花撮影といえばマクロレンズで被写体をクローズアップすることで、背景をスッキリさせた素敵な写真が撮れますが、マクロレンズばかりでは、撮り方がどれも似てしまいます。そこで、マクロレンズ以外の、広角ズームや標準ズーム、望遠ズーム、単焦点レンズといった、普段から使い慣れているレンズによる花撮影の魅力を紹介します。今回は、望遠ズームと単焦点レンズの活用方法です。
目次
- 広角ズームレンズで花マクロ
- 標準ズームレンズで花マクロ
- 望遠ズームレンズで花マクロ
- 単焦点レンズで花マクロ
- 花マクロにおすすめのレンズ16選
小さな花を目いっぱい大きく入れる! 望遠ズームの活用法
焦点距離が長いから大きなボケが得られる
花のクローズアップ写真をメインに撮影している私の場合、もっとも使用頻度の高いレンズはマクロレンズではなく望遠レンズです。マクロレンズの使いどころは「寄り」が主ですが、望遠レンズは「ボケ」を得るために使っています。中望遠のマクロレンズよりも、焦点距離の長い望遠ズームのほうが大きなボケが得られるためです。
クローズアップと言っても画面いっぱいに花を写すのではなく、多くの場合は背景に空間をとることで、より花の雰囲気を感じさせるようにしています。さらに前ボケを加えれば、ふんわりとした雰囲気に仕上がります。ボケを生み出すには「焦点距離の長いレンズを使う」に加え、「絞りを開ける」「花に近づく」「メインの花と背景が離れている」という要素が必要です。
望遠ズーム+最短撮影距離で大胆にクローズアップ
望遠ズームを使い、最短撮影距離で花に迫れば、ポピーを画面いっぱいにクローズアップすることができる。また、大きくぼける望遠レンズは前後の花をぼかして、柔らかく包み込むように配置するといい。
テレコンをプラスして花を引き寄せ印象的に
望遠ズームにテレコンバーターを装着すると焦点距離をさらに伸ばすことできる。絞りの開放値はやや暗くなるものの、最短撮影距離は変わらずに、花をより大きく写せて、ボケも大きくなるので画面を整理しやすい。
■1.4倍テレコン使用
■テレコンなし
柵で近づけない遠くの花は望遠ズームが大活躍
望遠ズームは遠くの花を引き寄せ、大きく捉えることができるが、柵などで近づけない場合は、テレコンバーターを装着すると焦点距離をさらに伸ばすことができる。花マクロにはテレコンに対応した望遠ズームを選ぼう。
仕上がり設定で鮮やかさをイメージどおりに
花を撮るときの仕上がり設定は、鮮やかな花の色彩を描きたい場合はビビッドや風景モードを選ぼう。ただし、柔らかな雰囲気に仕上げたい場合はフラットやポートレートモードがオススメ。
ボケの美しさにこだわる! 単焦点レンズの活用法
絞りを開けて背景をふんわりと
単焦点レンズは「絞りを開ける」ことで背景がぼけやすいという特徴があります。ズームレンズは絞りが明るいレンズでもF2.8程度ですが、単焦点レンズはそれよりも明るいレンズが揃っており、絞りを開けることで、背景がフワッとぼけた写真が撮りやすくなります。ただ、ボケが大きくなるぶん、少しでもピント位置がずれると、ピンボケが目立つので、ピント合わせは慎重にして、多めに撮ると安心です。
美しい描写のSTFレンズでとろけるようなボケ味を楽しむ
ソニーのSTFレンズは滑らかなボケを追求した単焦点レンズ。ピント面の画質はシャープながら、レンズ内に特殊効果フィルターを内蔵し、ボケの輪郭がとろけるように柔らかい。質の高いボケ味が楽しめる。
接写に強い明るい単焦点でボケを生かしてふんわり描く
単焦点レンズはズームレンズより設計の自由度が高く、絞りの開放F値が明るいものが多い。さらにこのレンズは0.5倍まで寄れるので、背景はもちろん、前後の花びらも美しくぼけて、ふんわりした雰囲気を引き出せた。
【まとめ】レンズの特徴を理解して花マクロの幅を広げよう
今回は身近な場所で撮ることを想定して紹介しましたが、レンズ選びの知識はどんなシーンでも役に立ちます。レンズの特徴を理解し、それを生かして花を撮影してみましょう。レンズバリエーションが広がれば、作品の幅も広がるはずです。
背景の雰囲気重視なら広角、ボケ重視なら望遠&中望遠で
同じ撮影倍率で撮影すると、焦点距離の長い85mmは背景の写る範囲が狭く、ボケ量が大きくなる。背景をすっきりさせるなら85mm、背景の雰囲気を感じさせたいなら35mmといった、シーンに応じた使い分けをしたい。
次回は、花マクロにおすすめのレンズを紹介します。