかなかの高機能な製品となっていますが、GALAXY端末と組み合わせることで、さらに様々な機能を利用可能となっており、GALAXYユーザーなら選んで間違いのないアイテムといえるでしょう。
オーディオ業界のトレンドはスマホが左右する
音楽配信サービスや定額制ストリーミングサービスの普及などにより、音楽視聴のスタイルはスマホ端末を使うことが主流となっており、このGalaxy Budsのようにスマホメーカーが手がけるワイヤレスイヤホンも増加していくと見られています。
また、beatsブランドを傘下におさめ、オーディオ製品の共同開発を行っているAppleのように、オーディオメーカーそのものを吸収していくスマホメーカーも現れるでしょう。今後は、オーディオメーカーからも特定のブランドや端末との組み合わせを想定したイヤホンやヘッドホンが発売されるかもしれません。