フルサイズミラーレス機と共に発売された キヤノン、ニコン、ソニー各社のF4標準ズーム。 新時代に合わせ新たに設計・発売された レンズの実力は、今までとどのように違うのか。3本の“キレ”と“味”を「解像力・周辺画質」「逆光性能」「ボケ描写」「近接画質」の4項目で徹底チェックする。今回は逆光性能を比較した。
左から「キヤノン RF24-105mm F4 L IS USM」「ソニー FE 24-105mm F4 G OSS」「ニコン NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」。キヤノンとソニーのズームは大きさ重さがほぼ同じ。対してニコンはテレ側が70mmまでで、構造も沈胴式にすることで見た目にはかなりコンパクト。通常、レンズのテストは画質が中心になるが、ここでは逆光性能やボケ描写までレンズとしての総合的な描写力を見ることにした。そして最新の技術で作られただけあって、いずれも高性能だがボケ描写には個性がある。
フルサイズミラーレス用F4標準ズーム比較
① 解像力・周辺画質の“キレ”と“味” https://getnavi.jp/capa/report/290726/
③ ボケ描写の“キレ”と“味” https://getnavi.jp/capa/report/291744/
④ 近接画質の“キレ”と“味” https://getnavi.jp/capa/report/292143/
フルサイズミラーレス用F4標準ズームの“キレ”と“味”を比較チェック!② 逆光性能
太陽光をまともにレンズに入射させる厳しいチェック
フレアカッターなしで太陽光が直接レンズ前方から入射する厳しい状況で撮影した。
<比較方法>
■ワイド端(24mm)
ワイド端では、頭上に太陽をまともに写し込んでフレアやゴーストの出方を見る。これは、太陽を頭で隠すことでフレアカッターを使ったのと同様の効果を示した画像。太陽を画面に写し込んだとき、エンジの衣装と背景の暗部にどの程度フレアがかかるかを比較した。
■テレ端(70・105mm)テレ端時は、逆光ポートレートとして画面視野外のやや左上に太陽がある状態でチェック。
■ワイド端
・キヤノン RF24-105mm F4 L IS USM(24mm)
太陽が直接画面に写り込んでもゴースト、フレア共に少ない
頭上の太陽の周囲には少し光芒状のフレアがかかり、ゴーストは太陽からの中心線上の画面中央下とほかに微細な2点のみ。太陽を頭で隠したクリアな画像との比較では、エンジの衣装と背景のシャドー部にかかるフレアは少ない。
・ソニー FE 24-105mm F4 G OSS(24mm)
太陽周りのフレアはやや明るいがゴーストは少ない
太陽周囲のフレアは光芒もなく柔らかく分布する。ゴーストは太陽からの中心線上の画面中央下の淡い小丸とほかに1点現れたのみ。衣装や背景のシャドー部にかかるフレアはキヤノン、ニコンに比べるとわずかに多い程度。
・ニコン NIKKOR Z 24-70mm f/4 S(24mm)
ゴースト、フレア共に少なく強逆光でもかなりクリア
太陽の周りにできるフレアは比較的少ないが、わずかに虹色の色付きが見られる。ゴーストは太陽を通る中心線上に小さく淡いのが2~3点現れる程度。衣装や暗部にかかるフレアはキヤノンと同程度で非常に少なくてクリア。
■テレ端
・キヤノン RF24-105mm F4 L IS USM(105mm)
レンズ鏡胴の太さが逆光性能の高さにも貢献している
レンズのコーティングの良さに加え、レンズを後ろから覗くと真っ暗に見えるくらい内面反射防止も徹底している。おかげでフレアカッターも使っていないがゴースト、フレアはまったく見当たらず、画面はとてもクリア。
・ソニー FE 24-105mm F4 G OSS(105mm)
逆光のポートレートもフレアカッターなしで手軽に撮影できる
ボケ描写のチェック画像としても見ることができる逆光のシチュエーション。フレアカッターは使っていないがゴーストもフレアもまったく見られず画面はとてもクリア。これなら逆光のポートレートも手軽に撮影できる。
・ニコン NIKKOR Z 24-70mm f/4 S(70mm)
沈胴式の複雑な構造ながら徹底した内面反射防止が見事
キヤノン、ソニーと同様にコーティングと内面反射防止が徹底しており、フレアカッターがなくてもゴーストやフレアはまったく見られない。なお105mmよりは画角が広いことから、背景がやや広く写っておりボケ量もやや小さい。
■いずれもズームレンズとは思えないほどクリア
3本のレンズともに逆光性能が極めて優れていた。光学設計のみならずコーティングの良さに加え、ズームレンズでは難しい鏡胴の内面反射防止が極めて高度に施されており、その技術は賞賛したい。
〈写真・解説〉馬場信幸
〈モデル〉臼谷真実(LINK)