2022年1月のVMマウントを皮切りに、2023年2月にはニコンZ、同10月にはキヤノンRFの各マウントが発売された、フルサイズ対応のNOKTONシリーズで最も明るい交換レンズ「フォクトレンダー NOKTON 50mm F1 Aspherical」。そのソニーEマウント版がようやく登場した。
明るさと画質を高い次元で両立させた垂涎のMFレンズ
フォクトレンダーブランドでも、F1.5より明るいレンズに与えられる称号がノクトン。その中でもフルサイズ対応では最も明るいF1という開放値を実現したのがこのレンズだ。
最近の50mmはF1.4でも大柄な製品が多いが、このレンズは金属製ゆえ重量こそ590gあるものの、サイズはスペックのわりに小ぶり。F1という驚異の明るさを気負わず常用できる。
描写は絞り開放でも中央部はしっかりと解像。繊細さも感じられ、そこから前後へとろけるようにぼけていく。マニュアルフォーカスだがピントの山はつかみやすく、紙のように薄いピント面を指で操作するのは実に気持ちがいい。絞るとキレ味が増し、F 1.4〜F2のあたりが絞り開放とは違った立体感が生まれるように思う。まさにポートレートには最適なレンズだ。
注目ポイント
GAレンズを使用したシンプルなレンズ構成
フローティング機構を採用したレンズ構成は7群9枚で、最近の標準レンズとしてはシンプル。最前面にGA (研削非球面) レンズ、最後面にも非球面レンズを使用している。
操作性に優れたフォーカスリング
フォーカスリングはRFマウント版と同じ、ダイヤパターンを刻んだ金属製。手触りも回転の感触も素晴らしい。またカメラ側で設定すれば、ピント拡大も回転操作で可能だ。
電子接点を介してカメラ機能に対応
操作はフルマニュアルだが電子接点を内蔵。距離や絞りの設定情報をカメラに伝達する。5軸手ブレ補正に連動するほか、絞り値もファインダーに表示される。
実写作例
超弩級の明るさがもたらす耽美なボケ味
絞り開放で撮影。被写界深度の浅さと、とろけるようなボケに驚かされた。周辺を見るとわずかに口径食はあるものの、F1という絞り値を考えれば優秀な描写だと思う。
絞りで描写の味をコントロール
最短撮影距離は45cmで、テーブルフォトのほか、街角で気になったものにグッと寄ることもできる。わずかに絞ったときの描写が最もこのレンズの旨みを引き出せるように感じた。
フォクトレンダー NOKTON 50mm F1 Aspherical E-mount
発売日 2024年3月19日
希望小売価格 264,000円 (税込)
マウント ソニーEマウント
レンズ構成 7群9枚
最短撮影距離 0.45m
最大撮影倍率 1:6.9
フィルター径 67mm
絞り羽根枚数 12枚
最大径×全長 φ79.3×69.3mm
質量 590g