本・書籍
2019/1/21 6:00

「赤ちゃんってどうやってできるの?」という子どもの質問にどう答える?

子どもへの性教育に関するトピックが、ここ最近ちょっとしたブームだ。

 

8歳の男の子と5歳・3歳の女の子を持つ私自身にとっても大きな課題であり、実際にいくつかの「性教育」に関する講座を受けた。というのも、長男がまさに「性」に対して興味を持ち始めていて、いまが教え時だと感じているから。

 

もうずいぶん前から「性教育は3歳から」といった話を聞いていたのに、なんとなく先伸ばしにしてきた結果、慌てて対策を練っているというのが本音ではあるが。

 

講師の方から、具体的な声がけの方法は聞いた。頼りになりそうな絵本も買った。できればここに、なにか教科書代わりとなるような性教育の書籍を持っておきたい。

 

そこで見つけたのが、「とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会」の代表理事のじまなみ氏の著書『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版・刊)だ。

 

今回は、こちらの本を中心に、子どもに対する性教育について考えてみる。

 

 

性教育がもたらす3つのメリット

なんとなく「寝た子を起こすな」ではないけれど、「早いうちから性に関することを教えたら、かえって興味本位で性行動を起こしてしまうのでは?」などと思いがちだが、のじま氏によると、「性教育にはメリットしかない!」のだそう。

 

そのメリットとは、次の3つ。

 

・自己肯定感が高まり、自分も人も愛せる人間になる

・性犯罪の被害者・加害者にならない

・低年齢の性体験、妊娠・中絶のリスクを回避できる

(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より引用)

 

性教育といっても、いきなりSEXの話をするわけではない。確かに、そこから始めてしまうと、過剰に興味を示したり、反対に拒絶してしまう子もいるだろう。

 

まずは「僕・私の命ってスゴイんだ!」と思えるように、子どもが生まれてきた日の話、パパもママもみんな待ち望んでいたこと、そしてどれほどの奇跡が重なって生まれてきたのかを伝えることからスタート。ここが肝心だ。

 

そうすることで、子どもは「自分は愛されている。大切に思ってくれている家族がいる」という自己肯定感につながっていく。

 

さらに、性教育は、近年増え続けている子どもの性犯罪被害に対して「防犯の教育」もできるとのじま氏。なんでも、13歳未満の子どもに対する性犯罪の検挙件数は全国で年間900件以上。見逃せないのは、性犯罪に関する知識がない子どもの場合、「なんだか嫌だったけど、何をされたのかわからない」、「親に打ち明けられない」といった理由から、検挙されていないケースが10倍近くあるのでは、と言われている点だ。

 

早い段階から正しい性教育を受けた子どもであれば、「自分がされたことはおかしい、間違っている」と判断でき、「ママに相談しよう」と思えるようになる。そしてまた、うっかり加害者になってしまうことも防げるのだという。

 

さらには、友達や先輩、インターネットなどから間違った知識を得る前に、親からきちんと性教育に関して教えてもらっていれば、「あれ? ママに教えてもらったことや、絵本に書いてあったことと違うぞ!?」と気づくことができる。結果的に、低年齢の性体験や望まない妊娠も防げる、と考えられているのだ。

まずは「プライベートゾーン」を教えよ!

そうか、少しでも早く性教育をしなきゃ!とは思っても、何から始めたらいいのか迷ってしまう人も多いだろう。まずは、「プライベートゾーン」を教えることから始めるのが◎。

 

プライベートゾーンとは…

・他人に見せても触らせてもいけない、自分だけの大事な場所。

・「口」と「水着を着て隠れる場所」を指す。

・男の子も女の子も、口、胸、性器、おしり。

(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より引用)

 

つまり、プライベートゾーンを他人に見られた・触られた、他人から見せられた・触らせようとされたら、緊急事態! その人は危険な人だから、すぐに逃げなくてはいけない! ということが小さな子どもにも伝わる。

 

水着で隠れる部分はわかるけど、「口」も? と疑問に思う人がいるかもしれない。

 

幼稚園児同士でチューしているケースも珍しくないようだ。だが、園児同士なら「かわいらしいな」くらいで済むけれど、小学校低学年くらいになったら「え?」とドキッとする。これが高学年同士ともなれば「やめなさい!」と言いたくなるはず。けれど、子どもにとっては「どうして今までチューしても良かったのに、急にダメになるの?」と訳がわからないだろう。

 

だからこそ、小さなころから「口」もプライベートゾーンであり、お友だちの口を触るのも触らせるのもいけないことだと伝える必要がある。なお、のじま氏おすすめの伝え方は「キスをしているのを悪い人に見られたら? この子はキスしてもいい子だと思われてしまうよ! 自分の身を守るためにも、お友だちとのキスはやめようね」だそう。ぜひ参考にしたい。

 

 

「一度きりルール」を肝に銘じよ!

子どもは突然、性に関する質問を直球でぶつけてくる。そのときに「そんなこと知らなくていいの!」と叱ったり、無視したり、戸惑ったような表情を見せることはNG!

 

というのも、子どもはとても敏感なので、「こういう話を親に聞いたらダメなんだ」と解釈し、二度と質問してくれなくなってしまうから。このことを、のじま氏は「一度きりルール」と呼んでいる。

 

私自身、一度きりルールは絶対に守りたいと思っているので、これまでにドキッとした質問を何度かされているが、すべて「ウエルカム!よく聞いてくれた!」という姿勢で対応している。

 

どうやって答えよう…と内心焦るときは、「ちょっとママもわからないから、調べておく!」と正直に伝える。あくまでも、質問自体を否定しないように。聞いてきてくれたことがうれしいよ、という気持ちで接するよう意識している。

 

おかげで、息子は「ママにはいろいろ聞いてもいいんだな」と思ってくれているようで、特にお風呂に入っているとき、性教育につながるような会話が(今のところは)できている。

 

「おちんちんがピーンとかたくなるのは、なんでかなぁ?」「コンビニにあるエロい本には絵が描いてあるやつと、文字のやつがあるけど、誰が読むんだろう?」などなど。

 

このコラムを読んでくれている皆さんは、どう答えるだろうか?

 

 

学校任せはNG! 家庭で楽しく性教育を

18歳を対象にしたある意識調査によると、「学校の性教育が役に立たなかった」と答えた人は約4割。そして、20歳未満の人工中絶数が1万4000件以上という現状。

 

小学校高学年になったら、学校で授業があるから大丈夫…などと思っている人がいたら、それはぜひ考え直すべきではないだろうか。

 

「性」は決していやらしいものでも隠すべきものでもなく、性教育は「あなたが大切だよ」というあふれんばかりの愛情を伝えるための最善の方法なのだ。

 

今後の我が家の課題は、子どもたちに自分の下着を自分で洗う習慣をつけさせること。近い将来、息子が夢精でパンツを汚してしまったとき、娘たちがおりものや経血で下着を汚したときに、どうしていいかと焦ったりする必要がないように。どの性教育の講座やテキストにも書かれている実践法なので、ぜひ取り入れたいと思っている。

 

「うちもそろそろ性教育のこと考えなきゃ」というパパやママは、ぜひのじま氏の著書を手引きに、家庭での楽しい性教育の一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。

 

【書籍紹介】

お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!

著者: のじまなみ
発行:辰巳出版

母さん!性教育は今注目のテーマです!! 「あさイチ」「首都圏ニュース」「ウワサの保護者会」「ハートネットTV」「#ジューダイ」「専門家だってヒトゴトじゃない!」「きょうの健康」などNHKでも続々特集! 全国の幼稚園・保育園・小学校から引っ張りだこの性教育アドバイザー「のじまなみ」がお届けする「のじま流性教育」、待望の書籍化です!

楽天ブックスで詳しく見る
Amazonで詳しく見る