特集

【滝&渓流の撮り方③】被写体の魅力を一番引き出すカメラの設定について

2018年猛暑が続く中、この夏休みに、滝や渓流などの避暑地で、心も体も癒される方も多いはず。そんな時に、カメラを持って涼しげな撮影を試みる方もおられると思います。緑が覆い茂るこの季節、水流との彩りも美しくなります。ここでは、滝と渓流の基本的な撮影操作のテクニックや、シーン別の構図決定のノウハウなどご紹介いたします。

 

 

基本編

水の流れや輝きを捉える5つの基本操作

清らかな水が流れる滝や渓流は、漠然と写すのではなく、水をどのように表現したいのかを考えながら撮影することが大切だ。それに合わせて的確なシャッター速度や露出を選択し、さらにPLフィルターを使って水の表情を引き出す。

 

基本③ 水流だけではなく、画面全体を見て“露出”を決める

滝や渓流に限らず、写真の明るさは必ずしも見た目どおりに再現する必要はない。自分がいちばん魅力的に感じた部分を強調したり、全体のバランスを考えたりして露出を決めることが大切だ。撮影現場で迷ったら、段階露光をして明るさの異なるカットを押さえておこう。

 

マイナス補正して光が当たっている部分を際立たせる

木もれ日が差し込み、滝の一部分だけを照らし出したので、マイナス0.7 補正して光の当たった部分を浮かび上がらせた。この場面を明るく写すと画面の緊張感が失われ、しぶきが目立たず、美しさも感じられなくなる。

173ミリ相当 絞り優先オート(F14 1/15秒) -0.7補正 ISO400 WB:太陽光

 

水の白とコケの深い緑色のどちらかを優先して撮る

鮮やかなコケに引かれてカメラを向けた。コケと水流の輝度差が大きいため、画面下の水流だけは白くとんでしまうが、ここではコケの美しい緑色を引き出すことを最優先に考えて露出を決めている。

106ミリ相当 絞り優先オート(F16 0.8秒) -0.3補正 ISO200 WB:太陽光

 

ワンポイントアドバイス!

白とび警告表示には惑わされないで露出を決める

撮影画像が露出オーバーで、色の情報が失われたときに点滅する白とび警告表示。便利な機能だが、画面全体の明るさを優先するときは、白とびを気にせず露出を決めることも大切。一方、水流重視の写真なら白とびの確認は欠かせない。

 

基本④ “絞り”を絞って、滝&渓流の全景を隅々までシャープに描写する

ボケは写真独自の表現だが、滝や渓流を撮るときに一部分がぼけていると不自然さが感じられる。人間の目はあらゆるものにピントが合った状態でモノを見ているため、視覚に近いパンフォーカスで写すことで違和感のない画面になり、鑑賞者に安心感を与えることができる。

 

絞りF16で岩や新緑の木々をシャープに捉えて質感を引き出す

F16まで絞り、手前の岩から奥の木々までパンフォーカスで表現する。絞り込んだことで岩や新緑の木々がシャープに描写され、質感も感じられる。人間の視覚に近い状態で写すことで自然な雰囲気に仕上がった。

65ミリ相当 絞り優先オート(F16 0.6秒) +0.3補正 ISO100 WB:太陽光

 

基本⑤ “ホワイトバランス”は「太陽光」で自然な水の色を引き出す

水は白く写る。白い水を白く写すにはホワイトバランスの設定が大切だ。WB「曇天」モードにして写すと赤みが強くなり、水が濁ったように感じられる。濁流を撮影する場合を除き、曇天時や雨天時でも「太陽光」や「晴天」を選んで水の清涼感を引き出そう。

 

△WB「曇天」

WB「太陽光」

曇天下にWB「曇天」で撮影しても赤みを帯びるときがあるので要注意

曇天時に滝を写す。ホワイトバランスを「太陽光」モードにして撮影すると、水が青白く表現されて清らかな印象の流れになった。一方、WB「曇天」で撮影した場合は画面全体に赤みが加わり、水が濁っているように感じられてしまった。

 

渓流や、滝の撮影でのカメラの設定は、撮影したい被写体の全体的なバランスを考えながら行いましょう。もしも、撮影時に設定で迷うことがあれば、どの設定でも、段階的に試し撮りしながら、イメージに合う描写の可能な設定を見つけましょう。

 

写真・解説/伊藤亮介