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【旅の撮り方③】旅行写真の撮影のコツは、その土地の息遣いや情緒を意識すること。

これから、夏休みで、大型連休をとって、旅行に行かれる方も多いはず。旅行する時、写真撮影は欠かせませんね。昨今はスマートフォンによる撮影も増え、より一層手軽なイメージになりました。でも、あとで、旅が終わって写真を見返すと、その場所がわかる被写体を捉えただけのつまらない写真であることが、たまにあります。それは、撮ったときの感動や場所の魅力などを伝える“旅情感”が引き出せていないのです。ですので今回は、ありきりたりの旅写真を、感動や魅力あふれる旅写真に変える、10のコツをご紹介いたします。

 

 

 

旅写真のコツ④

【脱!風景写真】 あえて周囲の人工物や動物などを入れる

富士山や夕暮れの海などは、旅先で見る美しい景色の代表格で、誰しもがカメラを向けたくなるものだ。ところが、何も考えずにシャッターを切ると、記念写真的な風景写真にしかならない。そこで、その場にいることの感動と、その土地らしさを盛り込むために、近くの民家や大型建造物、または飛ぶ鳥や野良ネコなどを入れてみよう。すると、その土地の息遣いが表現されて、ただの風景写真ではなくなり、しっかりと旅情を感じる旅写真になるのだ。

 

 

実は富士山が見えたとき、最初はアップで狙った。しかし旅情はなく、建物も中途半端に入っていて、これでは風景写真の作品にもならない。

 

 

民家を入れることで風景写真から旅写真になる

大月の旅館を訪れたときのこと。そこから少し歩くと、見事な富士山が現れた。眼下には民家も見えたので構図に取り入れる。手前に民家、奥に富士山とすることで、旅で出会った土地の雰囲気が強調できた。また奥行き感も表現されている。【撮影地/山梨大月】

80ミリ相当 プログラムオート(F6.3 1/320秒) -1補正 ISO100 WB:オート

 

 

 

赤い橋を意図的に入れてこの湖の特徴を引き出す

峠を登ると森の間に湖が見え、ハッとして思わずカメラを構えた。森と湖だけでも風景写真にはなるが、旅情感は伝わらず、その土地らしさも感じられない。そこで、この湖の特徴である赤い橋をポイントとして画面に入れると、旅で出会った光景が伝わる写真になった。 【撮影地/群馬碓氷湖】

70ミリ相当 絞り優先オート (F8 1/160秒) -1補正 ISO200 WB:オート

 

 

 

飛ぶ鳥を写し込んで現場の臨場感を引き出す

港から夕暮れの海を狙う。快晴の日の夕暮れは実に美しい。特に日没直後はマジックアワーと呼ばれ、ドラマチックな写真が撮れる。しかし、海だけではどこでも一緒で物足りない。飛んでいる海鳥を入れると動感が出て、画面のアクセントになり、「旅先での日没」感が強調できた。 【撮影地/神奈川三崎港】

28ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/125秒) ISO400 WB:オート

 

 

風景写真を撮る時、きれいと感じる風景部分だけを切り取りがちですが、あえて、構図に人工物や動物などを配置することで、臨場感や、旅情漂う一枚に仕上がります。

 

 

 

写真・解説/藤井智弘