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雨の日こそ花をアップで狙いたい! 水滴を生かす花のマクロ撮影テクニック

初夏を彩る野山や公園の花々たち。そのままでも色鮮やかで美しいが、雨露や朝霧などでしっとりと濡れるとより美しく見えてくる。せっかくの梅雨の時期。潤いを生かすことでより美しさが増す花風景を狙ってみよう。

雨に濡れたレンゲショウマの清楚な表情を引き出した

レンゲショウマが水滴をまとい、瑞々しい姿を見せてくれた。雨の森は実際には暗いのだが、木々の間から覗く白い空を背景にすることで、明るいイメージの写真に仕上げることができた。レンゲショウマの白く清楚なイメージを引き出せた。


ニコンD810 AF-S VRマイクロニッコール105ミリF2.8G ED 絞り優先オートF4 1/80秒 -0.7補正 ISO800 WB:5000K 三脚使用

 

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雨の日こそマクロレンズで花のアップを狙ってみよう

雨で水滴をまとった花は、とても瑞々しく美しい。もちろん雨上がりのほうが撮影は楽だが、1時間くらいで水滴は消えてしまうためシャッターチャンスは意外と短い。降雨時のほうがじっくりと花と向き合って撮影できるのだ。

また雨が上がって光が差し込むようなシーンはドラマチックだが、光が当たり出すころには水滴はすでになくなっていることも多い。水滴と光を狙うなら朝露狙いのほうが確実といえる

水滴はとても小さいのでマクロレンズでクローズアップしないと目立たない。感度を上げればブレは防げるが、手持ちでしべや水滴にピントを合わせるのはある程度経験が求められる。1枚2枚で成功することは少なく、10枚くらい撮影してピントの良否をチェックして、1枚ピントが合っていれば上出来だ。なかなかピントが合わなければ三脚を使うことも考えたい。

最近の防塵防滴のカメラはびしょびしょになって撮影できるという意味で安心である。ただレンズが曇ってしまうと撮影は難しくなるため、雨のときはレインカバーなどをするのがベターだ。また撮影後は室内でカメラを広げてしっかりと乾かし、次の撮影に備えたい。水分がレンズ内に残っていると、晴天時にレンズ内が一気に曇ってしまうことがあるので特に注意しよう。

 

【ポイント1】水滴を入れるとキラメキが増す

マクロレンズで近づいて小さな宇宙を捉えよう

霧雨のような天候で、ヨツバシオガマがしっとりと水滴をまとっていた。マクロレンズでアップにすると画面全体に水滴が散りばめられていて、花が輝いているように見えた。雨の中じっくりと観察すれば、小宇宙のような世界を見つけられる。

【水滴あり → キラメキ】

 

【水滴なし → フラット】

 

【ポイント2】マクロで捉えて水滴の存在感を高める

全体を撮るのではなく水滴や花一輪に狙いを絞ろう

アジサイなどの大柄な花を全体で撮ろうとすると、せっかく花がまとった水滴が小さくて目立たない。一輪に狙いを絞ってクローズアップすると、水滴がはっきりと見えてくる。被写界深度が浅くなるため、ライブビューAFで慎重にピントを合わせたい。

【アップで水滴を見せる】

 

【引きだと水滴がわからない】