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2018/5/28 6:30

【今日の1冊】ニホンジカの「おじさん」がモテる秘密とは?――『いきもの人生相談室』

野生動物の生態は、まさに「生ける哲学」です。

 

いきもの人生相談室 動物たちに学ぶ47の生き方哲学』(小林百合子・著、小幡彩貴・イラスト、今泉忠明・監修/山と溪谷社・刊)では、醜かったり弱かったりしても、生まれもった特長を活かして、たくましく生きるためのコツを学ぶことができます。

 

社会人になってから親友は作れる?


【Q】会社に親友と呼べる友達がいません。社会人ってみんなそんなもの?

【A】大人になってからの交友は友情だけでは続きません。

(『いきもの人生相談室』から引用)

 

回答者は、カクレクマノミです。「ファインディング・ニモ」に似ているオレンジ色の熱帯魚。

 

カクレクマノミは、イソギンチャクと共生関係にあります。ふたりは助けあって生きています。南の海では、よく知られた親友同士です。

 

外敵に襲われそうになったカクレクマノミは、決まってイソギンチャクの触手のあいだに逃げ込みます。イソギンチャクは身を守るための刺胞(毒針)を持っているので、それが抑止力になります。カクレクマノミには耐性があるので、毒の影響を受けません。

 

イソギンチャクは岩肌に定着しています。外敵から素早く逃げることができません。カクレクマノミの出番です。イソギンチャク毒にひるまない外敵が近づいてきたら、決死の覚悟によって追い払ってくれます。

 

損得抜きで助け合えるのは、ぜいぜい学生時代の友人まで。就職したあとは、たとえ同期入社であっても、助けてもらうためには「メリット(利得)」を求められます。相手に貢献できる「強み」を準備しておきましょう。

 

 

目立ったとき、叩かれるのがつらい


【Q】クラスで目立つことをすると悪口を言われそうで怖いです。

【A】将来、自分の個性を開花させたいなら勇気を出してやりたいことをやろう。

(『いきもの人生相談室』から引用)

 

回答者は、インドクジャクです。漢字では「孔雀」と書きます。

 

孔雀の羽は、オスのほうがゴージャスです。ご存じでしたか? 理由は、メスにアピールするため。自分の子孫を残すためです。

 

その反面、目立つので外敵に襲われやすいデメリットがあります。しかし、インドクジャクの遺伝子は、サイケデリックな羽模様によって目立ち続けることを選びました。差し引きでは「目立ったほうが種の存続につながる」という生存戦略が成功しています。「打たれても出る杭」になったもの勝ちです。

 

競争を勝ち抜くためにはメンタルケアが欠かせません。万人向けのストレス解消法を紹介します。

仕事のストレスを溜め込みたくない


【Q】生まれてこのかた無趣味です。仕事のストレスが発散できません。

【A】仕事とかけ離れたことをやればだいたいストレス発散になります。

(『いきもの人生相談室』から引用)

回答者は、イエネコです。日本には、約1千万匹の飼い猫がいます。

 

イエネコ(飼い猫)は、食事や寝床を与えられているので気楽です。しかし、猫の立場になってみると、「外に出られない」「不意にナデられる」というストレスを負っています。飼い主が遊んでくれないとき、猫はどうやってストレスを発散しているのでしょうか?

 

思いついたように突然、爪をといだり、体毛をペロペロなめたり、あくびをしたり。猫は「転位行動」によって、不安やストレスを忘れようとします。あえて「脈絡のない」「無関係」なことをおこなって、脳(こころ)への負担を減らすと考えられています。

 

ヒトの場合。ストレスを発散したいけれど得意なスポーツや趣味がない……かえって好都合です。いままでに経験が無ければ、慣れるために必死になります。没頭しているあいだはイヤなことを忘れるはずです。ニャンコの転位行動は、理にかなっています。

 

 

ニホンジカ(オス)のモテる秘密


【Q】20歳年上の男性に恋をしました。これってヘンでしょうか?

【A】経験豊富な男性に惹かれるのはいたってまっとうなことです。

(『いきもの人生相談室』から引用)

 

回答者は、ニホンジカです。その名のとおり、北海道から九州まで、日本列島のほとんどに生息しています。

 

ニホンジカは、オスだけに角(ツノ)が生えます。年齢を重ねるごとに、ツノは大きくなっていきます。ニホンジカのオスは、1才で立派なツノが生えたあと、3才までは枝が増えます。4才以降には太くなって、ますます「男らしい」容貌へと成長します。立派なツノを持っているほど、若いメスにモテるそうです。

 

長寿のニホンジカ(オス)は「10才〜12才」なので、人間になぞらえることができます。アラサー(20代後半〜30代)からが「モテ期」の始まりです。アラフォー(30代後半〜40代)、アラフィフ(40代後半〜50代)になっても、女性にモテることをあきらめないでください。

 

本書『いきもの人生相談室』では、オスよりも大きい「チョウチンアンコウのメス」、流されるままに生涯を終える「ラッコ」など、ハンディキャップに負けない生き方も学べます。お試しください。

 

【書籍紹介】

 

いきもの人生相談室 動物たちに学ぶ47の生き方哲学

著者: 小林 百合子 (著), 今泉 忠明 (監修)
発行:山と渓谷社

あなたの人生の悩みに動物が答えるおもしろまじめ本。動物好きだけではなく、どなたにもお愉しみ頂けるだけでなく、読むと心がすーっと軽くなります! 「老後が不安」「家に帰っても妻が口をきいてくれない」「個性がないと言われてしまう」「クラスで目立つといじめられそうで怖いです」「子どもが勉強しない」など、あなたの人生の悩みにいきものたちが答えます!

 

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