ソニーは2022年10月26日、フルサイズミラーレスカメラの新型機「α7R V」を発表した。解像度 = Resolutionの頭文字であるRを冠したモデルで、有効約6100万画素の撮像素子は従来モデル同様だが、従来比で約8倍という高速処理能力を持つ画像処理エンジンと、AIプロセッシングユニットによって大幅に向上した被写体認識性能が特徴だ。
ソニーのフルサイズミラーレス機は、現行機種で見るとベーシックな「α7 IV」、解像重視の「α7R IV」、スピード重視の「α9 II」と「α1」、感度重視の「α7S III」という体系になっている。今回の「α7R V」は解像重視型。2019年登場の先代「7R IV」から3年ぶりの新型だ。
まずは搭載する撮像素子だが、こちらは基本的には「7R IV」と同じ有効約6100万画素のExmorR CMOSセンサーのまま。これに従来比で最大約8倍の高速処理能力を持つ最新の画像処理エンジン BIONZ XRを採用し、センサーの実力をより生かす仕様としている。例えば連続撮影可能枚数は、「7R IV」がJPEG Lサイズ エクストラファインで約68枚、RAW+JPEGで約68枚であるのに対して、「7R V」のそれは1000枚以上、184枚と飛躍的に向上している。
また、6100万画素で撮影した静止画を、複数枚で構成するピクセルシフトマルチ撮影も進化。こちらは4枚合成と16枚合成ができるが、従来は難しかった風に揺れる枝や走行する自動車などを含む風景撮影も可能になっている。
高画素機での撮影で顕著になる手ブレへの対策も進化。高精度な手ブレ補正ユニットおよびジャイロセンサーと、最適化されたアルゴリズムで、静止画撮影時のボディ内手ブレ補正効果はα史上最高の8段 (これまでは最高5.5段) をボディ単体で実現しているという。
「α7R V」の技術的ハイライトが「AIプロセッシングユニットによる被写体認識性能の著しい技術革新」だ。αシリーズはすでにAFの精度の高さや早さで定評があったのだが、例えば人物の場合、人間の胴体や頭部の位置をより高精度に認識。被写体の骨格情報を使ってその動きを高精度に認識することができるようになり、人物の瞳の認識精度は「α7R IV」比で60%向上しているという。動物、鳥、動物/鳥に関しても、「α7 IV」との比較で認識性能は約40%アップ。さらに昆虫、車/列車、飛行機も、新たに被写体認識の対象に加えられている。
AF測距点数や配置も強化。「α7R IV」では撮像エリアの約74%の範囲に567点の像面位相差AFセンサーを配置していたのに対して、「α7R V」では約79%のエリアに最大693点を配置している。
さらに静止画のAF撮影中に、装着レンズのフォーカスリング操作により任意のタイミングで一時的にMFモードに切り替えることが可能な「フルタイムDMF機能」の新採用、あらかじめ設定したピントの間隔や順序に基づき、カメラが自動的にピント位置をずらしながら1回の撮影で最大299枚の連続撮影が可能な「フォーカスブラケット機能」の新採用、暗所でのAF性能の向上などが図られている。
動画撮影機能では、フルサイズで8K24Pと4K60Pの撮影が可能になった。最新の手ブレ補正アルゴリズムでの光学的な補正に加え、対応する手ブレ補正機構内蔵レンズとの組み合わせで、手持ち撮影を強力にサポートする「高性能手ブレ補正アクティブモード」の採用、長時間連続録画を可能にする「放熱構造」、動画/静止画撮影時におけるカメラポジションの自由度が広まる、バリアングル型とチルト型を融合した新開発「4軸マルチアングル液晶モニター」なども新しい。
市場推定価格は56万円前後で、2022年11月25日発売予定となっている。
SONY α7R V 主な仕様
型名 ILCE-7RM5
マウント ソニーEマウント
有効画素数 約6100万画素
撮像素子 35mmフルサイズ (35.7×23.8mm) Exmor R CMOSセンサー
ISO感度 ISO 100〜32000 (拡張 : 下限 ISO 50、上限 ISO 102400)
シャッター速度 1/8000〜30秒、バルブ
ファインダー 0.64型 9,437,184ドット OLED 電子式ビューファインダー (約0.90倍)
画像モニター 3.2型 2,095,104ドット TFT液晶モニター (4軸マルチアングル / タッチパネル)
記録媒体 SD/SDHC/SDXCメモリーカード (UHS-I/II対応)、CFexpress Type Aカード
外寸 (幅×高さ×奥行き) 約131.3×96.9×82.4mm
質量 約638g (本体のみ) / 約723g (バッテリー、メモリーカードを含む)