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映り込み撮影するテクニックとは、いろんな視点からモノを見ること【映り込み撮影術/スナップ編④】

雨の日の水溜まりや海、池、ガラスやクルマなど、街の中は映り込みの宝庫だ。映り込みをスナップに生かすことで、これまでとは一味違う写真が撮影できる。目を凝らして映り込みを探してみよう。

 

 

鏡やクルマの硬質な映り込みは雑踏の街並みをアートに変える

決定的瞬間が映り込みスナップを面白くする
ネオンがきらめく夜の銀座は映り込みの宝庫。停車中の高級車を鏡代わりにしてみた。奥にカラフルなタクシーが重なる瞬間を狙っていると、青・黄・赤の信号機カラーが見事にそろった。

オリンパス OM-D E-M1 Mark II M.ズイコーデジタルED 12〜100ミリF4.0 IS PRO 絞り優先AE F4 1/80秒 ISO2000 WB:オート

 

あらゆる角度に目を配り印象的な部分を切り取る

繁華街やオフィス街はガラスや金属を使った建物、さらには行き交うクルマなど、映り込みの宝庫。それを生かすコツは、自分の目線の高さだけでなく、上下左右あらゆる方向を絶えずチェックすることと、雑多な空間から被写体としておいしい部分をクローズアップできる目を持つことだ。

フレーミングでもこのクローズアップが重要になってくる。写真のセオリーは引き算とよく言われるが、映り込みを生かすポイントはまさにズームや自分の足を使って余分な情報を排除することで、引き締まった構図に仕上げることができる。レンズは望遠ズームや明るい単焦点があると、印象的な部分を切り取りやすい。
 

 

金属の質感と映り込みを対比させて狙う
印象的な映り込み部分に絞ってフレーミング。金属などの映り込みを狙う場合は、反射している部分と、金属そのものの質感や造形との対比を見せるのがコツといえる。

ソニー α7 III Batis 40ミリF2 CF 絞り優先AE F2 1/80秒 ISO2500 WB:オート

 

 

複雑な映り込みが人混みの街を幻想的に描く
鏡張りになったビルのエントランスに、外の様子が複雑に映り込んでいた。そこだけを切り取っても面白いのだが、実像を少しだけ入れることで単調になるのを防ぎ、スケール感も表現してみた。

キヤノン パワーショットG1 X Mark III 絞り優先AE F5.6 1/20 秒 −0.3補正 ISO1000 WB:オート

 

 

写真・解説:鹿野 貴司