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【菜の花の撮り方①】花畑の撮影は、主役をいかに目立たせられるかで印象的なものになる

寒い冬を乗り越えると、暖かい春を迎え、冬には見られなかった美しい花々が咲き誇る季節がやってきます。ナノハナの開花時期は、関東では、3月中旬から4月下旬が見ごろですが、早いところでは、2月中旬ごろから咲き始めます。

鮮やかな黄色が印象的で写真映えする花ですが、黄色一色なので、平凡な写真になりがち。ボケを作ったり、空を背景にしたりして目立たせたり、ナノハナを印象的に撮影する方法やテクニックをご紹介します。

 

 

ナノハナ写真でよくある失敗×

画面全体がただただ散漫、青空も生かされてない

一見、上手に撮れているように見えるが、背景のボケ具合が中途半端で主役がいまいちパッとしない。青空も見えているが生かされてなく、もったいない。

ココが残念

① 背景も黄色くて主役が目立たない → 解決法①
② 背景がごちゃごちゃしていて煩雑 → 解決法②
③ 空の入れ方が中途半端 → 解決法③

 

黄色一色のナノハナ畑では主役を目立たせる工夫が必要

ナノハナを見ると、春の訪れを感じてウキウキした気分になります。ナノハナは小さな花が集まった房状で、ひと房を一輪の花のように狙うのもいいですし、黄色一色のナノハナ畑を撮るのもきれいです。

クローズアップで撮るなら、ピント位置は手前側の房に、花畑なら手前から1/3あたりに合わせるのが基本になります。ナノハナの難しいところは、花色が黄色一色ということ。クローズアップの場合、周囲の花を背景に入れても色の差がないために、主役を目立たせる工夫が必要になります。

 

残念ポイント①背景も黄色くて主役が目立たない
【解決法①】主役のナノハナが空に抜けるアングルを探す

黄色一色のナノハナは、ナノハナ畑では主役も背景も同じ色同士の組み合わせになってしまう。花が背景になるのは彩りがあって本来はきれいなのだが、ナノハナの場合は色が重なり合って、主役が背景に溶け込んでしまう。 そこで別の色を背景にしよう。最適なのは青空で、空が背景になるアングルを探して撮影する。

 

花と同じ高さで狙う

上の失敗写真と同じ花を狙っている。ナノハナを見下ろすと背景に入るのはナノハナだけだったが、花と同じ高さで狙うと画面下にナノハナ、上には空が入ってくる。主役の背景だけでも空に抜けば色の差が生まれて、目立たせることができる。

 

花より低いアングルで狙う

こちらも同じ花。さらにポジションを低くして、花を見上げるアングルで撮影した。青空の中にナノハナを収めることができ、画面もすっきりし、黄色がより引き立っている。同じ花を写した3枚を見比べると、このカットが最も生き生きした勢いを感じる。

 

 

残念ポイント②背景がごちゃごちゃしていて煩雑
【解決法②】明るいレンズや望遠レンズなどを使って背景を大きくぼかす

人の視線はシャープな部分にいき、ぼけているところにはあまりいかない。つまり、シャープとボケの差を作り出せば、主役と背景がナノハナ同士でも主役を目立たせることができる。「絞りを開ける」「望遠レンズを使う」「主役に近づく」「主役と背景の距離をとる」のうち、3~4つ取り入れると大きなボケが作れる。

 

主役と同じ黄色い背景でも、シャープとボケの対比で主役は際立つ
画面全体が黄色一色だが、周囲が大きくぼけているので主役がどれだかすぐにわかる。望遠ズームの最望遠側を選び、絞りは開放のF2.8を選ぶ。周りの花よりも背の高い花を狙ったので、背景が遠くに抜けて大きなボケが得られた。

300ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/4000秒)+1.3補正 ISO200 WB:晴天

 

 

残念ポイント③空の入れ方が中途半端
【解決法③】花畑だけで画面を構成して密集感や広がりを演出する
満開のナノハナ畑は花がひしめき合うように咲いて密集感がある。しかし、花畑の終わりが少しでも見えると、広がりは弱くなってしまう。逆に、狭い花畑で も密集した部分だけを切り取れば、もっと奥まで広がっているように見せること ができる。さらに、このとき望遠レンズを使うと、一部分をフレーミングするのも楽なうえ、圧縮効果によってより密度感を演出できる。

 


花は密集しているが、背景に花畑の終わりが入っているので狭く感じてしまう。試しに、緑色の背景部分を手で押さえてみると不思議と広がりが出てくる。終わりを見せないことで周囲の広がりを想像させよう。

 

花のない部分や少ない部分は入れずに密集した部分だけを望遠レンズで切り取る
あまり広くないナノハナ畑なので、この奥にもう花はない。しかし、花のある部分だけをフレーミングしているので、画面の前後左右にもっと広がっているように見える。花のない部分、少ない部分は入れずに、密集した部分だけを望遠レンズで切り取ろう。また、ピントを奥に合わせたことで前側のナノハナがぼけて奥行きも出た。

300ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/5000秒)+1補正 ISO400 WB:晴天

 

 

写真・解説/吉住志穂