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2018/8/16 6:00

「朝」「オス」「無関心」岩合光昭氏が伝授するネコ写真をうまく撮るためのコツ――『カラー新版 ネコを撮る』

動物の写真は、わたしたちの心をなごませてくれます。ネコ写真が与えてくれる「癒し」は圧倒的です。TwitterやInstagramに投稿されたものが、何万リツイートや何万いいねを集めています。

 

カラー新版 ネコを撮る』(岩合光昭・著/朝日新聞出版・刊)という本があります。動物写真の第一人者による、ネコ写真をうまく撮影するためのコツや心がけを紹介します。

 

 

「朝」を狙う

朝、ネコは朝日を浴びに出てくる
これこそがネコ撮影のポイント。お日様が出てくるときが、ネコの活動の開始でもある。朝日が差し込むところに、ネコはいると考えていい。

(『カラー新版 ネコを撮る』から引用)

 

著者の岩合さんは、日の出(朝4時半〜6時半)からカメラを持って出かけます。そして朝10時前には、いったん撤収します。太陽が高くなれば、陰影が短くなるからです。

 

そして、ヒトが活動を始めれば空気中に塵(ちり)や埃(ほこり)が混じります。透明感のあるシャープネスなネコ写真を撮るためには、まさに「早起きは三文の徳」というわけです。

 

岩合さんのアドバイスどおり、早朝に出かけてみたところ……見つけました!
ある企業の従業員向けの駐車場に、5〜6匹のネコたちがたまっていました。出勤前の広い駐車スペースにて、野良ネコたちが寝ころんだり追いかけっこをしていたり。眼福でした。

 

 

「オス」を狙う

モデルネコに適しているのは圧倒的にオスだからだ。オスは習性として、自分の身体を見せたがり、自分の存在をアピールしたがる。(中略)声をかけたときに「え、オレのこと?」と、こちらを睨まず興味を示すのなら、しめたものだ。

(『カラー新版 ネコを撮る』から引用)

 

たしかに、路上でネコと出会ったとき、太っていたり、ひょうきんな顔つきをしたネコのほうが、すぐに逃げないような気がします。写真を撮りやすい、カメラを構えても逃げにくいのはオスだそうです。

 

【オス猫の特徴】
・体が大きい
・額(ひたい)の幅が広い
・骨格がしっかりしている
・足が太い

 

メスの猫は警戒心が強い傾向にあります。お母さんネコならば、なおさらです。こちらが一歩近づいたとき、ネコがすこしでも身構えるモーションを見せたときは、いさぎよく諦めましょう。

 

ネコの写真を撮るためにカメラを構えても、すぐに逃げられてしまう……。ネコに警戒されないためのコツを紹介します。

あえて「無関心」をよそおう

あなたがネコを見つけるよりも先に、ネコはあなたをしっかり見定めている、と言ったら驚くだろうか。(中略)このヒトは大丈夫、そうネコが判断したときに、あなたの側に近づいてくるし、写真を撮らせてくれる。

(『カラー新版 ネコを撮る』から引用)

 

鷹の目(ホークアイ)は、けっして獲物を見逃さない、観察力のするどさをあらわす言い回しです。猫の目(キャッツアイ)だって負けていません。

 

ネコは、刹那のあいだに、あなたの人柄や危険性を見抜きます。本書『ネコを撮る』の著者いわく、ネコは「ネコに対する敬意」すらも感じ取ります。たかがネコという気持ちでいる撮影者には、けっしてベストショットを撮らせてくれません。

 

 

すべての出会いがシャッターチャンス!

カメラレンズに顔を向けてくれない。お尻や背中を向けられてしまう。ネコを撮影するときのお悩みあるあるです。

 

シャッターチャンスは1日に何回もあるわけではないし、1週間の取材でもおそらくシャッターチャンスは、2回か3回あるかないかだ。(中略)1週間のうちの5日目や6日目まで何も撮れなくて今回の取材はダメだと思うことがほとんどなのだ。

(『カラー新版 ネコを撮る』から引用)

 

ネコ写真のプロフェッショナル、日本有数の動物写真家でさえ、1週間で2〜3枚しかベストショットを撮影することができないそうです。

 

動物写真は「静止画」ですが、生きて動いている「一瞬」を切り取ったものです。ネコが動くのは当たりまえですから、ピンぼけや構図を気にせずに、愛情のおもむくままにシャッターボタンを押しましょう。

 

本書『カラー新版 ネコを撮る』には、100枚を超えるネコ写真がオールカラーで収録されています。ネコ撮影のノウハウを学べるだけでなく、何度も読み返せるネコ写真集としてもオススメです。お試しください。

 

【書籍紹介】

カラー新版 ネコを撮る

著者: 岩合光昭
発行:朝日新聞出版

岩合光昭さんのねこ写真の原点、ロングセラー『ネコを撮る』をオールカラーに。モデルねこの探し方、機嫌の取り方、決定的瞬間のシャッターチャンス……。岩合さんのねこ写真の秘密に迫る。傑作をオールカラーで楽しめる待望の新版で、新作も一部所収する。

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