富士フイルムが、ラージフォーマットミラーレスカメラで約4億画素の撮影・画像生成ができる機能「ピクセルシフトマルチショット」の開発において、令和3年度日本写真学会「技術賞」を受賞した。「ピクセルシフトマルチショット」は「FUJIFILM GFX100」と「FUJIFILM GFX100S」で使用できる。
日本写真学会「技術賞」は、日本の写真業界および写真関連分野における科学技術の進歩・発展に貢献した会員に贈られる賞。今回の受賞は、デジタルアーカイブ分野の発展に貢献するテクノロジーとして「ピクセルシフトマルチショット」を開発したことが評価されたものだ。
デジタルアーカイブとは、美術品や建築物などの貴重な文化財をデジタル情報として記録し、劣化させずに後世に残すための手法。「ピクセルシフトマルチショット」は、1億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載した「GFX100」の用途をこのデジタルアーカイブの分野にも広げるという目的で開発された。「ピクセルシフトマルチショット」に対応する「GFX100」用ファームウェアと専用ソフトウェアは2020年11月に無償提供が行われ、2021年2月発売の「GFX100S」にも同機能を採用している。
■「ピクセルシフトマルチショット」の原理
ボディ内手ブレ補正機構により、イメージセンサーを超高精度にシフトさせて自動撮影を行うことで、1回のシャッターで16枚の画像を取得。専用ソフトウェア「Pixel Shift Combiner」で処理し、約4億画素の画像を忠実な色再現で生成することができる。画像編集ソフトウェア「Capture One」を利用すれば、汎用性の高いTIFF形式などの画像にも変換可能だ。
日本写真学会「技術賞」受賞者
- 田中康一さん (富士フイルム株式会社 光学・電子映像事業部 光学・電子映像商品開発センター)
- 楠本修也さん (富士フイルム株式会社 光学・電子映像事業部 光学・電子映像商品開発センター)
- 水澤哲也さん (富士フイルムソフトウエア株式会社 ソフトウェア開発本部 光電ソリューショングループ)
なお、令和3年度日本写真学会の技術賞は、OMデジタルソリューションズも「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」による「焦点距離2000mm相当での手持ち撮影を可能にする超望遠PROレンズの開発」で3名 (村山恭二さん、細谷剛さん、田嶋智之さん) が受賞している。
〈文〉佐藤陽子