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【星と月の撮影の基本⑦】臨場感のある作品に仕上げるホワイトバランス

星空のきれいな景色(星景)を見ると撮影したくなるもの。カメラが好きな人にとって、一度は挑戦してみたい!被写体です。星や月、惑星など撮りたい気持ちはあるのだけれど、「難しい!」「真っ暗!」「星が映らない!」など撮影方法の悩みは尽きません。これから流星群や皆既月食、火星の接近など、天体撮影では、イベントも盛りだくさん。カメラを通してきれいに撮る方法やテクニックをご紹介いたしましょう。

 

 

光源の色に合わせて、被写体の色を忠実に再現するのがホワイトバランス(WB)の役割です。風景写真では「太陽光」や「晴天」モードにすることで日中の自然な色、朝夕の赤色、夜明け前や日没後の青みのある色など、臨場感のある作品に仕上げることができます。「オート」モードは、さまざまな光源下で自然な色みに仕上げられるのですが、朝夕の赤みが弱まってしまったり、日中の青空に濁りが出たりと不安定なところもあります。

ただし、夜空の撮影では「オート」が有効です。夜空を撮るときは街明かりの影響による色かぶりが問題になりやすいのですが、「オート」に設定すると自然光と人工光のミックス光による夜空の色かぶりを除去できます。見た目に近い、ニュートラルな色彩に夜空を仕上げられるのです。

 

 

【 星空のホワイトバランス 】セオリーどおり、 WB「オート」に設定

星空の撮影では街明かりの影響を避けるため、山中や離島で撮影するのが一般的。それでもわずかに残る街明かりの影響を受けて、星空が赤く色かぶりしやすい。色かぶりの影響を打ち消して、ニュートラルグレーの自然な夜空に仕上げるにはホワイトバランスを「オート」にして撮影するのがベターだ。

 

WB「晴天」

 

 

WB「オート」

WB「オート」でニュートラルグレーの夜空に仕上がる

沖縄の離島・西表島での撮影だが、WB「晴天」で撮影すると街明かりの影響を受けて夜空が赤く染まってしまった。 WB「オート」にすると赤みが取れて、夜空をニュートラルグレーに仕上げることができた。

23ミリ相当 マニュアル露出(F2.8 5分) ISO800

 

 

【 月のホワイトバランス 】アップなら「オート」、月景なら「太陽光」に

天体望遠鏡の光学系による色かぶり、低空の大気層による色かぶりなどにより、月の色みが濁ることがある。アップならWB「オート」で撮ると、月らしいクリアな白色に仕上げられる。月景では夜明けの青みや夕焼けの赤など、臨場感ある色を生かしたいのでWB「太陽光(晴天)」で撮るのがおすすめだ。

 

 

 

ホワイトバランスを、調節することで、見たままの色を表現することが可能になります。撮影時の時間帯や、被写体に合わせて、ホワイトバランスの赤みを強めたり、青みを強めたりすることで、気持ちを揺さぶるような写真を撮ることも可能になります。いろいろ試してみるのもいいかもしれませんね。

 

 

 

写真・解説/深澤武