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【カメラ用語事典】ダイナミックレンジ

ダイナミックレンジとは、写真の「階調」を表現する際に重要である最小輝度(最も暗い部分)と最大輝度(最も明るい部分)の幅を指す言葉。ダイナミックレンジが広ければ、露出が多少明るめだったり、不足していたりしても、階調情報を失わずに描写できる。

その逆にダイナミックレンジが狭ければ、露出が少しオーバーしたり不足したりするだけで階調情報が欠落する。どこまで白とびや黒つぶれのない描写ができるかという性能を表す用語と考えればいいだろう。

ダイナミックレンジの差は、写真表現の幅に直接的な影響を与える。例えば、明暗差の激しいシーンの場合、ダイナミックレンジが広ければ明暗ともにバランスのとれた階調豊かな写真になる。一方、ダイナミックレンジが狭いと、コントラストの強すぎる階調の乏しい写真になる。

なお、デジタル一眼は搭載するセンサー(撮像素子)や画像処理エンジンなどの違いによって、同じメーカーでもダイナミックレンジが異なる。このため、同じ露出でも得られる階調情報には差が生じる。

 

写真/吉森信哉
 

逆光シーンのため、明暗差がかなり大きい。ダイナミックレンズが狭い上の写真では、日陰の芝生や石垣は黒つぶれ寸前。ダイナミックレンズが広い下の写真では、日陰の部分のディテールがしっかり残り、雲の白とびも抑えられている。