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【旅の撮り方②】構図を工夫して、旅のワクワク感や臨場感を撮影しよう!

これから、夏休みで、大型連休をとって、旅行に行かれる方も多いはず。旅行する時、写真撮影は欠かせませんね。昨今はスマートフォンによる撮影も増え、より一層手軽なイメージになりました。でも、あとで、旅が終わって写真を見返すと、その場所がわかる被写体を捉えただけのつまらない写真であることが、たまにあります。それは、撮ったときの感動や場所の魅力などを伝える“旅情感”が引き出せていないのです。ですので今回は、ありきりたりの旅写真を、感動や魅力あふれる旅写真に変える、10のコツをご紹介いたします。

 

 

 

旅写真のコツ②

【脱!単調写真】 メリハリや奥行きを意識して切り取る

旅行先で魅力的な被写体に出会ったからといって、反射的に撮ってしまうことはないだろうか。なんとなく撮った写真はメリハリがなく、単調になりがちで、インパクトや旅のワクワク感が伝わってこないものが多い。それを脱するには、思い切ったアングルやフレーミングを心掛けよう。広角レンズで被写体に近づいて遠近感を強調したり、あえて被写体を小さくして広々した写真にしたりなど、旅先の印象を意識して作画することが大切だ。

 

 

 

 

被写体の前後差が大きくなるポジションで撮影する

建物の周囲にずらりと像が並んでいるが、そのまま撮った上写真は平面的で、その場の感動も伝わってこない。広角レンズで像のひとつに思い切って寄り、遠近感を誇張した。迫力のある写真になり、寺の魅力も引き出された。【撮影地/長崎孔子廟】

24ミリ相当 絞り優先オート(F16 1/40秒)ISO100 WB:オート

 

 

 

青空を大胆にフレーミングして意図的にメリハリをつける

海に立つ厳島神社の鳥居。しかも空は快晴。その印象を強調するために広角域で、あえて鳥居を小さく、空を大きく入れた。このときの感動や、空気のすがすがしさが感じられる写真になった。【撮影地/宮島厳島神社】

28ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/400秒) ISO100 WB:オート

 

 

 

旅写真のコツ③

【脱!スカスカ写真】 望遠レンズを使ってにぎやかさを出す

旅先の印象を強調しようとしても、周囲に無駄な空間ができてしまい、スカスカで迫力のない写真になった経験はないだろうか。特に旅では、その場所がわかるように写真を撮ることが多く、どちらかといえば広角から標準域の画角が中心になりやすい。しかし望遠レンズの圧縮効果を活用すると、町並みや祭りの飾りなどが圧縮されて、密度感のある写真になる。旅先の雰囲気を盛り上げ、日常とは離れた印象が強調された作品に仕上がるのだ。

 

 

こいのぼりの密度感と町の様子を同時に描く

たくさんのこいのぼりと、そこを行く遊覧船。まるで江戸時代にタイムスリップしたかのようだ。その印象を作品にするため、望遠レンズでこいのぼりの密度感を強調し、さらにボケを生かして奥行きを出した。【撮影地/栃木市巴波川】

135ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/500秒) ISO100 WB:オート

 

 

 

中華街の鮮やかな色彩を圧縮して強調する

中華街に並ぶ鮮やかな提灯を、超望遠レンズの圧縮効果を生かして撮影した。これが広角だと提灯の間隔が広がるため、密度の薄いスカスカな写真になってしまう。【撮影地/長崎新地中華街】

300ミリ相当 絞り優先オート(F6.3 1/60秒) -1補正 ISO100 WB:オート

 

 

旅行で写真を撮る時、写真に撮りたい!と思う風景を、あとで見返しても、その時の臨場感や気持ち、感動を一枚の写真で表現するのには、少しの大胆さが必要です。望遠レンズなどを使用し被写体をアップ目にしたり、奥行きを出すために絞りでボケなどを調整したりすると、印象に残るような写真が撮影できるでしょう。

 

 

写真・解説/藤井智弘