冬は街にイルミネーションやライトアップされた被写体があふれ、カメラを向けたくなる季節。しかし、せっかくキラキラした世界観を撮影をしても、出来上がりは見た目通りにならなかったり、思い通りの色にならなかったりと、悔しい思いをされる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、イルミネーション・ライトアップをキレイに撮るためのカメラ設定や撮影機材などの基本知識を紹介します。
【イルミネーション&ライトアップ撮影の基本(1)】特別な機材は必要なし! 使用機材はコレだ!
特別に夜の撮影用の機材というものはなく、実はいつも使っている機材で事足ります。ですが長秒露光で撮るなら三脚は必須。その際、シャッターボタンを直接指で押すのではなく、ブレ防止のためにレリーズを使いましょう。
ただし、三脚の使用が禁じられた場所などもあるので注意しましょう。その際は手持ちで撮影するしかありません。イルミネーションやライトアップは明るいので、ISO感度を上げて絞りを開けたり、「手持ち夜景モード」を活用すれば、ブレのない写真が撮れます。
そのほか、レンズフードは街灯などの無駄な光を遮断するために、フィルターはキラキラ感を増すために必要。周囲が暗いのでライトもあると便利です。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/272937/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の基本(2)】イメージ通りに仕上げるカメラ設定は?
イルミネーション&ライトアップ撮影時のカメラ設定は三脚使用と手持ち撮影で少し変わります。ISO感度を上げるほどぶれにくくなるものの、ノイズは増えます。ぶれることが少ない三脚使用の場合は画質がきれいな低感度を、手持ち撮影は画質の良さよりもぶれないことを優先して設定しましょう。
おすすめカメラ設定
(1)ピント合わせ:AFで、「自動選択」もしくは「ゾーンAF」を使用
(2) 撮影モード:絞り優先オート(A、Avモード)
(3) ISO感度:三脚使用ならISO100~400、手持ち撮影ならISO1600~6400
(4) 露出補正:1枚試し撮りをしてから適宜、補正を行う
(5) ホワイトバランス:電球光なら「太陽光(晴天)」、青い光なら「オート」か「蛍光灯」に
(6) 仕上がり設定:光が赤系なら「スタンダード」、青系なら「風景」がおすすめ
(7) ノイズ低減:高感度ノイズ低減は「標準」か「強め」、長時間ノイズ低減は「オート」
(8) 手ブレ補正:三脚使用なら「OFF」、手持ち撮影なら「ON」にする
また、仕上がりのイメージを大きく左右するのが「ホワイトバランス(WB)」の設定。暖色系の色である電球光は、ホワイトバランスを「太陽光(晴天)」にすると見た目に近い色合いで写せます。近年のイルミネーションでよく見かける青い光の場合は、「オート」か「蛍光灯」がおすすめ。その場でいろいろ試し撮りしながら調整しつつ、迷ったらRAWデータで記録しておいてあとから変更するのも1つの方法です。
<オート>
<白色蛍光灯>
どちらの色もよいですが、真ん中のツリーの緑色を強調したいのであれば「オート」が正解。LEDライトはさまざまな発色の特性があるので、設定を変えつつの試し撮りが欠かせません。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/272945/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の基本(3)】真っ暗?トワイライト?撮影のベストな時間帯
<イルミネーションの場合 → 空が真っ暗になってから>
暗くなる前のトワイライトの時間帯に撮影すると、明るい空に視線が向き、せっかくのイルミネーションが目立たちません。そこで写真のように暗い空を背景にすると、背景との明暗差が大きくなるので、明るいイルミネーションがまぶしく浮かび上がります。ただし、イルミネーションの明るさを抑えようと暗い写真になることもあるので、そのときは露出補正で明るくしましょう。
<ライトアップの場合 → 空が真っ暗になる前のトワイライトの時間帯>
イルミネーションは光の粒々ですが、ライトアップは光に照らされた建物などの大きな被写体。空が真っ暗だと、ライトアップされた橋と背景との明暗差が大き過ぎて、ライトアップが白とび、もしくは周囲が暗くなり落ちてしまいます。なので日没20~30分後の、空が完全に暗くなる直前に撮影するのがおすすめ。空が明るくても建物が溶け込むことはなく、むしろ残照のグラデーションの空に浮かび上がる姿が美しく仕上がります。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/273028/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の基本(4)】華やかに仕上がる構図は空間の切り取り方で決まる!
<before>
<after>
イルミネーションやライトアップの撮影では、真っ暗な空や空間を画面内に入れ過ぎないのがコツ。before写真は、上部が空き過ぎているためライトアップされた橋が小さくなってしまっています。夜空に月や星の軌跡などがあれば別ですが、真っ暗な夜空はなるべく狭くしましょう。after写真は橋をアップにすることで無駄な空間を極力排しています。こうすることで被写体が大きく写り、構図に迫力と緊張感が出ます。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/273040/
写真・解説/川北茂貴