2021年は少しずつ良い方へ変化の兆しが見え始めた1年でした。2022年は久しぶりに楽しい写真ライフを過ごせることを願って、プロ写真家やカメラライターに「2021年に買ってよかったモノ」を一斉調査しました。さあ、どんなアイテムが出てくるかお楽しみに!
北村智史さんの2021ベストバイ「SIGMA 24mm F2 DG DN | Contemporary」「SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary」
シグマ「Iシリーズ」に感じた疑問
シグマから「Iシリーズ」として3本の「DG DN | Contemporary」レンズが登場したときにちょっと奇妙に思ったのが開放F値だった。というのは、先行して「SIGMA fp」と同時に発表された45mmがF2.8。なのに、35mmと65mmはF2で、24mmはF3.5だったからだ。同じシリーズなのにどうしてこうも開放F値がバラバラなんだろう?
それに加えて、45mmと24mmは兄弟のように似たシルエットなのに、35mmと65mmはサイズも大きいし重さもある。カバーリングという新しい意匠が増えてフォーカスモード切換えスイッチのスタイルも変更されている。4本のレンズがラインナップとしてバランスがよくないように感じたのだ。
24mmと90mmが加わって疑問がスッキリ
で、どうしたんだろうね、と思っていたら秋に新しく「DG DN | Contemporary」レンズが追加された。それが「24mm F2 DG DN | Contemporary」と「90mm F2.8 DG DN | Contemporary」の2本だった。すでに発売されている4本に新しい2本を足して並べると、奇妙に思えていたのがスッキリした。
「SIGMA fp」にぴったりサイズの、小さくて軽いのがお好みの人には
- 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
- 45mm F2.8 DG DN | Contemporary
- 90mm F2.8 DG DN | Contemporary
の3本で、
それから多少重めでも明るいのが好きな人には
- 24mm F2 DG DN | Contemporary
- 35mm F2 DG DN | Contemporary
- 65mm F2 DG DN | Contemporary
の3本で、それぞれにセットが組める。
そういうふうに最初から計画されていたのだろう。それがタイミングをずらして発表されたせいでちぐはぐなラインナップのように感じたのに違いない。
「小さい3本」「明るめの3本」に分けて並べてみた
小さいほうの3本は焦点距離も手ごろだし、近接能力が高いのが楽しい。24mmの最大撮影倍率は1:2 (0.5倍) のマクロレンズ級だし、90mmも0.5mまで寄れる。フィルター径も55mmでそろっている。しかも、3本セットで735g (Lマウントの公称値) しかないから、「SIGMA fp」と組み合わせると街歩きや旅行に最高なシステムになる。
開放F2の3本はあまり寄れないけど、明るめなぶんボケで遊べる。AFとMFの切り替え操作がやりやすいのも地味にありがたい。「SIGMA fp」には少し重めにはなるとは言っても、グリップを着けておけばホールディングも問題はない。個人的には「LUMIX S5」やα7系のほうがバランス的にはいいと思う。
とまあ、そんなふうだから、小さいのと明るめのを3本ずつで並べると、これが見事にしっくりくる。見た目にも気持ちがいいし、使い勝手も統一できる。
問題は、なんだかんだ言っているうちに6本ともそろっちゃったものだから、どちらのセットを連れ歩こうか悩んでしまうこと。そういうのも楽しかったりするんだけどね。
実写作例
少しばかり体調を崩して外出がままならないので、90mmで我が家の猫のアップをねらってみた。絞り開放の最短撮影距離付近でもピントが合った虹彩はぞくぞくするほどシャープだし、被毛の1本1本の再現がすごい。そのうえ後ボケはまろやかで心地がよくて、ほんとうにたまらない写りをしてくれる。