“ユーザー視点で選ぶ”をコンセプトにした「CAPAレンズ大賞2019 (第35回CAPAレンズ大賞)」の選考審査がスタートした。対象となるのは2019年1月1日から12月31日までに発売された81本 (シネマレンズは除く)。審査員10名による投票によって、本選に進むレンズが決まった。
実用的で使いやすいレンズが票を集めた
CAPAレンズ大賞とは、性能や価格などを総合的に評価し、「ユーザー視点」で選び、表彰する賞だ。高性能や高画質だけを評価基準とせず、カメラファンや写真愛好家におすすめできるという観点で、審査員10名が2019年に発売された候補レンズ81本からノミネートレンズを各5本選考。そして、票の入った27本が本選に進むこととなった。
もっとも票を得たのはキヤノンとシグマのレンズ
27本中、複数票を獲得したのは11本。もっとも票を得たのが、「キヤノン RF70-200mm F2.8 L IS USM」と「シグマ 45mm F2.8 DG DN | Contemporary」で5票ずつ。RF70-200mmは大口径ズームながら収納時はコンパクトになるうえ接近撮影にも強い、シグマ45mmは小型軽量で価格も手ごろというのが主な選考理由だ。次いで4票が、ニコンの「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」とパナソニックの「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm / F1.7 ASPH.」。Z 14-30mmは携帯性に優れた沈胴機能を採用、LEICA 10-25mmはズーム全域でF1.7の明るさが魅力と票を得た。このほか3票が2本、2票が5本、1票が16本という結果である。
本選に進む27本はこの後、審査員にあらためて試用・評価してもらう。そして再度、審査員10名による点数投票 (1位5点、2位3点、3位1点) を行なって大賞レンズが決まる。大賞レンズは『CAPA』6月号 (2020年5月20日発売) で発表予定。
複数票を獲得したレンズはこの11本
キヤノン RF70-200mm F2.8 L IS USM
<選考理由>
人気の高いRF70-200mm F2.8は大きく重いのが通り相場だったが、ここに来てミラーレス後発のキヤノンが一石を投じた意味は大きい。(桃井)
キヤノン RF15-35mm F2.8 L IS USM
<選考理由>
15mmから始まる画角、IS、周辺までの高画質と、これまでのキヤノン広角レンズの概念をすべてワンランクアップした。絞りがF2.8と明るいのも使い勝手がよい。Rユーザーなら間違いなく買いたい1本。(小澤)
ニコン NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
<選考理由>
14mmをカバーしながら、フルサイズ対応とは思えないほど小型軽量。広角レンズを小型化しやすいミラーレスの特徴が出ている。フルサイズでも高い機動力で撮影できる超広角ズームである。(藤井)
ソニー FE 135mm F1.8 GM
<選考理由>
ピントが合ったところのシャープさもすごいが、点光源ボケがタマネギっぽくならないこと、AF駆動の速さも見どころ。質量950gはずっしりだが、スペックから考えれば軽いし、ハンドリングもいい。(北村)
オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
<選考理由>
同社には「12-100mm F4.0 IS PRO」もあるが、価格を抑えつつテレ端を倍の200mm、35mm相当では400mmまで一本で任せられるスペックは魅力。レンズ内手ブレ補正は非搭載だが、強力なボディ内補正でも対応できる。(増田)
パナソニック LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm / F1.7 ASPH.
<選考理由>
MFTとしては巨大で、発表時には“コレジャナイ感”が否めなかったが、実際に手にしてみると見かけよりも軽く、「G9 PRO」とのバランスは良好。開放F1.7の明るさで、適度に被写界深度が得られるのも魅力だ。(伊達)
パナソニック LUMIX S PRO 50mm F1.4
<選考理由>
LUMIXフルサイズミラーレス一眼Sシリーズ初の単焦点がこのレンズ。大きくて重いレンズだが、LEICA基準をクリアしたレンズだけにシャープで柔らかなボケ味は格別。(森脇)
タムロン 17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)
<選考理由>
昨年の同賞大賞に輝いた「28-75mm F/2.8 Di III RXD」は、ズームレンジを少し狭くすることで、価格とサイズを抑えるコンセプトを高く評価した。このレンズも同じコンセプト。安くて軽くて良く写るんだから文句なし。(鹿野)
タムロン SP 35mm F/1.4 Di USD (Model F045)
<選考理由>
タムロンがついに単焦点F1.4の世界に。同社F1.8シリーズも写りが良いが、写真愛好家の多くの志向はやはり開放F1.4に向きがち。そんなユーザーに強く訴求できる、高性能な単焦点レンズに思える。(大浦)
シグマ 14-24mm F2.8 DG DN | Art
<選考理由>
開放F2.8の明るさと、絞り開放から周辺までほぼ点像に写せるので、星景撮影には最適。逆光にも強く、同スペックの一眼レフ用レンズよりも小型軽量なのもありがたい。自分でもLマウントを購入済み。(伊達)
シグマ 45mm F2.8 DG DN | Contemporary
<選考理由>
遠くの被写体は開放からクッキリ写し、ポートレート領域では「レンズの味」があり、接写領域では1段絞っても味がある。この「レンズの味」が最大の魅力で、APS-Cで使えば極上のポートレートレンズだ。(馬場)
ノミネートレンズ
- キヤノン RF70-200mm F2.8 L IS USM
- キヤノン RF15-35mm F2.8 L IS USM
- キヤノン RF85mm F1.2 L USM DS
- ニコン NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
- ニコン NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct
- ニコン NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
- ソニー E 16-55mm F2.8 G
- ソニー FE 135mm F1.8 GM
- オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
- パナソニック LUMIX S PRO 16-35mm F4
- パナソニック LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm / F1.7 ASPH.
- パナソニック LUMIX S PRO 50mm F1.4
- 富士フイルム XF16-80mmF4 R OIS WR
- タムロン 24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F051)
- タムロン 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F053)
- タムロン 17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)
- タムロン SP 35mm F/1.4 Di USD (Model F045)
- タムロン 35-150mm F/2.8-4 Di VC OSD (Model A043)
- シグマ 24-70mm F2.8 DG DN | Art
- シグマ 14-24mm F2.8 DG DN | Art
- シグマ 45mm F2.8 DG DN | Contemporary
- シグマ 35mm F1.2 DG DN | Art
- トキナー atx-i 11-16mm F2.8 CF
- コシナ フォクトレンダー NOKTON 50mm F1.2 Aspherical
- ラオワ LAOWA 15mm F2 Zero-D
- ラオワ LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APO
- カムラン 50mm F1.1 II
CAPAレンズ大賞2019 審査員
大浦タケシ、北村智史、小澤太一、鹿野貴司、伊達淳一、馬場信幸、藤井智弘、増田賢一、桃井一至、森脇章彦 (50音順)