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2018/11/21 21:45

ライムスター宇多丸も唸った!?――下には下がいる? 新概念の「低み」とは一体なんなのか?

この世には、まだまだ言語化されていない概念がたくさんあります。

 

今ではあの広辞苑にも掲載されるようになった「ちゃらい」「婚活」「無茶振り」などの言葉も、もともと言語化されていない概念でした。そんな新しい概念が今、生まれようとしています。その名も「低み」。あなたは「低み」と聞いてどんな様子をイメージするでしょうか?

 

今回は、『ライムスター宇多丸も唸った人生を変える最強の「自己低発」 低み』(TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」&「アフター6ジャンクション」・編/イースト・プレス・刊)より、決して流行にはなってほしくない、低みについてお伝えしていきます。

 

 

そもそも「低み」って何?

この書籍は、TBSラジオをキー局に毎週土曜日夜に放送されていた『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』で2017年1月から約1年間続いた「低み」というコーナーに投稿されたものをまとめたものです。現在、『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』通称『タマフル』は、毎週月〜金曜日の18時から同じくTBSラジオで放送されている『アフター6ジャンクション』通称『アトロク』にお引越しし、放送は続いています。

https://www.tbsradio.jp/a6j/

 

そんなラジオ番組から生まれた「低み」でしたが、始まりは番組ディレクターが食べていたカップラーメンの残りスープをADに「スープ飲む?」と聞いたらうれしそうに「飲みます!」と返事したことが始まりだったそう。

 

え? これのどこが低いの? と思ったあなたは、すでに「低み」街道に足を踏み入れているかもしれません。この行為、「おすそ分け」という優しさでもなく、「お前飲めよ!」という強制でもなく、「もったいない」という気持ちから「飲む?」と聞いたというところがポイント。「このラーメン美味しいから食べる?」とシェアする気持ちなら、麺がある状態からシェアするはずなのに、麺を食べ切ってからシェアするというのは何かが低い。しかもスープだけでも喜んで「飲みたい!」と答える相手がいるというのも低い。

 

「低み」とは、ただ単に下品でセコいような行為ではなく、私は絶対にやらないけど、他人様に迷惑かけているわけじゃないしいいんじゃない? とクスりと笑いながら言えてしまうような概念のことなのです。それでは早速、本書で紹介されている「低み」エピソードをご紹介していきます。

 

 

コンタクトレンズを食べる!?

『ライムスター宇多丸も唸った人生を変える最強の「自己低発」 低み』には、66の「低み」エピソードが掲載されているのですが、これらのなかには面倒臭いという気持ちから「低み」へ発展してしまうものがいくつか存在しています。ラジオネームぴろすけさんの「低み」エピソードをご紹介しましょう。

 

大学時代のバンドメンバーG君はソフトコンタクトレンズをゴミ箱に捨てる代わりに、食べて処理していました。

家に帰り、ベッドに寝転がり、コンタクトを外すそうですが、ベッドからゴミ箱が遠く、わざわざ捨てにいくのが面倒臭いため、このような習慣ができたそうです。

(『ライムスター宇多丸も唸った人生を変える最強の「自己低発」 低み』より引用)

 

WHY!?

 

思わず英語になってしまいましたが、面倒だから食べるとは……! さらにG君は「ワンデーだから意外とすんなり食べられるよ」「うーん、一番近いのは海ぶどうかな」と食べる行為に対してなんの罪悪感も持っていないというのです。

 

ちょっと引いちゃった人もいるかもしれませんが、「低み」というのは誰かに迷惑をかける行為ではなく自己完結している部分が多いのです。そのため、エピソードを聞いたら「なんで?」「意味わからない!」「こわっ」とは思うものの、周りの人にはなんの害もない。犯罪でもないし、他人に迷惑がかからないなら別にいいか、と思ってしまうのも「低み」の特徴と言えるかもしれません。ここで「一緒に食べる?」と強要したら「低み」から「やばみ」へ進展してしまう危険がありますが……。

 

 

わからなくもないけど……食後のゲップで二度味わう

次にご紹介するのは、「もったいない」という気持ちから「低み」へと進化したもの。ラジオネームぴの山さんの「低み」エピソードは、あなたにも身に覚えがある低みかもしれません。

 

会社の後輩のT君の話です。彼は、昼食の帰りにコンビニで炭酸水を買うことがあります。帰ってくると、すぐその炭酸水を飲み、ゲフゲフとこもったようなゲップをしています。

聞くと、「うまいカレーとか、いいだしの利いたラーメンを食べたりしたあと、こうして、もう一度、その香りや味を楽しんでいるんだ。コーラとかそれ自体に味や香りがあるやつだと混ざるから、炭酸水がいいんだよ。本当は炭酸水なしのほうが、濃くていいんだけどね」とのこと。

(『ライムスター宇多丸も唸った人生を変える最強の「自己低発」 低み』より引用)

 

わからなくもない! けど、あえてやらないよ!!

 

私も美味しいご飯を食べた後、ゲップをして「…美味しい」と思い出し発言してしまい「貧乏くさいからやめて」と言われたことがありました。その時、あぁこれはお下品なことなのねと思い、それ以降は口に出して「美味しい」とは言わなくなりましたが、今でも美味しいものを食べた後のゲップは好きです。

 

あー低い!!(笑)

 

私も我ながら低いなーと思いますが、偶然の産物として楽しんでいます。しかしぴの山さんの後輩T君は、あえて炭酸水を飲むことで「習慣化」している。これぞ「低み」の極みではないでしょうか? この「あえて」に何かが隠れているようにも思うのです。

 

「低み」エピソードは、人生にどんな影響を与えるのか?

みなさんのなかには、自己啓発本を読んで「意識を高く」することに努めているという方も多いと思います。確かに、自分を高みに置くことで夢に近づき、お金を手に入れ、人脈が広がり、高めていくことで見える世界が変わるというのも素晴らしいことです。しかしこの「低み」のエピソードを読んでいると、「私は本当に自分がなりたい自分を生きているのだろうか」なんて自問してしまうこともあります。

 

果たして、全てを高めることが善なのだろうか?

 

自分らしく生きるとはなんなのか?

 

とか深いようなことを書いていますが、マジで読み終わった時、あなたの人生の「何か」が変わることは間違いなし! ラジオの投稿をまとめた一冊と侮るなかれ!「低み」を知って己を知ることで、見える世界が変わってきます。

 

これを読んであえて低くなる必要はありませんが(笑)、最近笑っていないなー、ちょっと疲れちゃったな、という方の息抜きにもおすすめの一冊です。

 

 

【書籍紹介】

ライムスター宇多丸も唸った人生を変える最強の「自己低発」 低み

著者:TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」&「アフター6ジャンクション」
発行:イースト・プレス

TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の人気コーナーがまさかの書籍化! 誰にも迷惑はかけていない。犯罪でもなければ、マナー違反になるかもわからない。ただし、確実に、人間として、何かが“低い”……。そんな、身に覚えはあるが、いまだかつて呼び名がついていない、まったく新しい概念「低み」。ポスト平成目前、“意識高い系”の人々が幅を利かす社会を底辺から撃ち抜く攻撃的(アサルト)思考のススメ!

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