機材レポート

小型軽量で性能は抜かりなし! 実写でわかった「富士フイルム X-S10」の実力

富士フイルムXシリーズに新しいラインのモデルが登場。小型・軽量ボディに強力な手ブレ補正を搭載し、最上位モデルの画質で写真&動画が撮影できる「X-S10」の実力を紹介しよう。

最上位機の画質と機能を受け継いだ小型軽量のハイパフォーマンスモデル

X-Sシリーズの1号機「X-S10」は、薄型で小さなボディながら、しっかりしたグリップを持つのが特徴だ。握るとガッチリ感があり、質感は「X-T200」や「X-A7」より「X-T30」以上のモデルに近い。高級感があり、本格派の雰囲気が漂う。

富士フイルム X-S10

そして撮像素子と画像処理エンジンは、「X-T4」「X-Pro3」「X-T30」と同じX-Trans CMOS 4とX-Processor 4を採用し、フラッグシップ機と同じ画質が得られる。しかもフィルムシミュレーションは、「X-T4」で好評の「ETERNAブリーチバイパス」も搭載。自動モードの「AUTO/SP」での画質も向上し、カラークローム・エフェクト (ブルー) や明瞭度、Dレンジ優先などがシーンに応じて適用されるなど、手軽に富士フイルムらしい仕上がりが堪能できる。

高い解像力と豊かな階調で印象的に描く

X-T4」と同じX-Trans CMOS 4とX-Processor 4を採用し、高画質が得られる。ローパスフィルターレスで解像力が高いのはもちろんだが、広い階調再現も魅力だ。ここでも灯台と雲の階調が豊かに再現され、立体感のある仕上がりになった。

富士フイルム X-S10 作例
FUJIFILM X-S10 XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS 絞り優先オート F8 1/480秒 +0.3補正 ISO160 WB : オート

レトロな雰囲気をフィルムシミュレーションで再現

フィルムシミュレーションは18種類を搭載。注目は「X-T4」にも採用された「ETERNAブリーチバイパス」だ。彩度は低いがコントラストは高く、かつての「銀残し」の雰囲気が味わえる。電車やスクーターのレトロ感が強調できた。

富士フイルム X-S10 作例
FUJIFILM X-S10 XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS 絞り優先オート F5.6 1/120秒 -0.7補正 ISO160 WB : オート

最大6.0段のボディ内手ブレ補正を搭載

さらに5軸・最大6.0段のボディ内手ブレ補正も搭載された。フラッグシップ機以外で手ブレ補正が内蔵されたのは初めてだ。暗所や屋内、マクロ撮影や望遠撮影、さらに動感を強調した表現などが、高い機動力で実現できる。

スローシャッターも余裕で使える強力手ブレ補正

わずか465gの小型軽量ボディながら手ブレ補正機構を搭載。しかも約6.0段と強力だ。シャッター速度を1/4 秒にして、噴水の水を流した。またシャッターショックも少なく、スローシャッターでも安定感のある撮影ができた。

富士フイルム X-S10 作例
FUJIFILM X-S10 XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS シャッター優先オート 1/4秒 F22 ISO160 WB : オート

ビギナーからベテランまで楽しめるバランスの良いカメラ

小型軽量ボディに「X-H1」を思わせるグリップと、「X-T4」の高画質とフィルムシミュレーション、「X-T200」の軽快さを併せ持ったバランスの良いカメラだ。フルHD/240pのハイスピード動画や、HDMI出力ながら4K/30P 4:2:2 10bitに対応するなど、動画機能も充実。ビギナーからベテランまで、幅広く楽しめる。

コンパクトで軽快に撮影できる

大型のグリップを持ち、正面は「X-H1」を彷彿させる。しかしボディは薄くて小さく、軽快感がある。しかも手ブレ補正内蔵だ。背面に十字キーはないが、8方向レバーや前後ダイヤル、タッチパネルでスピーディーな操作ができる。

富士フイルム X-S10

富士フイルム X-S10

富士フイルム X-S10

写真から動画までアングルが自由自在

背面モニターはバリアングル式を採用。横位置と縦位置のどちらでもハイアングルやローアングルに対応できるほか、180°反転できるためVlogで自撮りをしたい人にも適している。

富士フイルム X-S10

撮影の幅が広がるフラッシュを内蔵

「X-T30」や「X-T200」と同様、一眼レフを思わせる本格派のデザインに、本体上部のレバーでポップアップするフラッシュを内蔵。室内での撮影だけでなく、屋外の日中シンクロなどに便利だ。

富士フイルム X-S10

FUJIFILM X-S10 主な仕様

FUJIFILM X-S10 XF18-55mmレンズキット

発売日 2020年11月19日
参考価格 (税別)
ボディ 120,000円
XC15-45mmレンズキット 130,000円
ダブルズームレンズキット (XC15-45mm + XC50-230mm) 150,000円
XF18-55mmレンズキット 165,000円

有効画素数 約2610万画素
撮像素子 23.5×15.6mm (APS-Cサイズ) X-Trans CMOS 4センサー (裏面照射型)
マウント FUJIFILM Xマウント
ISO感度 ISO 160〜12800 (拡張 ISO 80 / 100 / 125 / 25600 / 51200)
AFシステム 最大425点 (位相差AF低照度限界 -7.0EV)
シャッター速度 最速1/4000秒 (メカシャッター)、1/32000秒 (電子シャッター)
連写性能 約8コマ/秒 (メカシャッター)
手ブレ補正 ボディ内5軸手ブレ補正 (最大6.0段)
ファインダー 0.39型 約236万ドット 有機ELファインダー (倍率 0.62倍)
画像モニター 3.0型 約104万ドット バリアングル式タッチパネル付きTFTカラー液晶モニター
動画機能 4K/30p対応 (フルHD/240p対応)
記録媒体 SD/SDHC/SDXCメモリーカード
サイズ (幅×高さ×奥行き) 126.0×85.1×65.4mm (最薄部32.9mm)
質量 約415g (本体のみ) / 約465g (バッテリー、メモリーカードを含む)
付属品 充電式バッテリーNP-W126S (リチウムイオンタイプ)、専用USBケーブル、ヘッドホン用アダプター、ショルダーストラップ、ボディーキャップ

 

 

〈写真・解説〉藤井智弘

 

※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。