特集

【都市情景撮影の基本④】パンフォーカス描写で、街の風景は撮るのが最適!

高層ビルやシンボリックなタワーなどのランドマークから路上や路地といった街の情景まで、都会ならではの被写体の撮影方法を、これまでたくさんご紹介しておりますが、今回は、撮影時のカメラの設定やレンズの選び方、太陽光の撮影での取り入れ方など、基本的なテクニックやコツをご紹介いたします。
 

撮影:藤井智弘

 
広い都市風景の手前から奥まできちんとシャープにピントを合わせたいときや、逆にメインの被写体だけをシャープに捉えて背景はぼかしたいときなどは、絞りのコントロールが必要です。絞りは「F値」で表現されており、F4やF5.6など「F○」と表されます。選択できるF値の範囲はレンズによって異なりますが、この数値が小さいほどピントの合って見える範囲が狭くなり、被写体だけをシャープに捉えて背景をぼかすことができます。反対に、数値が大きくなるほどピントの合って見える範囲が広くなり、画面の手前から奥までをシャープに写しやすくなります。
なお、F値を小さくすることを「絞りを開ける」、F値を大きくすることを「絞りを絞る」といいます。背景のぼけた写真が撮りたいときは絞りを開け、風景全体を見せたいときは絞りを絞るのが基本です。
 
 

●絞りでピントの合う範囲を調整する

 

 
絞りを開ける
ボケを生かしたいときは絞りを開ける
絞りF4を選択し、花にピントを合わせて撮影。背景や手前の葉が大きくぼけて写り、花を際立たせることができた。
 
絞りを絞る
画面全体をしっかり見せたいときは絞りを絞る
絞りをF16にすると、背景も手前の葉もぼけてはいるものの、ボケ具合は小さくなった。背景の建物や紅葉も認識できる。
 

撮影:藤井智弘

 
都市の情景にはパンフォーカス描写が最適
40ミリレンズを使い、絞りF11にセット。商店街の光景とその奥に見えるスカイツリーの両方、画面全体をシャープに捉えることができた。このように、絞りを絞って画面全体をシャープに見せることを「パンフォーカス」と呼ぶ。
 
絞りを開けて、メインの被写体の前後をぼかしたりすると、被写体を際立たせることが可能になります。また、奥行きを出せます。逆に、風景全体を見せたいときは、絞りを絞って、シャープな撮影を行いましょう。