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【都市情景撮影の基本⑥】ISO感度って結局、何を基準にどう調節するの?

高層ビルやシンボリックなタワーなどのランドマークから路上や路地といった街の情景まで、都会ならではの被写体の撮影方法を、これまでたくさんご紹介しておりますが、今回は、撮影時のカメラの設定やレンズの選び方、太陽光の撮影での取り入れ方など、基本的なテクニックやコツをご紹介いたします。

 

撮影:藤井智弘

 

ISO感度とは、撮像素子が光を感じる度合いを指し、ISO感度の数値が小さいほど鈍感に、大きいほど敏感になっていきます。ただし、ISO感度を上げて光に対して敏感にすればするほど、ノイズが発生して画質が劣化しまう点に注意しましょう。ノイズまみれでは、せっかくのきれいな都市風景も台無しです。緻密な風景を高画質で撮りたいなら、ノイズを抑えるため、ISO感度は小さな数値(低感度)を選びましょう。ほとんどのカメラの最低感度はISO100かISO200になります。

なお、写真の露出(明るさ)は、ISO感度、絞り、シャッター速度、この3つの関係で決まります。そのため、ISO感度を調整することで、絞りとシャッター速度の組み合わせの幅を広げることができます。ISO感度を上げることでシャッター速度を速くするといった、その実践例を少し紹介します。

 

 

晴天時の日中は低感度で撮る

 

ISO200

撮影:藤井智弘

画質のよい最低感度で撮るのが基本

日中の晴れているときは光がふんだんにあり、手ブレの危険があまりないので、低感度に設定してきれいな画質で撮りたい。このような条件下では、ISOオートにしておいても、低めの感度に設定してくれる。ただし、日中でも感度を上げてシャッター速度を稼ぎたいときがある。次ではそうした場合を紹介する。

 

日中でもぶれそうなときは感度を上げる

 

撮影:小澤太一

曇天時や室内などの薄暗いシーンのとき

日中でも曇天時や日陰、室内などのように薄暗いシーンではシャッター速度が遅くなりがちだ。作例は、薄暗い室内で手持ち撮影をしたもの。絞りは開放F5.6にセットし、 ISO800まで感度を上げたが、シャッター速度1/15秒では若干ぶれてしまった。ISO1600に上げると1/30秒が得られてシャープに撮れた。

 

撮影:小澤太一

被写体の動きがとても速いとき

動きの速い被写体を写し止めたいときは高速シャッターが必要だ。低感度では高速シャッターが得られないときは、感度を上げよう。ここでは、望遠250ミリ相当のレンズでジェットコースターを撮影。 ISO100だと1/400秒になり大きくぶれてしまったが、 ISO800まで上げると1/3200秒になり止めて写せた。

 

撮影:小澤太一

望遠レンズを使って手持ちで撮影するとき

望遠レンズを使って手持ちで撮ろうとすると、ブレが起こりやすい。特にライブビュー撮影では、ファインダー撮影に比べてよりブレが生じる。上は、望遠400ミリ相当のレンズを使い、ライブビュー撮影した。写真を拡大すると、1/200秒ではややぶれている。ISO400にして1/800秒で手ブレを防ぐことができた。

 

 
ISO感度の調節は、絞りとシャッター速度との関係で行います。光がふんだんにある日中の晴れた日は、ISO感度は小さい数値、室内や曇りなど薄暗くてシャッター速度を遅くする場合は、ISO感度を大きい数値にします。ISO感度の設定を駆使しながら、ノイズの少ないクリアな風景写真を撮影しましょう。