伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2024年3月号 アザーショット【後編】
テレコンなしで800mmまでカバーできるキヤノンの超望遠ズーム「RF200-800mm F6.3-9 IS USM」と、ズーム全域で開放F2.8の明るさとズーム全長が変わらない標準ズーム「RF24-105mm F2.8 L IS USM Z」。いずれも大きく重く、安くはないレンズだが、他メーカーにはない際立ったスペックを誇る唯一無二の存在だ。この最新ズームの描写力と使い勝手をチェックする。
後編では「RF24-105mm F2.8 L IS USM Z」を実写作例で検証した。
伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』の人気連載「レンズパラダイス」。本記事では2024年3月号の「レンズパラダイス」に掲載しきれなかったアザーショットとインプレッションを紹介します。
- キヤノン RF200-800mm F6.3-9 IS USM 実写チェック
- キヤノン RF24-105mm F2.8 L IS USM Z 実写チェック
キヤノン RF24-105mm F2.8 L IS USM Z
[マウント] キヤノンRFマウント [最大径×長さ] 約φ88.5×199mm [重さ] 約1330g (三脚座を除く) [レンズ構成] 18群23枚 [最短撮影距離] 0.45m (ズーム全域) [最大撮影倍率] 24mm時 0.08倍、105mm時 0.29倍 [絞り羽根枚数] 11枚 [フィルター径] φ82mm
参考価格 495,000円 (税込)
細部の質感までしっかり描き出す
世界初、開放F2.8通しの24~105mmズームで、テレ端F2.8開放でもこの解像とコントラストの高さ。観覧車のゴンドラをアップにしてみると、座席に座っているぬいぐるみの質感まで描き出している。デジタル補正で周辺光量低下もほとんど目立たない。
近接は45cmとなるが大きなボケ表現が楽しめる
最短撮影距離はズーム全域で45cm。「RF24-70mm F2.8 L IS USM」と比べ、被写体に近づけないのがマイナスポイントだが、105mmまでズームできるのは強み。開放F2.8と明るいので、「RF24-105mm F4 L IS USM」よりも大きなボケ表現が楽しめる。ボケの色付きもほとんど感じない。
ボケの色付きの少なさは感動するほど
最短撮影距離が45cmなので、席に座ったままでは少し仰け反った姿勢で撮影する必要があるが、開放F2.8ならではの被写界深度の浅さと、軸上色収差によるボケの色付きの少なさは感動的だ。
画面のごく周辺部を除くと開放から安定した解像
オレンジ色に染まった夕空が機体に反射し、羽田空港第3ターミナルの奥にはシルエットになった富士山が浮かび上がっている。少し絞って撮影したいところだが、開放F2.8の解像を試すため、あえて絞り開放で撮影。画面周辺の誘導灯が点ではなく三角になっているが、それ以外は安定した解像が得られている。
光条は伸ばしにくいが、耐逆光性能は高い
円形絞りということもあり、かなり絞りを絞っても鋭い光条は伸びにくいが、木の枝や幹の際に太陽をかすめるように配置すれば、なんとか光条を伸ばすことができる。大口径レンズなので、細かなゴーストはいくつか出るが、その多くは淡くて絞りを絞り込まなければあまり目立たない。比較的逆光に強いズームだと思う。
本記事で紹介した以外の実写作例と詳しい解説は『CAPA』2024年3月号でご覧ください。
※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。