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【都市情景撮影の基本⑩】メリハリのある写真は、太陽光を効果的に取り入れる

高層ビルやシンボリックなタワーなどのランドマークから路上や路地といった街の情景まで、都会ならではの被写体の撮影方法を、これまでたくさんご紹介しておりますが、今回は、太陽光の向きと被写体の位置に関して説明いたしましょう。

 

撮影:永山昌克

 

被写体の色を鮮やかに再現するには、晴れの日に撮影をするのがベストです。特に広い都市風景を撮る場合は、光によって陰影がつき、画面にメリハリが生まれるので晴れの日がおすすめです。なお、晴天のときは、同じ風景や被写体を撮っても、光がどの方向からどのように当たっているかによって見え方や色の出方が変わってきます。太陽を背にする順光は、被写体本来の色が引き出せます。被写体の横から光が当たる斜光は、光によって陰影が出るので単調になりがちな広い風景を立体的に描写できます。太陽に向かってカメラを構える逆光は、被写体をシルエットで描くのに最適です。

とはいえ、太陽はもちろん、都市の被写体も、撮影者が好きなようにその位置や角度を動かせません。イメージどおりの光線で撮影するには、事前のポジション取りなどの準備が必要となります。また、ときには光に合わせて狙い自体を変えてしまう思い切りも重要となります。

 

光線状態による描写の特徴

プロカメラマンは構図やカメラ設定と同じくらい、光の当たり方にも注目している。狙っているイメージがあっても、最適な光でなければ求める絵は撮れないので、そんなときは光に合わせて狙いを変えているのだ。ここでは、光による描写の特徴や向くシーンなどを紹介する。

 

順光
被写体本来の色や描写を引き出せるが、陰影がつきにくいため、ベタ塗りのようになりやすい。平面的な仕上がりになる。

斜光(サイド光)
被写体をサイドから照らすため、陰影がついて立体感が出る。風景や建物などに明暗のメリハリがつく。

逆光
被写体前面が陰になって暗く写るが、シルエットを生かすとドラマチックに仕上がる。アクセントとして太陽も入れられる。

 

撮影:永山昌克

 

順光

晴天の空が最も青く写るのは順光
正面から光が当たった順光の状態では、被写体の前面がまんべんなく照らされ、正確な色が再現される。晴天の空が最も青く写るのも順光だ。ただし、やや平面的な印象だ。

 

斜光

被写体の質感や奥行き表現に最適
斜め横から光が当たった斜光の条件では、被写体に明るい部分と影の部分が生じ、より立体的に見える。被写体の質感や奥行きを表現するのに適した光といえる。

 

逆光

太陽を入れる際はフレアに注意しよう
後ろから光が当たった逆光の条件では、被写体が影になって暗く写る。空は白くなり、光が直接レンズに入り込んだ場合は、ゴーストやフレアが生じることもある。

 

 

街の撮影で、色鮮やかに被写体を描写するには、太陽の出ている晴れた日がベストです。光と影の表現によって、メリハリが生まれ、奥行きのある表現も可能になりますので、太陽光と被写体との位置関係などを考慮しながら撮影しましょう。