特集

【都市情景撮影の基本③】AUTOモードはいろいろあるけど、実際どれがいい?

高層ビルやシンボリックなタワーなどのランドマークから路上や路地といった街の情景まで、都会ならではの被写体の撮影方法を、これまでたくさんご紹介しておりますが、今回は、撮影時のカメラの設定やレンズの選び方、太陽光の撮影での取り入れ方など、基本的なテクニックやコツをご紹介いたします。

 

撮影:藤井智弘

 

都市でも自然でも、風景撮影では絞り優先オートが主流。絞りを開けるとピントを合わせた場所の前後がぼけて写り、絞りを絞ると画面全体がはっきりと写ります。この絞りによる描写のコントロールを容易に行えるのが絞り優先オートです。

動きをぶらすか止めるかはシャッター速度で決まりますが、実はシャッター速度の調節も絞り優先オートが便利。最低感度にして絞りを絞り込むと、適正露出が得られるその場で最も遅いシャッターが得られます。反対に高感度にして絞りを開けると、高速シャッターが得られ、被写体を止めて写せます。

ただし、被写体の動きを止められるシャッター速度が予測できる場合は、シャッター速度優先オートにして求めるシャッター速度に設定してもよいでしょう。この際、露出不足にならないようISO感度をオートにすれば、適切な明るさで撮影できます。

 

 

撮影モードの使いこなし

プログラムオート(Pモード)

スナップ感覚で、素早く被写体を捉えたいときに便利

プログラムオートは、撮影するシーンの明るさに応じてカメラが露出を判断し、絞りとシャッター速度の両方を自動的に決定するモード。細かい設定にこだわらず、目に留まった被写体を気軽に記録する際に役立つ。

 

撮影:永山昌克

 

絞り優先オート(Aモード、Avモード)

被写体の前後をぼかしたり逆にくっきりさせたりする

撮影者が絞り値を設定すると、それに対応したシャッター速度が自動的に選択されるモード。ピントが合ったように見える範囲=「被写界深度」をコントロールしたいときに役立つ。ここでは絞りF2.8を選んで背景をぼかし、看板を浮き上がらせた。

 

撮影:藤井智弘

 

シャッター速度優先オート(Sモード、Tvモード)

動きのある被写体の「静」と「動」をシャッター速度でコントロールする

撮影者がシャッター速度を設定すると、それに対応した絞り値が自動的に選択されるモード。特に、被写体の「動き」を表現したいときに役立つ。ここでは走る電車の動きを確実に写し止めたかったので、Sモードを使って撮影した。

 

撮影:清水哲朗

 

マニュアル露出(Mモード)

狙いに応じて設定を選べるのでこだわった撮影用に最適

絞り値とシャッター速度の両方を、撮影者が自分で設定するモード。明るさが一定の場所なら、いったん最適値に設定すれば、構図やアングルを変えても、露出を一定に保った撮影ができる。また、この写真のような長秒露光撮影にも最適だ。

 

撮影:永山昌克

 

 

風景撮影での撮影モードは、基本的に「絞り優先オート」がいいでしょう。撮りたい被写体に合わせてモードを選択します。動きのある被写体は、「シャッター速度優先オート」、目についたものをサッと手軽に撮りたい場合は、自動で設定してくれる「プログラムオート」など、オートモードを使いこなしてみましょう。そのほか、マニュアルモードでは、すべて自分で設定可能ですので、撮りたいイメージがオート機能では間に合わない場合に使用しましょう。