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【カメラ用語事典】スローシンクロ

スローシンクロ撮影とは、通常のフラッシュ撮影よりも遅いシャッター速度で同調発光させる撮影のこと。夜景をバックに人物を撮影する場合などによく使われる手法だ。通常、夜景撮影ではシャッター速度は遅くなるが、そのシャッター速度のままフラッシュを当てることで、夜景も人物もきれいに写せる。

また、動いている被写体を撮る際、シャープな描写とブレのある描写を両立させたいときにもスローシンクロが有効。フラッシュの光によって動く被写体をくっきりと再現しつつ、室内照明などの環境光によって被写体ブレを作り出すことができる。

カメラの設定方法は、撮影モードをマニュアル露出(Mモード)、またはシャッター速度優先オート(Sモード/Tvモード)、絞り優先オート(Aモード/Avモード)にしたうえで、シャッター速度を1/15秒以下の低速にセットする。フラッシュはオートでよい。これで撮影すれば上記のような描写が得られる。

 

夜景の前に人物を立たせて撮影。フラッシュを使わないと、上の写真のように人物は暗く写る。また、フルオート(全自動)やプログラムオート(Pモード)ではシャッター速度が速めに設定されるため、写真中央のように人物だけにフラッシュが当たって夜景の光は取り込めない。スローシンクロ撮影なら、下の写真のように人物も夜景もどちらもきれいに描写できる。
 

 

激しく動くロボットをスローシンクロで撮影。フラッシュの光によって被写体をシャープに再現しつつ、そこに残像のような被写体ブレが加わることで、動感を表現できた。
 

 

写真/永山昌克