ライカカメラ、パナソニック、シグマの3社は、2018年9月26日(水)からドイツで始まる世界最大の写真・映像用品展示会「フォトキナ2018」に先立ち、記者会見を開催。「Lマウントアライアンス」と名付けられた戦略的協業を発表した。
向かって左から山木和人氏(株式会社シグマ代表取締役社長)、アンドレアス・カウフマン氏(ライカカメラAG社主)、北川潤一郎氏(パナソニック株式会社執行役員)。
ライカカメラ社によって開発されたLマウントは、マウント径51.6mmを採用し、フルフレームはもちろんAPS-Cセンサー搭載のカメラにも使用可能。フランジバックは20mmで、レンズの小型化が可能となっている。現在は「ライカ SL」「ライカ CL」「ライカ TL2」で採用されており、それぞれのシステム用に作られたレンズが、アダプターを必要とすることなく機能的な制限なしで、前出のカメラすべてで利用可能となっている。
この協業により、パナソニックとシグマがライカLマウント規格の製品開発ができるようになることから、3社が提供するLマウント互換製品群により、システムカメラの拡張性が広がるとともに、幅広い写真撮影のニーズに対応することになるだろう。また、パナソニックとシグマもこの共通規格に基づいた製品を発表する予定だ。
■ミラーレスカメラ市場では多様性が求められている
ライカカメラ社主のアンドレアス・カウフマン氏は、
「写真家にとって、自身の好みのシステムで幅広いレンズの選択肢があることは、とても重要なこと。特にミラーレスカメラ市場では、ユーザーは製品に関して、これまで以上の多様性を求めている。ライカ社は、これらの要望に直ちに応えるために、写真業界の優れたパートナーと協業することを決定した」
と語り、パナソニックとの長年にわたるパートナーシップは、お互いの信頼関係に基づくものであり、パナソニックの電子分野を高く評価。また、シグマも光学設計とレンズ製造の分野で確固たる地位を築いていることから、
「Lマウント製品のポートフォリオを補完してくれるものと信じている。3社の協業により、今後とも安定した成長を続けることができるものと信じている」
と述べている。
■優れたデジタルカメラの開発が一層加速される
パナソニック専務執行役員の本間哲朗氏は、
「パナソニックは、“デジタル時代の新たな写真文化の創造”をテーマに、最先端のデジタル技術を駆使して革新を起こしてきた。そして、ライカとの長年にわたるパートナーシップを通じて、ライカの優れた光学技術とパナソニックのデジタル技術を融合させ、数多くの高性能で高品質なデジタルカメラを世に送り出し、世界中の写真愛好家に向け、より簡単に、より洗練された、より楽しい体験をお届けすることに注力してきた。今回のライカ、シグマとのLマウントアライアンスにより、優れたデジタルカメラの開発が一層加速される。3社の協業は、デジタルカメラ業界に更なる変革もたらし、新たなビジネスチャンスを創出するとともに、世界中の写真愛好家に更なる感動を届けられると確信している」
と述べている。
■シグマはLマウントのミラーレスカメラ開発を名言
シグマ代表取締役社長の山木和人氏は
「カメラのデジタル化とミラーレス化の進展にともない、お客様のニーズも各メーカーが採用するシステムも多様化している。選択肢は多くあるものの、拡張性と可能性の点で真にユーザーニーズを満たすシステムはまだないように思う。シグマは、このアライアンスによって、ショートフランジバックによるメリットを活かせるミラーレスカメラを開発する。この協業により、カメラシステムの完成度と拡張性を高め、さらなるユーザーメリットを提供できるものと確信している」
と、Lマウントを採用したミラーレスカメラの開発を明言した。
さらに山木氏は、ライカは100年以上にわたって写真文化に貢献し続けている素晴らしい企業、パナソニックはさまざまな分野で信頼性の高い技術により開発を続ける業界のリーダーであるとし、シグマのユニークで高性能・高品質な製品とともに、このLマウントシステムはユーザーにとって非常に魅力的なシステムになるだろうと語った。
〈写真・文〉柴田 誠